天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

核の選択

2022-01-27 14:58:39 | 日記

 米国ではコロナ救済策で給付金をじゃぶじゃぶ出したり、金融を目いっぱい緩めた当然の帰結としてインフレに火が付いたため、金融当局は火消しに大わらわとなっている。まずいと感じた金融市場では株からの逃避が本格化する一方、家賃の高騰が止まらないと米CNNが報じている。

 その中で、Rent is too dang high. という表現があって、「dang」なんて単語は初見だったので、辞書を引くと、「チッ」と訳していた。金融ビジネス記事の割には「膣」とは穏やかでなく、「fuck」「shit」とかの類かと思った。しかし、dang の例文を見ると、Dang it! =エイ、クソっ、と書いていて、膣っぽさが全く見えてこない。日本語に訳そうとするから無理が生じるのかと思って、英英辞書を参照すると、dang = damned とあった。何だ、dang はクソッという意味ではないか。そこで気付いたのが、「ツ」が小さな「ッ」であったことだった。私は生まれが京都の公家なので「チェッ」とは言っても、「チッ」とは言わない。辞書も変な誤解を招く表記は慎んでもらいたい。
 そんな記事解読に悪戦苦闘しているうちに、日経平均は午後2時過ぎに前日比966円も大幅に下落した。前々日に457円、前日に120円も下げているので、ぼつぼつ感が出ているのに、さらに首吊りの足を引くような暴落となっているのは、米FRBの利上げ加速が近づいているとの理由だけでは説明がつかない。CNNの解説では、株式市場が不安に怯えているのはFRBだけでなく、クレムリンだと指摘している。ロシアによるウクライナ侵攻が実施されれば、米国など西側の対抗策が軍事衝突への恐れだけでなく、金融制裁によって世界金融市場にパニックを招くことが恐れられているそうである。ロシアによる侵攻を抑止するための経済金融制裁策として、熱核でない「核の選択」が検討されているのである。それはロシアを国際間の銀行取引システム(SWIFT=Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)から排除することである。石油、天然ガス代金などが入らなくなるロシアは干上がってしまう一方、西側の銀行や企業、民生にも大ダメージとなる。そして、それは非現実的な脅しではなく、すでに2012年当時に対イラン制裁として実行されたのである。

 要するに2020年春のコロナ・ショックを上回るクレムリン・ショックが世界金融市場を襲うと警戒されていることが、今の株式市場の脆弱化を呼んでいるというのである。確かに、膣痙攣が起きるより事態は深刻なようである。

 


楽しい番組

2022-01-19 16:08:50 | 日記

 コロナ感染者急拡大、日本海大雪に東京株式暴落と年が明けて良いことがない。じっとしているだけが身を守る術となってしまった。コロナ3年目にも入ると、出歩かなくても楽しめる工夫が必要になってくる。アマゾンプライムビデオはタダでも当たりばかりと限らないし、本も言われるほど功徳に遇わず、慎重に選んでもは外すことが多い。ラ・テ・新聞、ネットでニュースを見ても、暗くなることが多く、むしろボーっとしているのが一番の愉楽となる。
 殊勝に英会話番組を見たり、高校の物理、化学、地学、日本史、歴史などを勉強し直そうとしたり、縁の薄かったクラシック番組を聴いてみようかとしても、何やら芸能人や、中途半端なタレントに、知ったかぶりの作家らチョイ有名人が、我が物顔で主題を引っ搔き回すので、興醒めとなることが多い。国民の皆様のNHKらしく見させようと、素人にも分かり易く、親しみやすくする工夫にも見えるけれど、場違い感が圧倒して白けるのは、世間を知らない私だけなのか。とうてい善意の番組作りの為、とばかり言えないのではないか。
 制作サイドの都合に振り回されているのではないかと疑いたくなる。国の予算が省庁の摑み取り合戦だから、物にも成らない事業に御大層な理屈をつけて御用新聞に書かせて予算を獲得するように、NHKも濡れ手に泡の摑み取りのように、受信料収入が潤沢なために、放送内容よりまず制作陣が競って予算の分捕りにしのぎを削っているのではないか。その結果が、ミスキャストと言えるようなちょいタレントの起用に繋がっているように思えて仕方がない。有名タレントを雇うには金が掛かるからと、制作資金を過剰に獲得し、芸能事務所などと懇意にして経費を膨らませ、途中蒸発してる受信料収入がないか、十二分に点検してほしものである。英国でBBC放送の受信料制度を見直して、新たな聴視料収入の道を探るというニュースが流れ、こんな思いが募った。
 知る人ぞ知るようなタレントに蘊蓄や説教や臭い芸を垂れられても、見る者聞く者のやる気が失せるだけである。コロナ蔓延が長引いて追い詰められるといい女の子が風俗に流れ込むので楽しみ、と言うような痴れ者が、品位を大事にするNHKの番組に出続けられるのも、そうした深い関係が背景にあるのではないかと邪推したくなる。コネ入社が多いと言われ、出自を意識するためか、ファミリーヒストリーを追い掛ける番組に熱心なのも、製作協力へのお礼の意味かもしれない。こんな雑念を挟まなくても済む、清々しい教養番組を、大河や連続小説路線以外に、期待したい。


昨日の満月

2022-01-18 14:12:31 | 日記

 大河ドラマに生活が懸かっている人たちは鎌倉殿の盛り上げに懸命だけれど、こちらは平家の公達のイメージが漂う正代の土俵が気になる。あの温厚な語り口の尾車親方がスポーツ紙解説で「我慢の限界」とまでの表現を使って、大関としての奮起を促している。日曜日中日の遠藤との一戦でがっちり寄り切り、後半戦は元通りの強さに立ち直ると期待していたのに、腰痛の明生にあっさり力負けした。銀星インタビューで誰も心の底から喜んだ表情をしないのは、単なる慎ましさばかりでないことが痛いほど読み取れて、見ている方が辛い。憲法の規定にあるわけでもあるまいし、大関撃破殊勲インタビューは今場所もう止めた方が視聴者の精神衛生上、いいのではないか。
 トンガの海底火山噴火で近くの小島が消失したとか。太平洋全域に津波を巻き起こした破壊力の凄まじさの根源の恐ろしさを示していて言葉が失う。富士山が噴火爆発して津波が起きたらどうなるか、東海、関東の大都市圏などを想像してはいけない気になる。
 爆発的拡散は自然現象のみならず、大阪府のコロナ感染者が18日は6000人を超すそうで、社会現象にも地球規模の脅威が迫っている。きのうまでの東京都などの数字はピークアウトの方向かと勘違いしていたけれど、単に週末の検査体制結果だと気持ちを切り替えなくてはならなくなった。今夕までに東京都と全国の感染者数がどれだけ広がるか不安でならない。今年は少しは旅行に出掛けたいと思っていたのに、何たることか。
 歩哨に立つ職場近くに大病院があって、早朝にするするっと黒塗りのハイヤーが横付けされると、暗い気持ちになる。暫くすると、裏の出入り口から看護師に交じって人々が出てきて、そのあとすぐ白布に覆われたストレッチャーか何かが運び出され、大型ハイヤーの荷台に載せられる。おそらくはご遺体のご退院だと想像できる。看護師らが出発の車に丁寧に頭を下げ、遺族と思われる人たちと短い挨拶を交わし、引き揚げていく。見えなくても、こちらも遠くから厳かに礼をするのが常である。寒い季節の方が多い気がする。我が身のお別れの時を想像すると、人に構われずに見苦しくても静かで寂しいものだろう。人に飽きて、煩わしいと思っていても、今際の際は寂しさが込み上げるに違いない。今生に出会った人に、実はこうこうだったと、挨拶しておけば良かったと後悔しているだろう。生前も死後も諸事ミスマッチが多いが、それを弥縫するのは至難なので、口を噤んでありのままでお別れするのが賢明なのだろう。小社会でも差し障りが多く、口を噤むことの多い世の中であった。金も言葉も残すものは何も持たないので、なまじ持つと余計恥の上塗りなので、寂しくてもそっと消えていきたい。

空しさは その色としも なかりけり
水の流れの 末は消えゆく


昨夜の満月


本質意志

2022-01-16 07:55:03 | 日記

 トンガの火山が日本に津波をもたらし、その伝播の理屈が専門家ではよく予測できなかったという。ある者は、気が働いたと、武芸の達人の技のようなことを言う。要は経験則に基づく地味な科学は、湯川秀樹がある現象から起こるべき次の現象を予測したような天才性はなく、大半が後付けに過ぎないのだろう。

 その影響でか、今朝は東の空が御来光に伴いオミクロン色に輝いた一方、西の空は蒼白くデルタ色に沈んでいた。なぜ人は物事を対置して考えなければ落ち着かないのだろう。前に集中すると、後ろから斬りつけられるのではないかと不安になるのだろうか。一方を見て、他方を見ないのは浅慮という古人の教えに束縛されているのだろうか。

 前々に勤めていた会社の先輩から、そこをとっくに見切って辞めて事業を起こし、成功を納めた会社を売却し、さらに次の事業を模索している元同僚から遊びに来ませんかと誘われたと言い、一緒にどうかと連絡があったけれど、卒業して建て替えられた小学校の教室ほども未練が湧かなかった。会社の繋がりは、自分が食うため家族を養うためであって、よくぞ百姓の次男坊の間引き者を餓えることなく育ててもらって感謝し切れないけれど、それはそれ、既にゲゼルシャフト社会からゲマインシャフト社会に移籍してしまった者には、かつての統制が効かなくなってしまっている。鎌倉殿にいざ出陣とお呼びが掛かっても、もはや鎧兜刀剣は売っ払っちゃったもん。このゲゼルとゲマインの2律しかないのは、社会学の範疇では仕方ないのかもしれないけれど、個人を考察の対象に含めると、粗漏ではないかと思う。郷里を離れ都会に就業した者にはゲマインシャフトにも戻れなくなっている。むしろそれらの社会を形成する対立項の本質意志と選択意志に係わってきそうである。洗脳された選択意志を捨てて、赤裸々な本質意志に放り捨てられた今となっては、楽しい飲み会より目先の死の恐怖にしか目が向かないのである。と、二項対立からの離脱を試みたけれど、死の恐怖に向き合うに至って、結局は極楽往生か無間地獄かの二者選択の問題にぶつかってしまった。時はまさに全国共通テスト、人間はいつまでも択一解答のしっこくから抜け出せないものなのだろうか?

 

 

 


ハーブ酒

2022-01-10 21:20:53 | 日記

 正月用に買い込んでおいた酒類がほぼ切れたので、スーパーの酒コーナーを覗いた。ビールに日本酒、ワインにウイスキー、イモ焼酎にも少し飽きが来たのか、どれにも食指が動かず、他に目移りした。すると、うがい薬か薬瓶のような変わり種が目に入った。ラベルの文字にウムラウトが付いていたので、独蘭系の感じがした。裏のラベルを見ると、「イエーガーマイスターは、ドイツ生まれのハーブリキュールです。56種類の厳選したハーブなどのボタニカルからゆっくりとエキスを抽出したのち・・・」云々と説明してあった。ひょっとして、これかな、と若い日の苦い思い出が蘇った。
 実際に苦く、不味い酒だった。まだ40歳代直前、西ドイツにツアーで行った。オクトーバーフェストのビールを味わったから10月だった。ロマンチック街道とかローテンブルクのお城などを巡るバスの車中、東独市民がハンガリー経由だったか、西側に越境したといった物情騒然とした情勢を、ガイドが説明していた。その時はよく理解できなかったけれど、日本に帰国したすぐあと、ベルリンの壁が崩壊した歴史的ニュースを聞いた。
 そんな緊迫した旅ゆえに苦かったわけではない。訪れる先々で、20代後半の快活なその女性と食事のテーブルを同じくすることが重なった。自然、親しく会話を交わすようになったある日のディナーの席で向かい合わせになった。そこで、たぶん間違いないと思う、例の酒が出た。
 ドイツの地酒で、ハーブや薬草が入っているとの説明だった。アルコールなら何でも来いなので、にこやかに乾杯して一口飲んだら、酒の度を越して苦かった。吐き出すこともできず無理やり飲み込んだ。
 服用した経験はないけれど、日本の苦い薬の代表格のせんぶりが頭に浮かんだ。しかし、文字だけの知識で、実際に口にしたことがなかった。向かいの彼女に顔をしかめて、口を衝いた出たのは「せんずりみたいな味やねえ」だった。ちょっと言い間違えたかなと気付いたけれど、いくら英語が堪能な彼女でも、こんな下世話なボキャブラリーはないだろうと、顔を窺った。期待に反し、意外とおませだったのか、歪んでいた。
 そのあとの記憶は飛んでいる。名前も顔も思い出せないけれど、その瞬間の記憶だけが、酷い悪酔いとして残っている。でも、今日は成人の日なので、忌まわしい過去から卒業しようと、思い切って買って、飲んだ。長い期間を経て舌と胃に耐性ができたのか、それほど苦くなく、ロックで嗜むことができた。ついでなので、寝る前の風呂にはバブのローテーションを外し、ツムラのくすり湯『バスハーブ』を入れ、すべてをお湯に流した。

やまとうた
一字違はば
興醒めて
おとこをむなの
仲和らがず

 

【ねた元:古今和歌集・仮名序(紀貫之)】