6月5日、日本労働弁護団が、「#ライドシェア 」の実施に反対する緊急集会を開催❗
まずは日本版「ライドシェア」の問題点について、日本労働弁護団常任幹事の中村優介弁護士が問題を提起。
1 「日本型ライドシェア」とは
⑴ 「ライドシェア」の特徴
①事業許可なし
②有償旅客運送のための運転免許(日本では二種免許)なし
③運転者は個人事業主
④運転者所有の自家用自動車により運送
⑤運賃事前確定
⑥運賃が需給バランスによって変動
⑵ 「日本型ライドシェア」の特徴
・既存のタクシー会社と運転者が雇用契約を締結(①③)
・二種免許不要(②)、自家用車による運送(④)、運賃事前確定(⑤)
・変動運賃制なし
⑶ 「日本型ライドシェア」と既存のタクシー運転者との違い
→二種免許の要否/自家用車か事業用車か
※個人タクシー運転者は事業許可を得て(①)事業用車で運送(④)
2 「行きすぎた」規制緩和と規制強化の流れ
・2000年道路運送法改正(2002年施行)による新規参入及び車両の大幅増加
・2013年改正タクシー特措法による、車両台数規制を通じたタクシー運転者の労働条件改善
・2016年国家戦略特区法改正でも歯止め(参議院附帯決議第4項「いわゆる「ライドシェア」の導入は認めないこと。」、同第5項「自家用自動車による有償運送において、観光客等を対象にする場合には、運転手に第二種運転免許の取得者を充てるなど、タクシー事業者に準じた安全対策を講ずること。」)
3 「日本型ライドシェア」実施のための通達の問題点
⑴ 道路運送法78条3号(自家用自動車を有償運送に利用できる場合)
○「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」
・通学通園のため、学校等が自家用自動車で行う有償旅客運送
・訪問介護事業者がタクシー事業の許可を得て行う、訪問介護員等による自家用自動車による有償旅客運送
など
○「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号)により、「日本型ライドシェア」を実施
⑵ 通達の問題点
①「雇用契約」の縛りなし
→運輸規則の改正により個人事業主の運転者を排除し得ない。
→「ライドシェア」一般に拡大する可能性
②あいまいな許可基準
「タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定していること。」
・アプリのマッチング率のみで調査を行い、マッチング率が90%を切る時間帯を「不足」として判断している。
・一部地域については、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」こととしたり、さらにこの場合に限らず、「営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみな」すこととしている。
…事実上、台数規制を緩和
→既存のタクシー労働者の賃金に影響する可能性
③消費者の選択権なし
…アプリ上でタクシーか自家用車かを選択できるようにする制限なし。
←アプリインストール時の「事前の承諾」で許容して良いのか?
4 おわりに-今後の議論の方向性?
○2024年5月31日開催 第19回規制改革推進会議
・「ライドシェア事業に係る法制度についての論点整理」
・岸田文雄内閣総理大臣発言「特に、デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋を付けるという観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用できるようにする必要があります。
斉藤大臣及び河野大臣におかれては、全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行ってください。その一環として、できるだけ早期に、その時点での検証結果の評価を行ってください。
並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、本日の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進めてください。」
○河野太郎規制改革担当大臣(2024年5月31日記者会見)
「これから全国各地でライドシェアが始まりますので、少なくとも年内はそういった状況を見ながらモニタリングをしっかりやっていきたい」
「移動の制約がなくなれば様子を見守れば良い」
「進行の状況がフラットになり、移動の、足の解消が止まってしまえば次のステップにいかなければなりません」
「その間しっかり法案の準備をして、次のステップに、必要なときには移行できるような準備はしっかり進めていく」
○「小さく産んで大きく育てる」
-「日本版ライドシェア」は「蟻の一穴」になりかねない
-二種免許規制の意義
○「悪貨は良貨を駆逐する」
-二種免許規制/事業許可規制の意義
-個人タクシー事業による運転者を含めた、タクシー運転者の労働条件に悪影響を及ぼす可能性
2 タクシー規制の歴史と意義
久松勇治(ハイタクフォーラム、日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長) ⬅ こちら「日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会② 私が話したこと「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」」
3 「ライドシェア」反対の運動と取り組み
林悦夫(全国自動車交通労働組合総連合会東京地方連合会書記長)
4 タクシー運転手の声
仲間盟(大日本労働組合特別執行委員)
秋山芳春(東京個人タクシー労働組合執行委員長)
5 市民の声
内田聖子(NPOアジア太平洋資料センター(PARC)共同代表)
RS解禁論には反対する理由として、安心・安全を主張するだけでは無理がある。
消費者はクオリティと安いものを同時に求める傾向がある。
RSのビジネスモデルがどのような構造なのかを理解させる必要がある。
公共交通はお金を払ってサービスを受けるだけでなく、移動の権利を担保するものでなければならない。
6 閉会あいさつ
佐々木亮(日本労働弁護団幹事長)
RS導入は2種免許制度の崩壊であり、しわ寄せは必ずタクシー乗務員など労働者につながる。
ここで歯止めをかけるために反対の声を強くあげていかなければならない。
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