よしーの世界

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琉球とヤマト   島 征一郎

2022-06-18 08:09:26 | 
琉球沖縄の歴史を辿った本を読むのは初めてだと思う。しかも琉球の立場に立って書いているので

思いもよらない現実を見ることが出来た。何しろ石器時代から始まるのだ。そして縄文、弥生時代。

十一~十四世紀グスク時代、按司時代、ヤマトの明治維新と続く。昔、統一王朝は「全島に世界の

物産が満ち溢れていた」という。当然、当時の薩摩藩もただ眺めていたわけではない。1609年に琉

球に攻め入り薩摩藩の属国になっている。


琉球は明との朝貢貿易、さらに清国との朝貢が日本の教科書に記述されているが、本書ではヤマト、

特に薩摩藩との関係を中心に描いている章が細かく書かれいて理解しやすかった。日本史では米が

経済の中心とされていたが、海外、近隣地域との貿易は想像以上に活発で、大きな富を生んでおり、

大国の間に位置する琉球は重要な場所だった。


中国との関係、ヤマトの思惑により翻弄される琉球の立場が詳述されている。そして栄える王朝に

対して貧困にあえぐ南島の現状もあり、これがハワイ、フィリピン、メキシコ、ブラジルへの移民

に繋がっていく。明治維新においての既得権益者たちの横暴、沖縄に深く関わった大江健三郎の行

動も検証されている。


本を読めば読むほど、自分の知っていることはとても少ないことを思い知る。ググるだけでは理解

することが難しい。本書を読み、まず知ることが大切だと痛切に感じた。


   琉球とヤマト   島 征一郎      耕文社
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