よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

はじめての部落問題   角岡伸彦

2022-10-01 07:36:52 | 
部落問題とは何か?漠然とそういうものがある事は知っていましたが、よく分からない。部落出身者で

あり、活動もしていた著者の冷静な分析と過去から未来への部落問題を体現しながらの本書は、様々な

疑問を払拭してくれます。まず、差別について、冒頭で保険外交員を務める黒人男性の話を引用してい

ます。「アメリカで黒人だということは、むりやりサイズのあわない靴をはかされているようなもので

す。うまくあわせられる人もいるでしょう。それでも、けっしてはき心地はよくない。でもそれしか靴

がない。だからはくしかない。好ききらいなんていってられない。で、はき心地のわるさに耐える。耐

えられない人もいるけれど。拒否する人もでる。もの静かにしてる人も、敵意をむきだしにする人も、

根は共通なんです。つまり、はき心地のよくない靴をはいているわけです」実感があります。


部落問題を説明することは難しい。しかし、著者が仕事で部落に行くと地元の人は具体的に「この道か

ら部落です」「この川からこっちが地区です」と教えてくれるという。場所はハッキリ特定されている

ことに根の深さを感じる。


部落問題が世界的にも珍しい「戸籍」制度によって、再生産されるという指摘は腑に落ちる。過去の解

放運動によって、差別自体は減少傾向にあるという。単純に「差別はいけません」では解決しないと以

前からずっと思っていた。まず、知ることから始めなければ、私たちは日本の抱える沢山の問題をより

よい方向に導くことが出来ないだろう。


   はじめての部落問題   角岡伸彦         文春新書
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする