石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

追悼:スティーブ・ジョブズ

2011-10-06 23:06:05 | 活動レポート

今日は、これについて書かないわけにはいきません。

米アップル社のスティーブ・ジョブズ会長が亡くなりました。まだ56才でした。本当に残念でなりません。世界にとって、大きな損失だと思っています。

私がはじめてスティーブ・ジョブズに触れたのは、1989年のことでした。

当時、アメリカの大学院に留学していた私は、コンピューターを使う必要性に駆られました。まだOSはMS−DOSが全盛の時代です。PCを起動するには、MS-DOSが入った5インチのフロッピーディスクから起動して、コマンドを入力して操作していたのです。当時を知る人には懐かしい話でしょう?

そんな時代に、Macに触れました。SE/30という一体型の機種です。

マシンのスペックはこんな感じ。

プロセッサー: Motorola 68030 16 MHz
コプロセッサー:Motorola 68882 FPU
キャッシュ:  0.5 KB L1
ストレージ:  40MB
メディア:   1.44 MB floppy

今から考えたら笑っちゃうぐらいのスペックですが、当時としては凄いマシンでした。しかし、私がMacに惚れたのは、ハードウェアの性能ではなく、コンピューターのモノとしての価値であり、そしてソフトウェアでした。ヒューマン・フレンドリー・インターフェース(HFI)という概念、つまり「人に優しいコンピューター」という価値観、これが私を虜にしたのですね。

今でこそ、誰でもコンピューターを使う時代になりましたが、当時はコンピューターというのは一部の研究者や専門家の使う特別なものという感じでした。研究者や専門家が使う限りは、インターフェースなんて優しくなくていいわけです。難しいことを難しく出来ればそれで良かったのですね。

そんな時代に登場したのが、スティーブ・ジョブズであり、彼が作ったコンピューター、Mac(マッキントッシュ)でした。「誰でも使える」コンピューターです。グラフィカルなインターフェース、全てのアプリケーションに一貫した操作性、今ではPCの世界でも当たり前になったことですが、当時は当たり前ではなかった。それを当たり前にしようとした、そしてそれを実現してくれたのがスティーブ・ジョブズだったのです。

多くの皆さんは、スティーブ・ジョブズの功績としてはiPodやiPhoneを思い浮かべるでしょう。初めて触れたアップルの製品がiPodだったという人は多いでしょうからね。しかし、ジョブズの思想は、最初にマックを世に出そうとした時から変わらなかった、それが全てのアップルの製品に脈付いていたと私は思っています。

新しい時代の新しい製品と新しい価値を次々と世に生み出しながらも、その全てが誰もに愛される、全ての国で受け入れられる製品であったことは、まさにそれが「誰でも使える」モノであったことを証明しているのではないでしょうか。

今、ライフスタイルの多様化に伴う「個々のニーズの多様化」が声高に叫ばれ、いかに多様なニーズを満たすために個別化された製品を生産するかがカギだと言われています。しかし、アップルの製品は常にシンプルでした。マックも、iPodも、iPhoneも、基本的にはデザインの選択肢は一つで、性能の差でいくつかの選択肢があるだけ。しかも世界中のマーケットで同じ商品を供給しています。それでも、世界の多様なニーズを満たすことが出来たわけですね。

私たちも今一度、ジョブズの思想や戦略を考えてみる必要があると思います。

もうスティーブ・ジョブズのあのプレゼンテーションにわくわくドキドキさせてもらうことができないと思うと本当に残念です。これからのアップルの製品が、今までと同じくらいにわくわくドキドキ出来るものであることを期待しています。

最後にあらためて、これまでの数え切れないぐらいのわくわくドキドキに感謝したいと思います。スティーブ、ありがとう!