🍀お金さんと時間さんは仲良し🍀
「お金を大切にしていますか?」
という質問は、
「時間を大切にしていますか?」
という質問とイコールだと考えます。
例えば、お金を大切にしている人は時間を大切にしているし、
お金を上手に使っている人は、時間の使い方も上手です。
僕がこの考えを持ったのは、
たいそう資産を持つ知人に、お金持ちについての話を聞いたことがきっかけでした。
その人は、お金持ちをたくさん知っているので、
共通点を教えてくれたのですが、
その1つがテレビを見ないこと。
テレビというのは、いつの間にかダラダラ見てしまい、時間の無駄遣いにつながります。
自分の頭で考えなくなってしまいます。
テレビを見る時間があれば、物事を考えることに使いたい。
それが、お金持ちの共通点の1つでした。
同じ理由で、お金持ちはネットサーフィンやゲームをやらないそうです。
必要な道具としてパソコン等のコンピューター機器は持っていますが、
それは、ただの道具。
自分が支配されるような使い方は決してしないといいます。
そして、僕が見ていても、お金持ちはみんな早寝早起きです。
夜10時には寝てしまい、朝刊が届くのを待っている人もいるほどです。
日中とても忙しいうえに、判断したり考えたりしなければいけないことがたくさんある。
だからそうやって時間を有効に使い、体をメンテナンスしているのでしょう。
それに引き換え、
「時間がない」「忙しい」と言っていながら、
時間を無駄に使っている人が、なんと多いことでしょう。
僕にしても同じです。
そんなとき、自分をいさめる意味で、いつも思い出す言葉ことがあります。
〈われわれは、わずかな時間しか持っていないのではなく、実はその多くを浪費しているのである。
人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、
最も偉大なことを成し遂げられるほどに豊富に与えられているものだ〉
ローマ帝国の哲学者セネカが『人生の短さについて』と題して述べた言葉です。
時間さんと仲良くするには、セネカの言葉を肝に銘じて、時間を浪費しないこと。
そして、約束を守ること。
例えば、「◯時に待ち合わせ」となったら時間通りに行く。
締め切りや支払い期限はきっちり守る。
時間の約束を誠実に守るだけで、
時間さんに好かれるし、信用という自分の財産が知らぬ間にたまっていきます。
勤ちゃんと務くんの働くバランスを考えることは、
お金と時間のバランスを考えることにもつながります。
勤ちゃんは働き者でコンスタントにお金を稼ぐことができます。
その分、時間がなくて、先のことを考えるゆとりを持っていないことが多いようです。
いっぽう務くんは、あまり働かないぶん、たっぷり時間があります。
しあわせとは何か、世の中で自分が果たすべき役割は何か、思考する力を持つのは務くんです。
自分株式会社の社長たるあなたは、勤ちゃんと務くんという二人の社員を大切にすると同時に、
「お金さん」「時間さん」という2人の友達とも、うまく付き合っていかねばなりません。
お金さんは夢を叶えようというとき、力になってくれる頼もしい友だちです。
しかし、
時間さんがなければ、夢を味わう時間が持てません。
そもそも時間さんとつきあわないままで忙しくしていたら、
夢を持つことすらできなくなります。
お金さんと時間さん、双方と仲良く使うことがいかに大切か、
改めて気づかせてくれたのは、友人でもある料理人でした。
彼は、すこぶる熱心な働きもので、勉強も怠らないから、
料理の評判も良く、お客さま絶えない日々が続いています。
傍目からは万事が順調で、活躍ぶりをうらやむ人もいたことでしょう。
しかし、彼はあるとき、こういったのです。
「ここ数年、働きすぎたから、
自分の勉強のために1年間、休もうと思う」
すごい人だな、と思いました。
自分株式会社の社長として、勤ちゃんに休暇を取らせて、
その時期は務くんに働いてもらおうというのです。
僕が述べてきた理想とおりのやり方ですが、こんなに潔くできる人は、なかなかいません。
しかし、もっと驚いたのは、
彼が言い添えたこの言葉。
「だから、引っ越すことにした。
収入は、がくんと落ちるだろうから、
家賃が今の半分くらいのところに移るよ」
一年休むという正しい判断力、潔い行動力、冷静な覚悟。
収入に合わせて生活を変えるというのはあたり前の話ですが、
簡単にはできないことです。
1年が過ぎたとき、勇気ある彼がもっといい料理人になっていることは、間違いないでしょう。
仕事がうまくいかないとき、
すべてが思うようにいかないとき、
過ちを犯してつまずいてしまったとき、
状況を打破するために必要なのは、
勇気だと思います。
勇気を手に入れる唯一の方法は、
健康です。
若ければ、週に1日しか休まず、1日12時間フルに働いても、なんとかなります。
しかし、これをずっと続けたら、いずれ体を壊してしまうでしょう。
「会社が休めない雰囲気だ」
とか
「みんなが残業してると帰りづらい」
という人がいますが、
決められた時間内に仕事を終え、きちんと休むことも、時間さんと仲良くする方法です。
そのためには、まわりに合わせないという勇気もいります。
フランス菓子「オーボンヴュータン」のオーナーパティシエ・河田勝彦さんを取材したとき、こんなことを伺いました。
お菓子の世界は、朝早くから夜中まで仕事をするのは普通とされていますが、
河田さんは、「意味がわからない」とおっしゃっていました。
仕事をそこまでしてやらなきゃいけない理由がよくわからないし、
その仕事が好きで続けていきたいならなおさら、無理をして働く意味がわからない。
1日中、河田さんの仕事ぶりを見学させていただいて、
「意味がわからない」という言葉が腑に落ちました。
最高のお菓子をつくるために、河田さんは心と体と頭を総動員しています。
こんなに集中していたら、長時間やるのは、どうやったって無理だとわかったのです。
早く帰ってリセットしたり、ちゃんと休んで気持ちを切り替えたりしてこそ、
一流の仕事が、長きにわたって続けられるのでしょう。
お金さんと時間さんも、タイプは違うけれど、
根本には共通点を持つ親友としてつきあいたい、
僕はそう思っています。
自分の暮らしをすこやかに循環させるべく助けてくれる親友です。
そのためにも、健康に気をつけ、
勇気がわく体を維持しようとしています。
だから勇気を持って、ときどき休むことにしています。
(「松浦弥太郎の新しいお金術」より)
「お金を大切にしていますか?」
という質問は、
「時間を大切にしていますか?」
という質問とイコールだと考えます。
例えば、お金を大切にしている人は時間を大切にしているし、
お金を上手に使っている人は、時間の使い方も上手です。
僕がこの考えを持ったのは、
たいそう資産を持つ知人に、お金持ちについての話を聞いたことがきっかけでした。
その人は、お金持ちをたくさん知っているので、
共通点を教えてくれたのですが、
その1つがテレビを見ないこと。
テレビというのは、いつの間にかダラダラ見てしまい、時間の無駄遣いにつながります。
自分の頭で考えなくなってしまいます。
テレビを見る時間があれば、物事を考えることに使いたい。
それが、お金持ちの共通点の1つでした。
同じ理由で、お金持ちはネットサーフィンやゲームをやらないそうです。
必要な道具としてパソコン等のコンピューター機器は持っていますが、
それは、ただの道具。
自分が支配されるような使い方は決してしないといいます。
そして、僕が見ていても、お金持ちはみんな早寝早起きです。
夜10時には寝てしまい、朝刊が届くのを待っている人もいるほどです。
日中とても忙しいうえに、判断したり考えたりしなければいけないことがたくさんある。
だからそうやって時間を有効に使い、体をメンテナンスしているのでしょう。
それに引き換え、
「時間がない」「忙しい」と言っていながら、
時間を無駄に使っている人が、なんと多いことでしょう。
僕にしても同じです。
そんなとき、自分をいさめる意味で、いつも思い出す言葉ことがあります。
〈われわれは、わずかな時間しか持っていないのではなく、実はその多くを浪費しているのである。
人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、
最も偉大なことを成し遂げられるほどに豊富に与えられているものだ〉
ローマ帝国の哲学者セネカが『人生の短さについて』と題して述べた言葉です。
時間さんと仲良くするには、セネカの言葉を肝に銘じて、時間を浪費しないこと。
そして、約束を守ること。
例えば、「◯時に待ち合わせ」となったら時間通りに行く。
締め切りや支払い期限はきっちり守る。
時間の約束を誠実に守るだけで、
時間さんに好かれるし、信用という自分の財産が知らぬ間にたまっていきます。
勤ちゃんと務くんの働くバランスを考えることは、
お金と時間のバランスを考えることにもつながります。
勤ちゃんは働き者でコンスタントにお金を稼ぐことができます。
その分、時間がなくて、先のことを考えるゆとりを持っていないことが多いようです。
いっぽう務くんは、あまり働かないぶん、たっぷり時間があります。
しあわせとは何か、世の中で自分が果たすべき役割は何か、思考する力を持つのは務くんです。
自分株式会社の社長たるあなたは、勤ちゃんと務くんという二人の社員を大切にすると同時に、
「お金さん」「時間さん」という2人の友達とも、うまく付き合っていかねばなりません。
お金さんは夢を叶えようというとき、力になってくれる頼もしい友だちです。
しかし、
時間さんがなければ、夢を味わう時間が持てません。
そもそも時間さんとつきあわないままで忙しくしていたら、
夢を持つことすらできなくなります。
お金さんと時間さん、双方と仲良く使うことがいかに大切か、
改めて気づかせてくれたのは、友人でもある料理人でした。
彼は、すこぶる熱心な働きもので、勉強も怠らないから、
料理の評判も良く、お客さま絶えない日々が続いています。
傍目からは万事が順調で、活躍ぶりをうらやむ人もいたことでしょう。
しかし、彼はあるとき、こういったのです。
「ここ数年、働きすぎたから、
自分の勉強のために1年間、休もうと思う」
すごい人だな、と思いました。
自分株式会社の社長として、勤ちゃんに休暇を取らせて、
その時期は務くんに働いてもらおうというのです。
僕が述べてきた理想とおりのやり方ですが、こんなに潔くできる人は、なかなかいません。
しかし、もっと驚いたのは、
彼が言い添えたこの言葉。
「だから、引っ越すことにした。
収入は、がくんと落ちるだろうから、
家賃が今の半分くらいのところに移るよ」
一年休むという正しい判断力、潔い行動力、冷静な覚悟。
収入に合わせて生活を変えるというのはあたり前の話ですが、
簡単にはできないことです。
1年が過ぎたとき、勇気ある彼がもっといい料理人になっていることは、間違いないでしょう。
仕事がうまくいかないとき、
すべてが思うようにいかないとき、
過ちを犯してつまずいてしまったとき、
状況を打破するために必要なのは、
勇気だと思います。
勇気を手に入れる唯一の方法は、
健康です。
若ければ、週に1日しか休まず、1日12時間フルに働いても、なんとかなります。
しかし、これをずっと続けたら、いずれ体を壊してしまうでしょう。
「会社が休めない雰囲気だ」
とか
「みんなが残業してると帰りづらい」
という人がいますが、
決められた時間内に仕事を終え、きちんと休むことも、時間さんと仲良くする方法です。
そのためには、まわりに合わせないという勇気もいります。
フランス菓子「オーボンヴュータン」のオーナーパティシエ・河田勝彦さんを取材したとき、こんなことを伺いました。
お菓子の世界は、朝早くから夜中まで仕事をするのは普通とされていますが、
河田さんは、「意味がわからない」とおっしゃっていました。
仕事をそこまでしてやらなきゃいけない理由がよくわからないし、
その仕事が好きで続けていきたいならなおさら、無理をして働く意味がわからない。
1日中、河田さんの仕事ぶりを見学させていただいて、
「意味がわからない」という言葉が腑に落ちました。
最高のお菓子をつくるために、河田さんは心と体と頭を総動員しています。
こんなに集中していたら、長時間やるのは、どうやったって無理だとわかったのです。
早く帰ってリセットしたり、ちゃんと休んで気持ちを切り替えたりしてこそ、
一流の仕事が、長きにわたって続けられるのでしょう。
お金さんと時間さんも、タイプは違うけれど、
根本には共通点を持つ親友としてつきあいたい、
僕はそう思っています。
自分の暮らしをすこやかに循環させるべく助けてくれる親友です。
そのためにも、健康に気をつけ、
勇気がわく体を維持しようとしています。
だから勇気を持って、ときどき休むことにしています。
(「松浦弥太郎の新しいお金術」より)