よしーの世界

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僕の見た中流のアメリカ人   北村崇郎

2022-06-30 06:44:27 | 
1950年代から1980年代半ばまでの著者の実体験に基ずくアメリカ人論である。しかも著者は黒人文化を

研究しており、日本人が当時足を踏み入れていない場所にも頻繁に訪れ、緊張感を持ちながら生活を共に

し、尚且つアメリカに住む白人の平均以上の生活を営む人々との交流も深い。例えば、ある家庭では家長

がディナー・テーブルで食前の感謝の祈りを神に捧げ、手作りの食事を家族や客に分配し、皿に配られた

もの(子供たちが人参が嫌いでも)は必ず食べさせられ、デザートが終わるまで食卓を離れることが出来

ないという(現在では殆ど見ることがない光景のようだ)。


昔、アメリカ人が日本の住宅を見て「ウサギ小屋」と言ったとか、聴いたことが有るが著者の付き合いの

あるミドルクラスのアメリカ人の住居は敷地400坪、50坪の家ですから、圧倒的な差があります。土地の

広さも違いますが、アメリカ経済をけん引する産業の規模の大きさと社員に対する報酬が歴然とした違い

を生み出したのでしょう。


著者は封建制度を経験した国(日本のように)の人々は保守的な傾向が強く、アメリカのように変革を恐

れない、悪かったら変えればよいという思考にはなれないのではないかと分析する。確かにウィンドウズ

95が最初に出現した当時も発売をした後で、手直しばかりしていた記憶がある。最初に完璧を求める日本

企業の精神とは違い過ぎる。


つい最近までアメリカの株は絶好調だった。アップル、アマゾン、グーグルという企業が圧倒的な収益力

を誇ってきたが、ここにきて綻びを見せている気がする。こういう時代もあったという確認をするには最

適な本である。


   僕の見た中流のアメリカ人   北村崇郎       草思社
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