天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

恐山菩提寺

2023-06-14 18:45:17 | 日記

 ついに恐山に入山した。イタコにお前の前世はああだ、来世はこうだと言われ、これまでの人生観が吹き飛ぶ衝撃を受けるのではないかと恐れていたけれど、そんな通過儀礼は全くなかった。

 しかし、菩提寺境内の様相は、先月噴火し、溶岩流に焼け尽くされたばかりの無間地獄のような所に連れてこられた迫力だった。ゴジラやキングコングの特撮スタッフでもこんなにリアルに無気味な舞台は作れないだろう。

 山肌の多くが草木も生えない剥き出しの砂山となり、麓には黒く焼け爛れた岩石が重層する合間の所々から熱蒸気が噴き出し、硫黄の匂いがそこら中に漂い、流れる水の成分のためか小川の底は黄色や朱色に変色していた。誰が積んだのか賽の河原を模した瓦礫の山が、いつ崩れるか分からない日常の不安感を煽っていた。

 賽の河原を通り抜けると、それまでの殺伐とした様相から、白い清浄な砂浜の舞台に変わり、その向こうには穏やかで透明なみずうみが広がっていた。まるで地獄と極楽浄土をビジュアル化したジオパークのような霊場だった。

 たっぷり巡礼した後は、境内に設けられた硫黄温泉に無料で浸からせていただいた。

恐山
賽の河原に
石を積む
焼け爛れたる
こころ崩れそ

 


白鳥渡来の雷電宮

2023-06-14 18:32:59 | 日記

 青森県平内町の雷電宮をお参りした。ご祭神は別雷命(わけいかづちのみこと)で、祈雨を司り五穀豊穣をもたらす神として崇敬されている。

 近くの建物に落雷注意の貼り紙があり、訝しかったけれど、御名通り雷難除去の神威もあるという。有名なのは向かいの陸奥湾の小湊に白鳥の大群が渡来することである。白鳥を神の使姫と同宮は敬愛している。平家物語の富士川の合戦ではないが、地元領主の窮地を白鳥の大群飛来によって救った伝説もある。

 神社裏の林に入ってあちこち探したが、通りすがりの参拝だったので生憎秋の飛来季節に合わず、1羽も見付からなかった。代わりに黒鳥の烏がガーガー騒いでいた。小湊に出て、タバコを吸ってる初老男性に不運を嘆いたら、「俺に言わせれば、なんで来るの?」と冷ややかだった。当地の事情をよく知らずに来たのだから、そんな白鳥なことを言わないで、と地元愛の無さを憎んだ。でも神は裏切らなかった。粘っていると、鴨らしき鳥が浅瀬に1、2羽、上空に1、2羽現れた。人の不幸を憐れんで召し遣わされたのだと確信した。

一羽とて
白鳥来ぬも
いかづちの
神優しくも
鴨を召しけり