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肥宝館 -貧すれば丼する-

【東北自動車道 佐野SA 上り】 「佐野ラーメン煮玉子入り(750円)」

ストライキから3週間。佐野SAのラーメンはいま

お盆真っただ中の2019年8月14日、東北道・佐野SA上り線のフードコートと売店の営業が一斉にストップした。従業員がストライキを起こしたのだ。NEXCO東日本から佐野SAの運営を任されているケイセイ・フーズが倒産危機にあるとの情報が取引先に露見し、7月末から一部業者が納品を中止する事態に発展。倉庫は空に。

そんな中、SAの総支配人で社長の側近が、経費で高級車と家電を購入した事が発覚。また恒常的なパワハラや労使問題も従業員の不満を爆発させた。状況改善に向け、大手総合商社出身の総務部長・加藤氏が商品再納入のために覚書を作成。一旦は社長がサインをするも翻り反故に。口論の末、加藤氏は解雇されたそうだ。

佐野SAを成長させた功労者で、従業員からの信頼も厚かった加藤氏の不当解雇に、多くの従業員が反発。解雇撤回と経営陣退陣を求めストライキを敢行。8月16日の朝からフードコートと売店は関連会社や日雇いスタッフを集めて営業を再開した。しかし、不慣れなため、ラーメン提供まで1時間というケースもあったそうだ。

ストライキから3週間。佐野SAの状況を確認すべく上り線フードコートへ。到着したのは夜8時。ご飯時ではあるが駐車場には結構空きがあり、誘導灯を降る警備員が車1台に5人態勢で方向を指示していた。もしかして、まだ復旧していないのか?しかし、嫌な予感も何のその、売店には商品がしっかり納品されていた。

ラーメンは佐野ラーメン、とんこつ辛味噌ラーメンの2種で、煮玉子やチャーシューを追加可能。また、フードコートなので、ウドンや蕎麦、カレー、ソースカツ丼、生姜焼き定食などもラインナップしている。食券右肩の数字が呼ばれたらカウンターまで取りに行く方式。今回は「佐野ラーメン」を煮玉子入りで注文した。

席で待つこと7分で商品完成の案内が。フードコート内はさほど混んではいなかったが、8杯同時のサーブ。かなり待った人も居ただろう。私の場合は箸とレンゲの配膳忘れに加え、チャーシューの乗せ忘れも発生。厨房からはグリーストラップの悪臭も漂う。態勢が整い切れていないのだろう。従業員が必死なだけに可哀想だ。

ラーメンは薄く醤油の色がついた清湯に、青竹打ちを機械で再現した不揃いな平打ち縮れ麺が泳ぐ、オーソドックスな佐野ラーメンだ。出汁は豚骨、鶏ガラがメインだろうか。あっさりした飲み口で老若男女が楽しめる味わいに。麺の食感も良い。味玉、メンマは業務用感が強いが、チャーシューは安っぽくないのが嬉しいところ。

もちろん、フードコートなりのクオリティで十分満足なのだが、惜しいのはスープがぬるかった点だ。スープと麺揚げの連携が取れていないようで、ここにも厨房の混乱が見える。淀んだ経営体制のなか、加藤氏という改革派を選び蜂起した従業員たち。早く落ち着いて営業を行える態勢が整うよう祈っている。

<店舗データ>

【店名】 佐野SA上り線スナックコーナー
【住所】 栃木県佐野市黒袴町1022
【高速】 東北自動車道「佐野SA」上り

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