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有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

初代ゴジラ見聞録・5

2014年11月29日 | 羽沢組的怪獣見聞録




5 ゴジラの黒目はどっち向き!?

 ゴジラの眼球は卵状の形で木製で作られたそうです。
 1号スーツの黒目は正面を向き、2号スーツの黒目は下向き。ほとんどの写真や映像ではそのように見られます。下向きになった理由としては「人間を見下ろす……」云々と講釈が書かれているものもありますが、明らかに後年の書籍ライターさんの後付け。事実はわかりません。
 2号スーツに関しては、目の開閉ができるようになっており、糸で開米氏が操演をされていたそうです。1号スーツもおそらくそうなっていたと思われますが、完全なスーツ状態で使用されているシーンは少ないので、それらを示すものは見つけられませんでした。ただし、1号スーツは2号スーツ制作時には上下に分割されたのは前にも書きましたが、上半身ではさらに首からも切断され、頭部のアップ用に目だけではなく、口の開閉のギミックが仕込まれて使われています。

 2号スーツの黒目が下向きなのは今では初代ゴジラの定番なので、今では何の不思議もありませんが、よくよく考えると正常に(?)正面を向いている1号スーツを基準に作ったわけですから、不自然です。なぜこうなったのでしょう!?
 やはり当時のギミックの装着技術というのが一番の原因ではないでしょうか。各写真や映像で確認すると、同じ黒目が下を向いているように見えつつも微妙に黒目の位置は違う事がわかります。やや前向き……やや後ろ向き……と。初めの段階でやや下向きに付けられてしまったのではないかと推定できます。
 もちろん、ミニチュアセットでもわかる通り、当時はゴジラより大きい建物は少なく、見下ろすシーンが多くなるだろう事を考えてあえてそうしたとも考えられます。数少ない正面向きや見上げるシーンでは、1号スーツの頭部だけのものや別に作られているギニョール(皆さんご承知の通り顔の作りが大きく違うもの)を使用すればいいわけですから。スーツが全身写っていたり、引きの絵ではほとんど目の開閉はほとんどないようです。
 また、当時のスーツのクオリティを考えれば、撮影中に眼球が振動や衝撃で動いてしまったりは多々あったでしょうし、固定すら難しかったと思われます。自然に黒目が回り込んで下向きになったのも不思議ではありません。

 ただし、数少ない2号スーツがちゃんと正面に黒目が向いている写真も残っています。宝田さんや河内さんと写っている宣材用のスチールなどでは黒目は正面を向いているものがあります。おそらくこれは宣材用に手で動かして位置を調整したのではないかと推測しているのですが、(モノクロなので不確かではありますが)、スーツの傷み具合から考えて撮影前半の時期ではないかと思います。だとすれば、まだ眼球位置がある程度自由に調整できる時期だったのかもしれません。
 いずれにしても円谷監督や当時のスタッフの証言の中にも、黒目の位置に関する記述は残されていないようですので、どの程度までこだわっていたのか、意図はあったのかは推測でしか探るしかないようです。

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