学生時代の夏の話である
同じ下宿の友人たちと近くの海辺の海水浴場へ行った。
夕方まで海岸で遊び 5時前シャワーを使おうとしたら 水が出ない! え!どうしよう…、管理人さんに聞くと、
「今は夕飯の準備をしているから 出ないけど落ち着いたら出るからね。」
と言う言葉を信じて1時間待ち 出ない…。 2時間待っても出ないし、あたりは日がしずみ暗くなりかけていた。
信じられない事だけど、周辺の新興住宅地の水源は地下水だけで 水事情は悪かったのです。そのうち夕飯の後片づけの時間になるはずでいくら待っても出ないので私たちは国道までとぼとぼと歩いた。
しかし、もう市内へのバスは終わっていた。
学生で お金はない。
みんなでおしゃべりしながら、やっと市内へ入ったころには真っ暗。
そのうち 縁日に出会った。遊ぶ余裕もなく、下宿に着いたのは10時近く 当然銭湯にも行けず、洗濯場で冷たい水を浴びて塩を落としたが、小松政夫の惨め~みじめ~、が聞こえそうである。
何故か 夏の終わりの今思い出してしまった。
その後 友人の男の子が話を聞いて中秋の名月の夜その海岸へマイカーで連れて行ってくれた。(同じ下宿の女の子が好きだったらしい)
丁度翌日の試験はないので 彼の車に乗り出かけた。
大きなお月様が浮かんでいる、思わず海へ走り出てザブンと入ってしまった。そのまま泳ぐと手を動かす度、きらきらと夜光虫がヒカル。みんなで泳げば怖くない。
連れて行ってくれた男の子は予期せぬ出来事で 砂浜で唖然としていた。
満足して海から上がった私たちは 彼の車を濡らすことが出来ないので、袋やバッグを置き腰を浮かして下宿まで送ってもらい、また洗濯場の冷たい水道を浴びる事になった。
翌日登校すると、もう話は伝わっており 憧れの君から軽蔑の目で見られ、嫌味を言われた。所詮そのくらいの男か?
でも、お月様は大きくってきれいだった事を覚えといるが、それ以来ドライブのお誘いはなかった。