天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

薬膳

2019-09-29 18:30:02 | 日記
 ラグビーワールドカップ優勝候補のアイルランド代表からもぎ取った日本代表の金星は歴史的な快挙だけれど、氷山の一角としか思えない3億2000万円の怪奇なカネの流れに対して、全貌を暴き出そうとタックルを仕掛ける気力のない国内情勢には溜め息しか出ない。
 関西電力会長、社長らへの原発マネー還流の露見は、福島原発の脆い炎上事故や展望のない廃棄物処理問題、北朝鮮の核ミサイル標的危機にもかかわらず、原発依存から抜け出せない政官財の複合腐敗を象徴しているけれど、それを「お上の為さることだから」と指を咥えているだけの国全体のモラルも情けない。大広告主の機嫌を損じたくないのかマスコミは大変だ大変だと報じる割には、中身はほぼ問題の主の関電の会見内容を垂れ流すだけで済ませているのは、無気力の誹りを免れない。批判的なトーンはネットの声とか識者に任せて、不自然なカネの流れを自らの見識で追及しようという姿勢が全く感じられない。トランプ大統領とマスコミが丁々発止のやり取りをする米国とは異質の、『由らしむべし、知らしむべからず』の政治体制には、行き着くところ抱き合い心中の見通ししか立たない。
 『暮らしの図鑑 薬膳』(ちづかみゆき著、翔泳社)という、老体の弱り切った五臓改善には格好の良書を見付けた。まず、取っつき易いメニューとして「セロリとアサリのごはん」を作ってみることにしよう。材料を揃えて電気釜で炊けば仕舞いの簡単さながら、あっさりと胃が喜びそうである。季節の食材を青、黄、赤、白、黒の5色に分類し、それぞれに8つほどのレシピ(計41種)が示されているので、これから順次挑戦していくのが生活の彩りとして、また脳の活性化にも楽しみになる。

をりをりの 肉いを野菜 とり交ぜて
からだに優し 箸も進まむ


求愛

2019-09-27 13:14:56 | 日記
 サツマイモが店で目につくようになった。ぐっと引っこ抜いた根の主力級に付随した、ちびちゃいのが10個以上袋詰めされたのが手頃な値で売っていたので買うた。焼くとか、蒸かすとか、手の込んだ面倒臭いのは嫌なので、湯掻いた。ざるで湯切りして置いといたら、湿気が蒸発して、べちゃべちゃしないでそれなりにほくほくして、特有の甘みが醸し出されて美味かった。朝、珈琲の充てに、食パンの代わりに、昼分も先食いして3個も頂いた。インスタントラーメン、うどんと並んでこれからの朝、昼の主食になりそうやな。
 リョコウバト passenger pigeon は今や絶滅した米国産の渡り鳥と辞書にあり、シンシナティ動物園(米オハイオ州)で飼育されていた最後の一羽が1914年に死んで、種が滅びた。『もうすぐいなくなります 絶滅の生物学』(池田清彦著、新潮社)によると、盛時の18世紀には北米大陸東岸に50億羽も居たのが、食用と羽毛布団用に乱獲され、わずか100年の間に激減し、気が付いたら全滅していたという。自分の生まれた巣に帰る習性があり、冬場はフロリダやメキシコなどで過ごして、暖かくなると主要営巣地の五大湖周辺に戻ってくるところを、カスミ網で待ち構え、一網打尽したらしい。近くに缶詰工場、布団工場を構えて、トヨタのかんばん方式より効率的に、ベルトコンベアも不要で在庫リスクなしにし続けたため、原料が途絶えた。
 同著によると、アメリカバイソンも19世紀半ばから食用と皮革用に徹底的に狩猟され、19世紀初頭に7500万頭くらいいたのが、同世紀終盤には200-1000頭くらいに減ったという。タン(舌)が美味しいのが不幸だった。大陸横断鉄道が出来ると、列車から狙撃する狩猟ツアーが流行ったというから、銃社会にも年季が入っている。こりゃいかんとイエローストーン国立公園を保護区にして殺戮を抑えたため、今では3万頭くらいいて、たまに入園者を撥ね飛ばしたりする記事を見ることができる。
 話のネタ満載の同本の中でも、日本の特別天然記念物アホウドリが哀しい。リョコウバト同様、生まれ育った巣に帰ってくる性質がある。羽毛を目的とした乱獲などで激減したため、伊豆鳥島や小笠原諸島で保護、繁殖活動を行っている。鳥島に営巣を促進するため、アホウドリの実物大模型(デコイ)をいっぱい作って呼び寄せた。異色のオスが1羽いて、デコイの一つに好意を寄せ、気を惹くように求愛ダンスを踊り出す珍事が起きた。靡くはずがないので、島での滞在期間が過ぎると、諦めて帰っていく。しかし、余程べた惚れだったのか、次の年もそのデコイの前に来て求愛し、それが9年も続いた。デコイ発案の研究家も気の毒がり、とうとうそれを撤去すると、目が覚めたようにランクを落とし、生きたメスを探して生涯の伴侶を得たという悲恋話が残っている。
 絶滅という死別も悲しいけれど、生き別れも心底辛い。盆から1カ月余り預かった猫の病気が治って他の飼い猫への感染の恐れがなくなったので、飼い主の娘一家がそのまま連れ帰った。預かった当初は耳の後ろを引っ掻いて傷を付けたり、後頭部に禿が出来たり、相当ストレスを溜めていたけれど、「お腹の虫よ飛んでいけー」とか、背中を大事に大事に撫でてやっているうちに、すごく懐いてきた。こちらが就寝の時には布団に遊びに来たり、大相撲TV観戦中には膝に乗ってきたり、情が沸きに沸くようになった。もうワシが飼い主になってもええかなと思い始めた頃、いきなり召し上げられたショックは破壊的だった。酒が全然うまくない。何をするにも虚ろである。砂トイレとか、買い込んだ餌のおやつとか、食器が、寂しさを新たにする。何事も詰まらない。何もする気が起きない。何もしないでいると、胸に焼きごてを突き刺されたような熱さと痛みが走る。サツマイモを食べ過ぎた時の胸のつかえより、遥かに苦しい。

もうすぐに ゐなくなるとは 聞きつれど
まことに消ゆと 切なかりけり


誘拐

2019-09-19 16:09:32 | 日記
 お盆以来、一時預かりをしていた猫ちゃんを飼い主の娘一家が持ち帰ったので、ぽっかり空間的にも心の中にも穴が開いたようである。辺りに何の気配もなく、空気がスカスカしている。人が歩くと寄って来て邪魔をするので、避けて転んで骨折したりしないよう気を付けていたのが懐かしい。人間は自由自在が理想であるけれど、何の制約もないのもまた何処を向いていいのか分からない不自由さがある。英語で I miss you ! というのはこういうことか。帰宅後の様子を娘にLINEで聞いたら、他の同居猫とはそっぽを向いているということであった。夜寝ようとしてもいつものように布団に遊びに来ないし、トイレに起きても覗きに来なくなり、暗いだけの夜になってしまった。朝起きて一番に警察に誘拐被害届を出した、とLINEで娘を脅してやった。
 全国の古民家カフェを探訪するNHK・Eテレの番組『ハルさんの休日』を録画視聴したら、今回は東京は下落合にある築90年の茶室付き古民家喫茶で志が高そうなので、機会があれば行ってみたくなった。次回は大分とか予告していたけれど、掘ればいろいろ由緒謂れのある非チェーン系喫茶店が出て来そうである。ケインズは、投資の極意は自分が良いと思ったのを推奨するのではなく、広く好まれるのは誰かを探す美人投票のようなものだと喝破したけれど、日本の格言では「人の行く裏に道あり花の山」であり、金太郎飴のような味に飽きた人には、独特の風情と心意気を持った古民家喫茶にどれか掘り出し物が見付かるに違いない。

別れては かくも深きと 思ひ知らゆ
猫に掻かれし 胸の爪痕



無鄰菴

快癒

2019-09-18 16:54:27 | 日記
 8月半ばから預かっていた猫ちゃんが今朝ウンチをしたので、隣町に住む飼い主の娘に連絡した。猫のお腹に虫が居るというので、病院に通い、投薬してその結果を病院で診てもらうためである。夜中に出したものはダメで、朝出たホヤホヤでないと検査対象にならないと言われ、そんな難しい条件をクリアするのになかなか苦労した。午前中に駆け付けてきて、病院に連れて行った。結果は虫が居なくなっていた。毎日猫ちゃんのお腹を撫でて、虫よ、虫よ、居なくなれー、と呪文を掛けていたのが効いたのかもしれない。虫のせいか、5歳になるのに子猫のような体格だったので、鶏のささ身の湯掻いたのや、マグロ刺し身や、カツオ叩きや、ちゅるちゅーるなどを与えているうちに懐いてきた。大相撲をTV観戦していると膝に乗ってきた。夜中にトイレに行ったときや、電気を点けてゴソゴソしていると、すぐに寄って来て、背中を撫で撫でしろと言ってくる。後ろを振り返って私を見る目の表情が愛おしくなってきた。娘一家はあと3匹、元野良を飼っていて、同居させても感染の恐れが無くなったので、その子を連れて帰った。病院の話では、体力的に避妊手術をしても良いというので、1週間後には手術に連れて行くことになった。手術後、抜糸するまで他の猫に縫合糸をいたずらされてはいけないので、その間、また預けに来るという段取りになった。その後は正直、寂しい。
かりそめの 旅の宿なり 傷癒えば
前に羽ばたけ ともがら待たむ




撫子

2019-09-17 15:11:20 | 日記
 皇嗣秋篠宮殿下次女の佳子内親王さまが初の海外公式訪問でオーストリアのウィーンにご到着なされ、ファン・デア・ベレン大統領を表敬訪問されたあと、ウィーン少年合唱団員と懇談されたニュースを聞くと、あの秘宝、秘仏のようなお可愛さに欧州中が沸いたであろうことを想像して、慶賀に堪えない。在任6年で200カ国近くの海外訪問にかかわらず、安倍内閣主要課題の北朝鮮拉致被害者無事生還と北方4島返還に何ら進展を得られないどころか、肝心の隣国との正常化も図れない官邸外交の躓きに比して、皇室外交は国家の至宝と敬仰せざるを得ない。振り袖姿のお美しさと、撫子色(淡紅色)のドレス姿の可憐なエレガントさはわが心を鷲摑みしたので、ハプスブルグ家といってもまだまだ歴史の浅い人たちにとって、本物の高貴さに目を瞠ったことであろう。
 鷲摑みされはしたものの、よく考えれば年齢、家系的に最も縁の遠いご存在である。うっとりばかりしていないで現実に戻ると、入門してまだ日が浅いお茶教室で巡り合った美人兄弟子の容姿の方に胸がときめく。雰囲気が奥さまは魔女のサマンサに似ている。別に金髪でもブルーアイでもないし、鼻をキュキュッと動かす癖があるわけでもないけれど、魔法を掛けることができる。日に日に存在を反芻してしまう。きっと魔術で心を緊縛しているのであろう。今度会った時に、解いてもらうようお願いする必要がある。
 横綱鶴竜の3連敗休場を安易に批判する輩が居たけれど、恩師の井筒親方(元関脇逆鉾)の急死という悲報の衝撃が背景にあった。横綱といえど相撲に集中できないのも無理はない。相撲部屋制度の仕組みを知らないけれど、井筒部屋が無くなれば元貴乃花部屋の貴景勝ように、移籍しなければならないとか。親代わりの親方の死と現実は、土俵以上の厳しさが心中にあったのだろう。今日のNHK大相撲中継の向正面解説は逆鉾の弟、元寺尾の錣山親方である。じっくり追悼を聞かしてもらう。

佳子さまの 振り袖眩し あてやかぞ
撫子色に ウィーン染めゆく



茶に含む かてきん怪し 点つるごと
心を縛り 面影深し