造形のこだわり Part.5
頭部と顔の造形について
■後頭部のくぼみとアレンジした顔
今回一番こだわったゴジラの姿勢。その中でもポイントになったのは頭部パーツです。
正面の敵に向かって力強く吠えている所を表現すべく、口を大きく開けている造形にしました。パーツの大きさによる成型上の抜きの角度を考えて、可能な限り劇中ゴジラの口の開き具合にしています。
この「ファイナルゴジラ」は、良く見ると口を閉じている状態と、強く吠えている状態では顔のモールドの凹凸に大きく変化が見られます。その差が一番わかりやすいのは、実は顔ではなく、後頭部です。ちょうど頭と首の境目あたりにくぼみができるのです。内蔵の仕掛けでそうなるのでしょう。上に向かって吠えている時と正面に向かって吠えている時でも差がありますので、その辺も意識して作りました。
他社さんのリアルフィギュアやガレージキットでもその辺に気がついておられる所はしっかり造型していますので、そこでちゃんと実物を理解して作られているかどうかがわかると思います。気になる方は映像でご確認下さい。
顔そのものは、もっとこうしたらカッコよくなるのでは……と、私の好みの影響が大きく出てしまった所はあります。
おそらくは今までのゴジラの中で「ファイナルゴジラ」は最も顔の厚みのないゴジラなのです。そして鼻の両脇の幅ががかなり細い顔です。そのため横から見ると、時として口そのものが鳥のくちばしのように見える時もあり、正面から見ると何かの動物(ネコ?ネズミ?)のようにも見えます。目が釣り上がっている上に、いつもなら白目に当たる部分が黒なので、余計にそう見えると言えるでしょう。
正直な所、私好みのゴジラとしては、もう少し顔の厚みが欲しかったし、あまり口を細くしたくないのが本音です。ですから似ているラインのギリギリまで調整して若干厚みを加えましたし、口の先もやや肉付けしています。その辺は独自のアレンジをさせていただきました。私なりのカッコいい「ファイナルゴジラ」の顔にしたつもりです。
それでも今までの弊社のゴジラ達に比べれば、顔(頭)は小さく見えるでしょう。それはやはり「ファイナルゴジラ」の特徴ですから、いつものゴジラ達に比べれば細く作らざるを得ないわけです。比較していただければわかりますが、それでも頭そのもの(口の先から後頭部にかけて)の長さはいつものゴジラ達とほぼ同じなんです。全体のバランスを考えればこれがちょうど良いサイズだとおわかりいただけると思います。
顔そのものの特徴は、細かく小さな個性がたくさんあるゴジラであって、それぞれが特に大きく目立つ訳ではない作りです。ですから自分なりのアレンジをしつつの似せていく作業は、今までで一番難しい造形でした。いつもより顔のモールドが細かくなってしまったのは、たくさんの小さな特徴を残すためで、そうしないと「ファイナルゴジラ」から遠ざかってしまうためです。
ですからいつも以上にこだわりの多いゴジラでありながら、やり直しも多かったゴジラでした。
(2011.1.8更新)
「ファイナルゴジラ ブラックバージョン」は完売致しました。ありがとうございました。