前回のブログからちょっと時間がたってしまいましたが
南アルプスに行ってまいりました。
本当は2つの山を制覇するつもりだったのですが、新しい靴が合わず、一つの山で終わってしまいました…。
試着した時は良かったんですけどね~、長時間履くとやはりいろいろなことが分かってきます。
ハイカット! これがよくなかったのです~
スキ―靴まではいきませんが、くるぶしより上を覆う高さの靴。
上りは問題なかったのですが、下りでカット部分が脚にガンガン当たッテ… い、痛い
夏休み登山を非常に楽しみにしていた夫に「明日は登れまへん」と告げるのは酷でしたが、正直に伝え、二日目は断念。
が、不完全燃焼な夫は一日あけてソロで登山。
満面の笑みでご無事に帰還したのでした。
合う靴を探すのはなかなか難しいですし、靴が足になじむまでが大変。
どんな靴がいいのかネットで調べると、いろいろな考え方があり… 日本の山ならハイカットは必要ない、や、
靴を買わせるために最初のはき心地のみをよくし、後のことはメーカーは考えていない…というショッキングな情報も
靴についてはもう少し勉強します。。。
登山用の歩き方や靴下との相性もあると思いますので、全てを靴のせいにできませんし。
が、餅は餅屋、じゃないですけど、靴は靴屋。
ブランド名に囚われず、やはり靴メーカーがだしている靴の方がいいみたいですよ。
ということで
脱線してすみません、ここからが本題です。
2回にわたり足の構造と機能についてみてきました。
復習すると―
足は地面に対し転れる構造になっていて、無理に力を入れることなくラクに、且つ滑らかに歩くことができる。
足の使い方(回内・回外=柔らかい足・硬い足=骨の結束弱・骨の結束強)を巧みに変えることで免震機能を発揮させ、且つ推進力(床反力)を生みだして身体に負荷をかけることなくスムーズに歩くことができる。
この2つのポイントを理解していただくと、何が正しい歩き方なのかが見えてくるのではないでしょうか。
そして今回、正しい歩き方Part 2の最終章として、あと2点ほどお伝えしたいことがあります。
これも「身体の構造所以、そうしたほうがいいですよ~。」というものです。
まず1点目は「二軸感覚歩行」です。
これは歩く時に足跡がモデル歩きのように一直線になるのではなく、左右それぞれの足跡が重ならない歩き方です。
もう少し細かく言うと、下図のように身体重心(COG)と足裏の歩行ライン(COP)が重ならない歩き方です。
「痛みや悩みを解決する!足についての本当の知識」水口慶高著 実業之日本社より
身体重心は仙骨の2番目の前あたりにあります。下図のクルマル
すなわちハラ=コアと言われるところです。
ですから歩いていて、おへそのライン上に足がこない感じになります。
「能に学ぶ身体技法」安田 登著 ベースボールマガジン社より
逆にモデル歩き、つまり中心軸歩行をすると身体重心(COG)と足裏の歩行ライン(COP)が重なるので、身体にどういうことが起こるかというと…
これは片足立ちをしていただくとわかります。
片足立ちするとおへそと足が一直線になりますよね。
身体は安定しますが、静止している状態…
これを歩行に当てはめると無理がありませんか?
歩行は「動き」なのに、一歩一歩がしっかり安定しながら歩いているということは、強いブレーキをかけながら歩いていることになります。
平均台を歩くようなシチュエーションならまだしも、日常生活でいつもこんなことをしていたら身体に負担がかかり、おかしくなってしまいます。
モデル歩きは美しくみえますが、身体にとっては非効率なのです。
私、モデル歩きなんかやろうと思わないしできません
という方でも、実はそれに近い状態になっている方がいます。
それが前回ご紹介した「過回内足」。
このような足だと左イラストのように歩行時や走行時に膝が内側に捻じれるため(内旋)、結局は中心軸歩行に近い状態になってしまうのです。
「痛みや悩みを解決する!足についての本当の知識」水口慶高著 実業之日本社より
過剰な内側重心&膝の内旋… 前回のブログから身体がどうなるかおわかりですよね?
腹圧が低下しハラに力が入らなくなるので、腰回りは不安定になり、身体を揺らしながら走るようなフォームになってしまいます。
では二軸感覚歩行がどうして身体にいいフォームなのかというと、身体重心(COG)と足裏の歩行ライン(COP)がずれることで「運動」が生まれるためです。運動が生まれるからこそスムーズに足が運べる、ということになります。
おへそと足が一直線でない片足立ちをすると、身体がぐらついてすぐに次の足が自然と出ますよね。
つまり身体が不安定な状態になるからこそ次の動作が生まれ、逆に運動効率がアップするのです。
つまり一時流行った大腰筋(上図のコアの両サイドにある筋肉)を意識したウォーキングが二軸感覚歩行です。
この筋肉は股関節を曲げ(腿を上げる)、わずかに外旋(股関節をわずかに外に開く)させる筋肉です。大腰筋をイメージして肋骨から脚が出るように歩いてみると二軸感覚歩行がしやすくなるか思います。
ですから理想的な歩き方というのはちょっと外また気味なのかも。
私の好きなエミリー・ヴァンキャンプもちょっと外また
ということで「二軸感覚歩行」が1つ目のポイント。
二つ目のポイントは、これ私もできていない長年の課題であるポイントです。
膝を痛めた方、あるいは痛みのある方ならほとんどの方ができていないポイントだと思います。
「膝を伸ばしきらないで歩く」ということは以前より何度もお伝えしていたのですが、さらにもう少し言葉を加え…
これです
私の太い足をお見せしてすみません。
一生過回内足にはならなそうなぶっ太い足首。
見ていただきたいのはそこではなく、膝と足の位置です。
左図は足の上に膝、そして(写真は切れちゃっていますけど)体幹がのっています。
右図は下肢だけが前進し、体幹が後からついてくる感じです。
つまり、カカトが接地するタイミングですでに体幹がほぼ真上に来ていることがポイントです。
これは足の上に曲がった膝、股関節、そして体幹がのることで、地面からの衝撃を全身で吸収することができからです。
本来、膝はケガ等で骨格の変形がない限り、カカトが接地して転がるように動くと、その時に生まれる運動エネルギー(床反力)を利用して自然と曲がるようにできています。
「痛みや悩みを解決する!足についての本当の知識」水口慶高著 実業之日本社より
ですから大股歩きをして膝をまっすぐにして歩くことは骨格的には不自然なのです。
私のように膝を痛めた方は、膝を曲げて歩くと「ガクッといきそう」「痛みが走るのが怖い」ので、どうしても膝をまっすぐにして歩きがちですが、こうなると痛めた膝側の脚が大股になりやすいのではないかと思います。現に自分がそうですし、お客様にも確認してみました。
膝まっすぐ&大股になった側の脚には何かしらの症状がでていませんか?
私は右半月板を損傷しているので、右カカト痛+右腰痛+右股関節が硬い+右お尻の筋肉がいつもこっている感じがする
といった状態が何年も続いています。そして右もも前面の筋肉が痩せている。
正しく使えていないので本来つくべきところに筋肉がつかず、その代償を別の筋肉が補っていることがわかります。
具体的に言うと、大腿四頭筋肉が弱っているので、ハムストリングス(もも後面の筋肉)と大・中殿筋肉(お尻の筋肉)が頑張っちゃっている状態。
ストレッチをやってアンバランスを悪化させないようにしていますが…さぼると右腰が痛くなってきます。
ですのでストレッチに加え、只今歩き方を頑張って変えています。
とにかく意識して歩き、元の歩き方にもどっていたらまた正す
の繰り返しですが
ここ一年、笠原式足裏テーピングを試し、さらに歩き方を変えてみて、確かに身体の変化を感じることができました。が、良い結果もあればそれが裏目に出て「あれ、身体がおかしい?」という変化もあり…身体は一筋縄にはいきませんね。
このことについてはいずれご紹介させていただきます。
これは勝手な自論なのですが、以前ご紹介した
「正しい歩き方」が間違っているかというとそうではなく、ケースバイケースだと思うのです。
身体の免震機能が壊れ、すでに痛みなどの症状がでている方は以前ご紹介した歩き方をすればそれ以上の悪化を防げると思います。
あと平地ではなく、特殊な地形を歩く時にも有効かもしれません。これについては登山しながら実験中です。
今の日本人は整えられた道を歩くことがほとんどなので、特に身体に問題がなければ今回の「正しい歩き方 Part 2」の方がいいかもしれません。
●身体に痛みの出ている方、足の変形が強い方、足に悪い靴を履いている方は以前の「正しい歩き方」
⇒骨格を守るため 足の筋肉を鍛えるため
●身体は健康だけれども運動の成果があがらない、なんかデブ、疲れやすい方は今回の「正しい歩き方」
⇒正しい筋肉をつけるため 身体を正しく機能させるため 身体を整えるため
これは自分がいろいろ勉強し試し&お客様のお身体を観察させていただいた末の現段階での結論です。
あくまで私の体験からの結論なので、みなさんも試してみて、みなさんなりの答えを出してみて下さいね。
ということで、正しい歩き方、理解していただけましたでしょうか?
4回にわたってしまったので「正しい歩き方」が一発で分かるように簡単にまとめてみます。
1. 足の形状と機能(ロッカー機能)を生かし、地面に対して骨が転がるように歩く。カカト→足首の距骨→拇指球の順。
2. あおりながら歩く(回内回外運動)。
3. 二軸歩行。中心軸歩行は×。
4. 膝を曲げ、且つ体幹がのるように歩く。大股歩行は×。
これが身体の構造と機能を生かした歩き方です。
人類の骨格はある程度共通しているので、万人に当てはめても大丈夫なのではないかと
。
やはり身体の使い方から変えていかないと、(たぶん)何をやってもダメなのです。
頑張って筋トレして筋力がついたとしても… 高いサポーターを買ったとしても、高い健康食品やグッズを買ったとしても… 高い先生の施術を受けたとしても…(すみません
)身体の使い方の癖、それはイコール筋肉の癖自体をクリア―にしないと根本は解決しないのです。また元にもどってしまうだけです。
ですからまずは何が間違っているのかを知ること、気づくこと(アウェアネス)、そして正していって身体に覚えこませる― これがあっての↑高い壺、いえいえ、高いサポーター・施術です。
それプラスストレッチです。
ストレッチは筋肉を正しく機能させるための基本です。
縮んだ線維を伸ばし、伸び縮みがスムーズにできるようにすれば身体内のひっぱり=癖がなくなり、身体が正しく使える状態へと持っていってくれるはずです。
こんな私でもストレッチはけっこう習慣化していますので、膝を痛めて身体のバランスは悪くなっていますが、一度もギックリ腰になったことがありません。
ストレッチは全ての基本、そして正しい使い方ができるようになれば、正しい筋肉もついて、たぶん繰り返す症状で悩まされることはなくなると思います。
いきなり正しい歩き方を実践してみてもいいのですが、歩き方がかなり崩れている方やどこかに不調のある方は、まずは筋肉を正しく機能させるためにストレッチで筋肉を目覚めさせ、歪みをリセットした状態にしてからの方が安全かと思います。
そのストレッチムービーも作らないとダメですね。
少々お待ち下さい
歩くことは人生の大半を占めます。
日常すぎて無意識の動作ですが、私はこの歩き方を実践してから自然とお腹が伸び、自然と肩が下がる感覚が分かってきました。
肩が下がるってとてもラクなんですよね。
肩を下げようとしなくても自然と下がるのです。
急いでいても肩が下がっていると心理的にもちょっと違うような気がします。
気持ちにゆとりができるというか、「どうしよう~
?」ではなく、「どうにかしよう」とか「どうにかなる」とプラスに切り替えられるような…。
歩き方を変えることで何が変わるか―
人生の歩み方も変わったらいいですね
ということで、「正しい歩き方 Part2」はこれで締めさせていただきます。
正直、自分でもいろいろ理解するのが大変でした
機能解剖や運動学の本を何冊か持っているのですが
「足関節から足部で実際に起こる運動は、運動学的に規定した三次元の運動軸ではなく、斜走軸に対して起こる。」
「距骨下関節は、2か所(前面と後面)で距骨と踵骨の関節を形成する2つの骨はともに不規則な形状であるため、斜位構成で2か所の関節面を持つ関節は多方向に可動する。」
「足関節の運動軸は足関節の運動域を通して垂直面と横断面の間での傾きに変化が起きうる一方で、より最近の研究ではその変化する全ての両軸がくるぶしの先端を結ぶ線の中点に近いところにあることを証明している。」
これ距骨の関節の説明なのですが、今や理解はできますが、足の勉強を始めたころは意味不明
この日本語自体が難しい…
自分の脳の問題か…?
訳した本だと日本語が変なうえにもっと難解な文面も…
実際、現実の何に当てはめたらいいのかが全くみえてこないのです。
この知識が何に必要なのかがわからないのです。
想定不能っす
専門書は基礎的な本であってもこのような文調多いです。
その点ロルフィング関連の本は、ロルフィング自体が身体構造を追求したテクニックなので、高い専門書を読むより非常に分かりやすいです。
現実に当てはめて考えることができるので府に落ちることがいっぱいあります。
最近発見したおススメの本は
「アウェアネス介助論 気づくことから始める介助論 上巻 解剖学・生理学と基礎的理解」澤口祐二著
この著書にもロルフィングの理念が入っています。
まえがきだけでも感動する文章がいくつもありました。
ちょっとご紹介させていただきます。
人の動きを知るための最も正確な測定器は体の中にあります。筋肉や腱の伸びを感じ、皮下組織にかかる圧を感じるセンサーが体の中に用意されています。動物はこれらのセンサーを使い、今行っていることとやりたいこととの差を縮めるように動いています。
自分の体の中にあるセンサーを使って人は動きを研究することができます。「一人のための科学」です。昔から多くの武術家、芸術家、職人が探求してきた科学です。
抽象概念ではなく、感じられる現実に基づいて仮説と検証が繰り返されています。このような科学の結果は、自分以外の人にも同じく適用できることはありませんが、「時代の合意による科学」より、はるかに現実に適合します。多くの場合、徒弟制度や職人制度により人から人へ伝えられています。
「一人のための科学」は「気づく」ことから始まります。感覚で気づきます。気づいたことをもとにして考え、仮説を立て、実践します。その再び「気づく」ことから繰り返します。
「楽に生きる」ことを支援するには感覚に基づいた「一人のための科学」が必要になります。このような科学は「気づく」ことがなければ始まりませんし、発展しません。「感覚による気づき」が基礎となります。
自分の体験から感じることをもとにして意味が理解でき、知識が得られます。そして、「技術」が「技能」になります。このプロセスすべてがアウェアネス介助論のテーマです。
この本は読み、そして体感できるような構成になっています。
一般的な解剖学の本にも「骨をこう動かすとこの筋肉が動き、この関節はこのように動くので実際やってみましょう。」といった文章は書いてありますが、そこから膨らむものがありません。
解剖学は人の体そのものなので、ただ知識を詰め込んだだけでは二次元の世界で終わってしまいます。
感じ、考え、気づく(アウェアネス)ことで二次元以上のものになり、生きた知識になります。この本はそこまで導いてくれる本です。
皆さんもどうぞご購入下さい、というわけではなく、上記の文章を皆さんにお伝えしたかったのです。
私の言いたかったことが集約されて書かれていたからです。
とにかく感覚的に気づかないと本当の理解にはならないのです。
ですからこの「正しい歩き方」を実践していただいて、身体の機能を使って歩くってこういうことなんだ~!ということに気づいていただければ幸いです。
(苦悩しながらも
)
「痛みや悩みを解決する! 足についての本当の知識」水口慶高著 木寺英史監修 実業之日本社 を参考にさせていただいて、できるだけ噛み砕いて書いてみました。
この本を読まなければたぶん挫折していたというくらい、私の足への理解を深めてくれた本です。
この本のおかげで他の難しい専門書もどうにか理解して読めるようになりました。
まだまだとてもためになる情報がありますので、一冊いかがですか? (笑)
ランニングやウォーキングをする方、外反母趾等足でお困りの方には本当におススメの本です。
アウェアネス介助論はまだ読み始めたばかりでかなり分厚い本ですが、挫折することなく読み続けられそうな本です
伊勢神宮の遷宮の儀式がとり行われましたね。
儀式のはじまりは「カケコー」で始まるそうです。
新しい時代の始まり。
皆さんも歩き方を新たに正して
カケコー
よかったらこちらもご参考に―
「整いました」
「着圧ソックスのメカニズム 前編」
「着圧ソックスのメカニズム 後編」
「着圧ソックス 実践編」
ストレッチの動画作ってみました!
カナロアストレッチ