よしーの世界

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潜入中国   峯村健司

2022-10-19 06:27:58 | 
本書の副タイトルは「厳戒現場に迫った特派員の2000日」そして本の帯には「人民解放軍」「空母建

造」「スパイ」「最新ステルス機」「北朝鮮国境」・・・中国当局の異常監視下、二度と入れない数々の

厳戒現場に潜入した実態とは?この目で見たこと全部書く!と書かれている。読めば大げさなモノではな

いとすぐ分かる。冒頭、著者はいきなり中国当局に拘束される。中国のステルス戦闘機の写真を撮った後

だ。中国のスパイ罪の最高刑は死刑だという。新聞記者である著者は日本の新聞社は中国のように国営や

党機関紙ではなく、あくまで民間企業であると主張し、その地域から直ぐに立ち去りなさいと命令を受け

釈放される。


今の中国軍の強さともろさに始まり、サイバー戦力と戦略、宇宙開発への野望、世界最大規模のスパイ活

動(リアル過ぎて驚かされる)と普段知ることのない情報が並ぶ。習近平総書記の指導の元、中国軍は確

実に強大化している。しかし軍人の腐敗もすさまじく摘発に躍起になっている現実や新たに軍隊に加わる

若者たちが「一人っ子政策」により、今までの常識では考えられない行動を取り、軍の規律を乱す実態も

捉えている。


非常に興味深かったのは国境から定点観測していた北朝鮮の現状で、鉄条網越しに見た兵士は若く150

センチ程だという、極端な栄養不足で成長が妨げられている可能性がある。最近は一般兵士の食糧事情も

良くないと聞く。


2019年に著者が北京を再び訪れると自身の10本の指全ての指紋を取られ、カメラが顔画像を採取す

る。人工頭脳が搭載されていて、中国の警察幹部を務めた友人によると「2秒で人物特定ができる」と言

う。今や中国でジャーナリストが自由に取材することは不可能だ。


   潜入中国   峯村健司             朝日新書
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