子供の頃に、家では金魚とインコを飼っていた。
金魚が死んでしまった時には、気分は「禁じられた遊び」でそのへんに小さなお墓を作って葬った記憶がある。
インコは鳥カゴから脱走してしまいそれきり。
それを除くと、じゅんは私の初めてのペット。ペットというより13年間共に暮らした家族。
そのじゅんに最後にしてあげられることは、懇ろに葬るということだった。
夫と相談しながらネットで情報を得て、手足をそっと曲げて瞼を閉じ、夫が段ボールで作った箱にタオルやペットシートを敷いて、じゅんを安置した。顔や体を拭いてから、冷たくてかわいそうだったけれどハンカチで包んだ保冷剤をお腹のところに置いて、体にタオルをかけた。使い慣れた枕の上に小さな頭を乗せたり、食べ物を少し供えたりした。
365日24時間受け付けをしているという「ペットの空」さんのホームページが親切そうだったので、そちらに葬儀をお願いした。
葬儀といっても簡易なもので、火葬車が自宅まで来てくれるというもの。
一両日中の夜にお願いしたところ、その日の20時半に来てくださることになった。電話をしたのは夫だったが、電話対応も親切だったようだ。
一緒に居られるのは20時半まで。
それまでできるだけ話しかけたり撫でたりして、残された別れの時を過ごした。
夫に買ってきてもらった生花に囲まれたじゅんは、本当に眠っているようで、覗き込むと今にも「んん?」と起きて動き出しそうだった。
ほぼ時間通りに火葬炉付きの車が来た。なんの表示もなく大きさも形も変哲の無い、外からはそれとはまったくわからない普通の車だった。
家の前は車が置ける場所なので、そこで葬儀を行うことにした。
別れの時間を十分にいただいてから、夫がじゅんを炉に寝かせた。
これが本当に最期の時。私たちとじゅんが離れてしまう瞬間。じゅん、ひとりにさせてしまってごめんね。
お花は6輪くらいなら供えることができるそうなので、そうさせてもらった。
炉の扉が固く閉じられた。
じゅん、13年間ありがとう。
手を合わせて見送った。
家で1時間半ほど待って、骨上げに呼ばれた。
小さくなってしまったじゅんを、小さな骨壺に納めた。
きれいな覆袋がかぶせられたじゅんの骨壺は熱いくらいだった。
亡くなってから保冷剤を添えていたので、とても冷たくなってしまったじゅん、やっと温かくなって良かったね。
尻尾と指と爪のじゅんの小さな小さなカケラも3つ、カプセルに入れて渡して下さった。
こうしてじゅんの葬儀が終わった。
じゅんの体調が悪くなってからずっと泣いてばかりいて、今でも時々は泣いてしまうけれど、この頃は平穏を取り戻しつつある。
じゅんのためにと思って行った葬儀だけれど、自分の気持ちを思い切るための儀式になったのかもしれない。これにもじゅんにありがとうと言いたい。
「ペットの空」さんにも丁寧な対応をしていただきました。ありがとうございました。