近隣農家の野菜直販もいよいよ今週限り。スーパーで買う枝豆より、やはり採れたての生産直売品は味にぐっとコクがあって香りもして、全然旨みが違う。トマトのもぎたての破裂感は言うに及ばず、トウモロコシの歯応え感も堪能させてもらった。早い畑ではキビ畑がもう刈り取られているところもある。そこの零れた実をついばみに山鳩や雀、鴉が下りてくる姿は、何事も無駄にしない自然の循環を感じる。あとは鋤き込むのか、焼き畑にするのか、煙が漂ってくるような気がする。
というわけで、今日の英単1日1語は、「煙でいぶす」意味の《 fumigate 》にした。使ったのは米民主党議員のナンシー・ペロシ下院議長。米下院議長と言えば、大統領が職務不能となれば、副大統領に次いで大統領権限を継承する超重要ポスト。党派的に当然であるけれど、トランプ大統領に極めて厳しい姿勢を取るところは男勝り。毎年恒例の議会で行う大統領一般教書演説で今年、トランプ大統領が読み上げた後、渡されていた教書コピーを下らないと破り捨てた武勇伝を持つ。トランプ氏が再選を目指す今秋の大統領選で、コロナ騒動を受け感染防止のため、各州によって郵送による投票を採用する動きがある。これに対しトランプ大統領は、投票場で本人確認して投票しなければ不正が起きる恐れがあると反対している。このためメディアの気の早い関心は、11月3日投票の大統領選でトランプ氏が敗北した場合、結果を受け入れるかどうかが焦点となっていて、拒否して居座るのではないかとの憶測もある。そんなややこしい事態になればどうなるのか、ペロシ議長はきっぱり;
There is a process. It has nothing to do with if the certain occupant of the White House doesn't feel like moving and has to be fumigated out of there because the presidency is the presidency.
---米ニュース専門放送局MSNBCのインタビューに、このように答えている。「粛々と進む。ホワイトハウスの現住者が引っ越したくないと思っても関係ない。任期は任期なのだから、そこから燻り出すしかない」とニベも無く、辛辣な物言いである。「 fumigate 」なんて初めてお目に掛かった英単語なのでニュアンスは分からないけれど、辞書によると、ゴキブリ駆除のため燻蒸消毒する際などに用いるとあるので、「立ち退く」「引き払う」といった一般的な意味の《 vacate 》より、お邪魔虫感が強いと思われる。
「 fumigate 」に似た単語に「 fugitive 」がある。米テレビドラマ『逃亡者』の原題、『 The Fugitive 』として覚えている。妻殺しの疑いを掛けられた医師キンブルが真犯人を求め、執拗な刑事ジェラードの追跡から逃れながら、真相を追究する人気番組だった。主演のデビッド・ジャンセンがいつも内向きに困ったような顔をして渋かった。映画も見たけれど、こちらはハリソン・フォード主演に、刑事役がトミー・リー・ジョーンズと、日本ファンにもお馴染みの顔触れだった。同じ困った顔でも、きりりと引き締まったハリソン・フォードだと結局はうまく切り抜けられるだろうという安心感が漂う一方、伏し目がちのデビッド・ジャンセンはあんなに弱っているのだから見逃してやってよというハラハラ感が強く、ジャンセンに軍配を上げたい。
そんな「逃亡者」のようなハラハラ感が再現されるのか、、秋の米大統領選の結果がドラマ並みに日本においても楽しみである。
刈り取りし
夏の畑の
おこぼれを
鳥がついばむ
糧を分け合ひ
正しかるべき正義も 時として盲ることがある
このナレーションではじまる「逃亡者」は懐かしいです。
遠いむかしのこととなりました。