「語れなかった仲間との死別」で書いた時代の恩師のことだけどね お世話になった担任の女の先生が旅立ってしまったよ 突然の訃報に俺はただただ言葉を失ってしまったよ
携帯に突然かかってきた相手は恩師の息子さんだった 携帯番号を知る由もない筈の電話に俺は驚かせられながらも、同時に不吉な予感が奔ったよ まさか!と思いながらも俺は冷静に応対をしたよ
息子さんが、ゆっくりと一言一言を慎重に語る言葉に、俺は呼応するかのように「まさか!まさか!」の言葉が脳裏を駆け巡った 最後の「亡くなりました!」の言葉だけが脳味噌に突き刺さったよ
「同窓生の皆さんに知らせてもらえませんか」と依頼されても、俺は言葉が返せない 応えようとしても声が発せられず、喋れない状況に陥ってパニック状態になってしまった 喉元の膠着状態から脱することができない
しばらくの絶句状態から、必死に絞り出した言葉が「わかりました 皆に連絡させていただきます」が精一杯の言葉だった 葬儀日程だけは書き残したもののそれ以外に聞いた話は全て聞き漏らしてしまった
意外な俺自身の反応に驚きを感じてしまったよ ごく自然に汲み上げてくる激しい感情にタイムスリップをした 若かりし頃の激しい感情が蘇ってきた 泣きたくても涙も出ない高齢に達していた筈なのに不思議な感情に陥ったよ
冷静沈着な対応には自信のあった俺が動揺をした それも激しく体が反応した 何がこのような反応を呼び起こすのか分からなかった 恩師に対する思慕の情は確かにあると自覚はしているがその過敏ともいえる反応には驚きを感じたよ
恩師から学んだ、人としての情操教育の表れかもしれない 恩師に対する嫌な感情を抱いたことは一度もない ただただ明るくさっぱりした先生で、はっきりと物事を言う先生で、男の背中を押し出してくれるような先生だった
幼少期の深層心理に刻み込まれた、絶対的な信頼感が宿っていたのかもしれない 悲しい事故でもあった「語れなかった仲間との死別」が俺たちの心に焼き付いているのかもしれない
その時に学んだ心の教育が染みついている 明るく前向きに導いてくれた恩師に対する絶対的な信頼と、「人としての心」が深い絆となって根付いていたのかもしれない
通夜の晩に、人一倍悲しんで涙を滲ませ、堪えていた仲間は「悲惨な事故」の主役となった男だった そいつの発した言葉は「俺は本当にこの先生には助けられたんだ、今日があるのはこの先生のおかげだよ」と発したよ
俺にはそいつの言ってる深い意味がすぐに分かったよ 「語れなかった仲間との死別」から立ち直れたのは正に恩師のおかげだよ そして俺たちクラスメイトも多くのことを学んだんだよ 人としての心をね
小学校を卒業以来、クラス会は何十回にも及び続いてきた 恩師の高齢に伴い、頻繁に行うようになってもいた 珍しく恩師が欠席する事態が起きて、心配していた矢先だった
恩師は欠席の詫び状を手紙として幹事に持たせてきた 珍しく弱気な文面に驚かされもしたが、それほど深刻な事態とも誰一人思わなかった 回復した姿しかイメージできなかった
「弱弱しい姿を見せたくない!元気な姿で次回はお会いできるように楽しみにしています」と書かれていた それだけに突然の訃報には驚かされたってことも言えるけどね
ただただ感謝の気持ちを抱きつつ「ご冥福をお祈りいたします!」としか言えないよ 教育の原点に触れた幼少期だったと心から感謝しているよ
それにしても当時の俺達は10~12才だからね 恩師は30~32才だよ この年齢の女教師がこれ程心の琴線に触れる教育ができるのかね 深層心理に刻み込まれた情操教育だね
どんな言葉を聞いて、どんな具体的指導を受けたのかは全く認識できていないよ 常に明るく前向きで、さっぱりした性格の良い先生だったとのイメージだけが残っている 男前だったよ
今日の日本の教育に欠けているものがあるとすればこんな感覚かね 言葉では言い表せないものだね この年になって30才の女教師の偉大さに頭が下がるよ 感謝感謝だよ
桜のように華やかな先生だったね 卒業式は校庭の名物桜が満開だったよ
これって 天国に続く糸かね
今頃 天使になってるね
先に逝った仲間が何人も出迎えているからな 寂しくはないか
安らかにおやすみください!
語れなかった仲間との死別 2012年 6月 7日 記載
俺が小学校の5年生の頃のことだよ 時期は記憶が定かではないけどね 亡くなった恩師が担任だった時の出来事だった
仲良くしていた男友達が交通事故で死んだよ 凄いショックだったね 直前まで遊んでいた仲間だからね
そいつは運動能力が学年でも飛び抜けて凄かった 足が速いし運動神経が発達してたよ
甘いマスクで男前だよ 女子にも好かれていて「憧れの人」みたいな存在だったね 男友達も多くて誰からも好かれていたよ
小学校では運動会は花形行事だろ スターだよ 俺も脚は速かったけどね とても適わぬ相手だったよ
そんな奴が 突然、交通事故で死んでしまったよ 一緒に遊ぶ予定だったけど二度と会えなくなってしまった
俺たちは学校が終ると校庭で暗くなるまで良く遊んだんだよ その日も、俺は帰宅しないで校庭で遊んでいたよ
そいつは一度帰宅して、学校に遊びに戻ってくる途中だった、仲間の自転車に二人乗りで学校に向かってるときだったんだ
後ろから来たダンプに巻き込まれて事故になったようだ 狭い道路でダンプが来ると路肩がなくなるからね 危ない道路なんだ
昔の道路は酷い状態だったからね アスファルト舗装にはなっていたんだけどね、工事用のダンプの通行が激しかったんだ
重い荷物を積んだダンプは道路を壊して、路面のアスファルトを波のように歪めてしまうんだよ
自転車に二人乗りをした仲間は左側通行で道路の歪みに振られたんだね その時にダンプが来たようだ
後ろに乗っていた仲間がダンプに巻き込まれた 後輪で轢かれて引きずられたよ 悲惨な事故になってしまった
自転車を運転した仲間は無傷で無事だったけど、死んだ仲間の姿は悲惨だったと思うよ 生き残った仲間は見てしまったんだね
生き残った仲間の心の底には入り込むことは出来ないよ 聞くこともその事を話題にすることも出来ないよ
自分だけが無傷で生き残ったんだからね ハンドルは自分が握っていたんだからね 自分が死なせてしまったとの思いが強かったと思う
仲間の悲惨な姿を見たショックは言葉にならないだろうね 事故現場の壮絶な痕跡は惨たらしさを連想させるものだったよ
今でも仲良くしてる仲間だけどね この事件のことを聞いたことも話したこともないよ 心情は痛いほど分かるからね 周りもどの様に接すれば良いか分からなくなったよ
事故が起きた時、俺は校庭で遊んでいたよ 救急車のサイレンが鳴り響いたよ 何かあったと気になったけどね
そのうちに仲間の一人が「たいへんだ!○○がダンプに轢かれた」と言って走ってきたよ
俺たちはビックリして現場に駆けつけたよ 現場にはもう誰もいなかった でも事故の痕は直ぐに分かったよ
血溜まりの中にはどろどろの朱色の血の塊があった 道路には血の帯が5m位付いていたよ
轢きづられた跡だよ よく見ると肉が挽き肉状態になってこびり付いていた
赤い血は年中見ているけどね 朱色のどろどろした血ははじめてみたよ 異常な血だったね 頭を潰したかもと思ったよ
背筋がぞっとしたよ 一瞬で助からないかもと感じたね 事故の痕跡はすさまじい状態だったよ
二人乗りだから二人ともやられたのかと思ったけどね、一人は無事だったと後で確認出来たから、ホット一安心はしたけどね
もう一人は瀕死の危篤状態だったからね 無傷に危篤状態と明暗を分けた結果に複雑な思いがあった 事故の一瞬の怖さを感じたね
助かることを願っても、壮絶な事故の痕跡を見てるからね 絶望感が強かったけど、奇跡を信じるしかなかったね
翌日、学校で事故の説明を受けたよ、助かっても両足切断になるかもしれないとの話もあった 一瞬、助かるかもと希望を持ったよ
「走れなくなるのか」それでも助かって欲しいと願ったけどね、夕方には帰らぬ人となってしまったよ
お別れに行きたいとお願いしたけどね、遺体の損傷が激しいのか、会わせてもらえなかった 見ないほうが良いと説得されたよ
クラスでは生き残った仲間にどう接するかが話し合われたよ 当人はショックで何日か学校を休んだと思う 問題は生き残った仲間に掛ける言葉だね
クラスでは今までどおり、何もなかったように接することにしたと思う 事故の話をクラスで話題にしたことがないよ
仲間の心の傷に触れたくなかったんだね 誰しもがタブーな事として触れなかったと記憶しているよ 自然に接することに徹したよ
下手な慰めは逆効果だよ 普通に誘って遊んで過ごしたよ 笑いを取り戻せるように普通に接したよ 本人に笑いを求めることもしなかった
仲間同士がじゃれ合ってふざけて笑っている中に放置していたよ 本人の心が打ち解けるまでじっと待ったよ 自然に笑顔が戻ってきたよ
仲間が心底笑えるようになるにはかなりの時間がかかったように記憶してるよ 死んだ仲間は別のクラスだったのも良かったのかもね
死んだ仲間への思慕の情は皆が共有していたけどね、口には出さなかった 人気者の思い出話は山ほどあるけどね 悲しみはそれぞれの胸の内にしまい込んだよ
悲惨で悲しい事故だった 残酷なことを目の当たりにしたよ ショックな出来事だったね 死んだ仲間を思っても、生き残った仲間を救う方法を優先したよ
担任の先生が勇気付ける言葉を与え続けたと思うよ 生き残った仲間は陽気で元の人気者に戻ったよ 陰のある表情はまったく見せなくなった 克服したんだね
責任感のある男だからね 心の葛藤は想像を絶するものだったと思うけどね 仲間の対応も良かったと思うよ 誰一人傷つけるような発言はしなかったよ
現代で同様の事故があったらどの様に対応するかね 興味本位に聞いたり話題にしたりしないかね
どんな対応が正しいかは分からないけどね 俺たちの仲間が取った対応は記載したとおりだよ 生き残った仲間の再起を優先したよ
人を思いやる情の世界だと思うね 先生の指導も良かったんだろうね 思いやりだよね
仲間が死んだことの後悔は、当事者の胸にグサリと突き刺さっていて痛ましいものだった 誰しも口にできずに沈黙を守ったよ
悲しい事故と受け止めて、苦しむ仲間の立ち直りをじっと待ったんだよ 笑いを取り戻すまでね 涙を抑えて仲間の再起を願ったよ
仲間の死に直面して「人は何時死ぬか分からないんだ」との認識はさせられたよ
突然、仲間がいなくなってしまう悲しさや寂しさに、死ぬって事の意味が実感として伝わってきたよ
人の死を強く感じた出来事だったね いままで、死んだ仲間を思い出し語ることはできなかったよ 傷つく仲間がいるからね
このことを知ってる仲間同士では、語れなかった悲しい話だよ 今でも会話にできない悲しい出来事だね
ある日突然ひとりぼっちになることもありそうだなー あ〜る日突然ってやつだな
ひとり暮らしじゃ誰も見送ってくれないぞ! 仲間を増やさないとなぁー
少子高齢化だからな!子育てしないとな!
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