先日のカンファレンスで、後期研修医と会話をしていて、抗菌薬の皮下注のはなしが出たので、それについて少し紹介したいと思います。
在宅においては、皮下輸液は通常の経静脈的な輸液と比較して行いやすく、一般的にもよく行われています。患者さんや家族の希望(できるだけ入院せずに在宅で過ごしたい)や入院のデメリットが強い場合(入院するとADLが低下しそう・せん妄が起こりそう・抑制が必要になりそう)には、在宅で抗菌薬を使用して、肺炎や尿路感染症などの感染症を乗り切ることがあります。だいたい、1日1回でよいという点でセフトリアキソンを使用することが多いです。そのようなときに、皮下注で抗菌薬投与を行う医療機関もあるのを聞きました。確かに、輸液は、点滴が抜けちゃったときや、家族が抜きやすいという意味で皮下輸液を使用することも多いですし、抗菌薬だけ別に投与するのは患者さんに2回(以上)針をさして痛い思いをさせることになります。また、実務的に時間的な短縮という意味でもそれで効果がかわりないのであればよいのかもしれません。その根拠はなにかあるのかなと思い、以前少ししらべたことがあります。以下に内容を記します。
<セフトリアキソンは皮下点滴でもよいか>
★臨床的アウトカムを検討した研究なし
薬物動態を検討した研究のみ
★Bornerら(Chemotherapy 1985)
10人の健康なボランティアに、CTRX2gIV後、0.5g皮下注(SC)群と0.5g静注(IV)群に分けて(クロスオーバー)、半減期・分布容積・AUCを測定⇒SC群とIV群で違いなし
★Bricaireら(Pathol Biol)
8人の健康なボランティアに、1~3Day:IV 4~6Day:SC(CTRX2g)
IVとSCで血中濃度は同様
★Harbら(Curr Med Res Opin 2010)
30人の健康なボランティアに、SC・ヒアルロニダーゼ含有群とSC・プラセボ群とIV群の3群に分けてCTRX1g投与⇒CmaxとTmaxは、IV群、 SC・ヒアルロニダーゼ含有群、SC・プラセボ群の順に高かった。
しかし、AUCは3群で変わらず。
薬物動態という観点からは、皮下注でもよさそう
(ElieteらのReiewでも同様の見解:3つの論文+Fraの論文)
★副作用は?
(上記レビューの記載より)
局所の皮膚所見のみだが、2g投与はより重篤?
これらの結果を考えると、状況下によっては、経静脈的な投与が難しい場合や負担が生じる場合には、セフトリアキソンの皮下点滴は許容されるのかなと感じました。
在宅においては、皮下輸液は通常の経静脈的な輸液と比較して行いやすく、一般的にもよく行われています。患者さんや家族の希望(できるだけ入院せずに在宅で過ごしたい)や入院のデメリットが強い場合(入院するとADLが低下しそう・せん妄が起こりそう・抑制が必要になりそう)には、在宅で抗菌薬を使用して、肺炎や尿路感染症などの感染症を乗り切ることがあります。だいたい、1日1回でよいという点でセフトリアキソンを使用することが多いです。そのようなときに、皮下注で抗菌薬投与を行う医療機関もあるのを聞きました。確かに、輸液は、点滴が抜けちゃったときや、家族が抜きやすいという意味で皮下輸液を使用することも多いですし、抗菌薬だけ別に投与するのは患者さんに2回(以上)針をさして痛い思いをさせることになります。また、実務的に時間的な短縮という意味でもそれで効果がかわりないのであればよいのかもしれません。その根拠はなにかあるのかなと思い、以前少ししらべたことがあります。以下に内容を記します。
<セフトリアキソンは皮下点滴でもよいか>
★臨床的アウトカムを検討した研究なし
薬物動態を検討した研究のみ
★Bornerら(Chemotherapy 1985)
10人の健康なボランティアに、CTRX2gIV後、0.5g皮下注(SC)群と0.5g静注(IV)群に分けて(クロスオーバー)、半減期・分布容積・AUCを測定⇒SC群とIV群で違いなし
★Bricaireら(Pathol Biol)
8人の健康なボランティアに、1~3Day:IV 4~6Day:SC(CTRX2g)
IVとSCで血中濃度は同様
★Harbら(Curr Med Res Opin 2010)
30人の健康なボランティアに、SC・ヒアルロニダーゼ含有群とSC・プラセボ群とIV群の3群に分けてCTRX1g投与⇒CmaxとTmaxは、IV群、 SC・ヒアルロニダーゼ含有群、SC・プラセボ群の順に高かった。
しかし、AUCは3群で変わらず。
薬物動態という観点からは、皮下注でもよさそう
(ElieteらのReiewでも同様の見解:3つの論文+Fraの論文)
★副作用は?
(上記レビューの記載より)
局所の皮膚所見のみだが、2g投与はより重篤?
これらの結果を考えると、状況下によっては、経静脈的な投与が難しい場合や負担が生じる場合には、セフトリアキソンの皮下点滴は許容されるのかなと感じました。
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