10月7日(金曜日)に、参議院議員会館内の会議室で、ILO活動推進議員連盟の「2011年第4回勉強会」を開催しました。
今回のテーマは、「持続可能な社会保障をめざして~ILOの戦略とアジアの状況」です。なにやら大きなテーマだな~と思われたかも知れませんね。いや、確かにまともに議論した何日もかかりそうなテーマ・・・。なのですが、今回はこの難しいテーマを簡潔に、かつ分かりやすく説明してくれる絶好の専門家が来てくれたのです!
それが、ジュネーブのILO本部に勤務する日本人の社会保障問題専門家の山端浩さん。今回は、ILO駐日事務所の主催によるシンポジウムに参加するために来日したのですが、この機会を利用して、われわれ議連の勉強会にも来てもらおうということで勉強会が実現したわけです。
山端さんは、今年6月に開催された第100回ILO総会で議題の一つになった「社会保障制度に関する一般討議」の担当者として活躍されました。もともとは厚生労働省の年金局で勤務していた官僚です。霞ヶ関で働いていた間に、2度にわたってILOに派遣されたという珍しい経歴の持ち主。その結果、2000年に厚生労働省を辞してILOに本格的に転職し、現在に至っています。
途中、2003年から2009年までバンコクのアジア太平洋地域総局でも勤務されていますので、アジアの社会保障問題についても非常に詳しい専門家なのです。ちなみに、私とも旧知の仲で、今回は久し振りの再会となりました。
さて、勉強会では、山端さんからまずILO総会で何が議論されたのか、何が決まったのかという点について説明をいただいた後、アジアの社会保障の現状と課題について解説がありました。アジアの国々でも、社会保障制度の中身と発展段階が大きく異なっていて、問題・課題の所在も国毎に違っていることが強調されました。その中で、国連が音頭をとる「社会的保護の床(Social Protection Floor)イニシアティブ」においてILOが果たすべき役割として、やはり社会保障制度の充実と適用範囲の拡大を優先的に図っていかなければならないということでした。
また、山端さんの専門的見地から日本の社会保障制度への問題提起もあって、医療、年金、失業保険、労災保険などのあり方について示唆をいただきました。今まさに社会保障と税の一体改革論議を進めている中、大変参考になる提言だったと思います。個人的には、私の考えと一致する部分も多くて、あらためて自分の理論武装に力を得た思いでした。
ちなみに、今年のILO総会での議論を受けて、来年の第101回総会で社会保障制度に関する新たな勧告を策定することが議論になるそうです。来年6月までの間にさまざまな議論がなされることと思いますし、12月のアジア地域会議でも取り上げられることと思いますので、議連としても今後の議論の進展を注視していきたいと思います。
ところで、この日の勉強会は、閉会中にもかかわらず10数人の国家議員本人が参加をしてくれました。さらに大物議員が続々・・・。高木義明・前文科大臣、大畠章宏・前国交大臣、さらには公明党から坂口力・元厚生労働大臣など。ん~、これだけの顔ぶれが集まると引き締まります。議員以外にも、政労使の代表の皆さんも参加してくれました。嬉しいですね。
次回の勉強会は、いよいよ未批准の中核条約である差別撤廃条約(第111号)の批准問題を取り上げようと思っています!