先日、施設入所者との家族面談の前に後期研修医と、家族の心情についてはなしをしました。意思決定などを行う面談の際、ご家族の心情を考慮しながら面談を行うことも重要かと感じています。たとえば、医療者側からみてメリットが少ないと感じる医療行為に対して、「してほしい」という家族の心情には様々なものがあります。その1つに「自責感」があることがしばしばあります。また、なかなか面会に来ない家族と、逆に面会に毎日のようにいらしている家族との心情が時に同じようなベースから来ていることを感じることもあり、それが「自責感」であったりすることもあります。「自責感」に限らずですが、ご家族の発言や意向にはどのような心情や背景があるのかを、施設の職員にも事前に聞きながら、面談のなかで把握していき、それを意識した面談を行うことは家族への心理的ケアという意味でも、よりよい意思決定という意味でも重要と思っています。
以前、施設入所者の家族の心情について、調べたことがあるので、それを紹介します。
★身内を施設に預けることに対して、苦悩や葛藤や罪悪感を抱くことがある。(Kellet,Ryan,Longueら複数の文献)
★杉澤らの報告:罪悪感・羞恥心・挫折感など何らかの精神的な負担を感じている家族は全体の4割
★井上の報告:グループインタビューで、「入居家族が抱く迷い」として“預けたことへの後ろめたさ・罪悪感・自責の念”、“面会に行くことへの躊躇・遠慮”、“入居者への関わり方の不安”、“入居者の変化に対する悲しみと戸惑い”をあげた
家族の心情をある程度把握し、その心情を肯定したり、その中での患者への関わり方を、医療者の立場からアドバイスできるといいのかなと思っています。それが最終的には患者ベースの意思決定などにつながることもあるのかなと感じます。実際には難しいことも多いのですが・・・、面談技術の1つとして、今後も模索したいところです。
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