好きと好きを掛け合わせた麻薬的メニュー
名古屋市の栄4丁目一帯、通称「女子大小路」は、居酒屋やフィリピンパブ、中国系マッサージ、ホテルなどが立ち並ぶ歓楽街。アパホテル脇、客引きたちの外国語が飛び交い混沌とした交差点に、パンチのきいたラーメン屋がある。
その名も「らー麺や」。夜6時から朝方まで営業という歓楽街の優等生だ。メニューにはお馴染み台湾ラーメンや、ニンニクたっぷりのベトコンラーメン、怪しいマヨネーズ麺など変わり種が多いが、インパクトでは「カツカレー麺」が一等賞。
浅めの丼に盛られたカレーとカツと中太麺。丼の頂上には美しい卵黄の月。はしご酒の果てに観る卵黄は脳をダメにするようで、大して腹など減っていないのに食欲が湧いてきた。割りたい、月を割りたい。走る箸。黄身とドーパミンが噴き出し恍惚。
カレーは辛さもスパイスも控えめ。しかし豚ひき肉が入っているので麺に絡める餡としては優秀。カツはあまり上等なものではないが、こういうものは上等過ぎると雰囲気が出ないのだ。丼を支配するニンニク臭が罪悪感を積み増していく。好きと好きを掛け合わせた麻薬的なメニューに夢中でむさぼりつく大人たち。
こんなチープでジャンクな麺が1050円。冷静に考えれば、ちと高い。だが酒と歓楽街の雰囲気にのまれ、そんな事はどうでもよくなる。シラフで食べて冷静な感想を吐いては酔いも夢も覚めてしまう。ぜひ明け方、朦朧とした意識の中で啜ってほしい。
<店舗データ>
【店名】 らー麺や
【住所】 愛知県名古屋市中区栄4-8-1
【最寄】 地下鉄東山線「栄駅」徒歩5分