天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

無名の師

2022-03-08 18:20:38 | 日記

 3月8日は国際女性デー。ロシアでは極めて大切にされる日だと、20年ほど前に偶然知り合った人に教えてもらった。確か東京都写真美術館で上映されていたチェルノブイリ原発事故をテーマにした映画を一緒に見に行った記憶がある。ディーバちゃんだったかなあ。余裕ができたらシベリア鉄道にでも乗って会いに行こうと思っていたけれど、こんな時節柄、ますます絶望的になってしまった。人間は希望の万分の一も叶えられないものである。
 ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア侵略軍の最終殲滅作戦が迫っているのにもかかわらず、首都キエフに留まると表明したのに対し、英米は国外退避と亡命政権の準備を進めるなど、対ロ戦略がちぐはぐとなっている。
 2月19日にバイデン米大統領が「プーチン氏がウクライナ侵攻を決定」と見通しを明らかにしたのに対し、『1945年以来の雌雄を決する時が来たか?!』と書き送り、同日ジョンソン英首相が「ウクライナを支援しなければ、台湾も脅威にさらされる」と述べたのに対し、『さすがに視野が広い! 首相によく言って聞かせてください』と頼んでおいたけれど、厳しいのは口先だけのような気がする。
 とうとう同24日にロ軍の侵攻が開始され、G7が厳格な経済・金融制裁の実施を決めたのに対しては、即座に『秀吉の高松城攻めのように水も漏らさぬよう封鎖し、袋の鼠にして締め上げなくてはならない。連帯がなければ効果が上がらない』と檄を飛ばしておいた。しかし甘い対応にプーチンが付け上がり攻勢を強めたため、27日になってようやくバイデン大統領がSWIFT(国際決済システム)からのロシア排除に言及したので、
In this case, prudence means a mere Chamberlain diplomacy.
と、ホワイトハウスに優柔外交の不可なることを書き送った。この点はむしろジョンソン首相の方が
Boris Johnson pledges to 'strangle' evil regime of vile tyrant Putin.
と、厳しい姿勢を示していたので、私の方から
Get him cornered like a rat in a trap!
と激励しておいた。しかし、ロシア軍は原発施設まで攻撃対象に入れる無法ぶりだったので、バイデン大統領の初の一般教書演説を前に、私は dePutinization という新語も交え、次のように注文を付けた。
It is essential Mr. President should declare dePutinization in the peace process in Ukraine in his State of the Union address.
 しかし、彼は人の話を聞いていないし、NATOもゼレンスキー大統領から要請された同国上空の飛行禁止区域設定に対し拒否した。このような生温い対応ではナチスドイツが周辺国侵略をほしいままにした悲惨な歴史の轍を踏み返すことを恐れ、バイデン大統領に対し次のように書き送った。
U.S. President Biden called Putin a dictator in his State of the Union address. Excellent! The actions must follow along. Good words without deeds cannot prevent him from doing evil. Don't tell me you are intending to leave Ukrainian people to their fate?
 このような弱腰では、もう誰でも言う事ではあるけれど、ロシア国内でプーチンを抑える勢力が立ち上がるしか侵攻を止める手はない。私が素手で乗り込んでも歴史を変えるのに何の役にも立たないだろうから、中国の故事に倣って自壊を願うしかできない。
 大義のない戦争を起こすことを中国の古典では『無名の師』と言って、無理が祟って最後には敗れる運命にあると戒められた。大軍を擁する袁紹は、重臣の諫めにもかかわらず、小勢の曹操討伐に打って出て、官渡の戦いで撃退され、のち滅んだ。
 今、酒を断っている。ウクライナ平和の日に祝杯を挙げる。

 




閃き

2022-03-07 16:31:49 | 日記

 リンゴが木から落ちるのを眺めて万有引力の法則が発見されたように、大発見はひょんなことから生まれる。私が日本書紀を読んでいて、聖徳太子が推古天皇の皇太子に立てられた時の名前である厩戸豊聡耳皇子の読み仮名「うまやとのとよとみみのみこ」を見て、秀吉が天下を取った時に名乗った「豊臣」(とよとみ)姓は、聖徳太子にあやかったのだと、20年ほど前に気付いたのも同じ事である。
 馬屋で生まれながら歴代治世者の中で最も尊敬された偉人聖徳太子に、百姓の子倅ながら生まれる時に母の懐中に日輪が飛び込んだ奇運の天下人秀吉が重ね合わせたかったのであろう。聖徳太子の後嗣・山背大兄王が皇位簒奪を目論む蘇我入鹿に襲撃されたとき、身を挺して守ったのが一騎当千の武勇を誇る奴(やつこ)三成(みなり)であり、秀吉も豊家を固く守らせるため側近石田佐吉に三成を名乗らせた。
 今回も英単語を確かめる必要があって辞書を開いていて、gudgeon が目に留まった。意味は「かつがれやすい人、とんま」とあった。これはもう、確実と言うより、絶対だと閃いた。クレージーキャッツの谷啓の人気ギャグ『ガチョーン』はこれから来たのに違いないと確信した。米進駐軍時代のジャズに感化されて音楽をやり、米喜劇俳優ダニー・ケイを文字って芸名にしたくらいだから、英語の影響力は彼にとって日常だった。ガチョーン誕生の憶説には、麻雀好きの谷が相手に上がりを振り込んだ時にクソッでなく発した悔し声だとか、魚釣りのコントで大魚を逃がした際に発した擬態音などがあるけれど、信憑性がない。
 日本コント史上、最高の一発芸は何かというアンケートに、ビートたけしの「コマネチ」や志村けんの「アイ~ン」を退けて、堂々の1位に輝いた『ガチョーン』が、そんな詰まらない出自のはずがない。英語の深い教養が、誕生の秘密にあったわけである。ハラホロヒレハレ。

 


阿漕

2022-03-05 16:04:37 | 日記

 断捨離整理をしていたら落窪物語の田辺聖子版『おちくぼ姫』が出てきて、タイトルをひらがなで書くと自分の境涯のように思えて、パラパラ目を通した。まともに読むつもりはなかったけれど、準ヒロインに阿漕(あこぎ)と呼ぶ若い女性が出てきて、これがアコギな奴の語源になるのか思って、先を急いだ。しかし最後までヒロインの落窪姫を助ける、律儀で賢くスマートな、八千草薫のイメージで終わった。結局、阿漕が何なのか分からず終いだった。本も古文でなく手軽な田辺版だったので、調べも安直にネットでした。すると、阿漕は人名でなく、三重県津市の阿漕ヶ浦という地名から来ていて、むかしそこで欲の張った漁師が密漁して海を荒らしていたことに由来するそうである。
 阿漕の語源にアメリカ説もある。むかし、親米クウェート領を占領したイラクを懲らしめるため、米国主体の多国籍軍が湾岸戦争を起こした。バブル経済の余韻のあった日本は平和憲法上、出兵せずに巨額の財政支援で米国に味方した。しかし、マッチョな国際気風の中で、銭で片を付けるのかと、米国から全く感謝されなかった。我ら平民は、高い税金から首相の顔を立てるために130億ドルも拠出した挙句に、役立たずと罵倒されて、お前らはバカかと政府批判したものである。今度そんな機会がまた来たら、核でも何でもぶっ放してやるという気概だった。
 そこへ、2001年9月にニューヨークの高層ビルが航空機突撃による爆発炎上崩壊という同時多発テロ事件が起きた。さっそく米国はテロ犯の根城のアフガニスタンに征伐に赴いた。同盟国の英国なども参戦したが、日本がまたもたついていると、米側から「show the flag!」と旭日旗を立てて出兵するよう督促された。資金援助だけでは役立たずと言われる前回の轍を踏まないため、慌てて法整備をして勇躍、自衛艦をインド洋の荒波を超えて出動させた。
 なのに、西側に加盟する意思を示しているウクライナの首都がロシアの侵攻軍に包囲され、総攻撃前夜にあるというのに、米国は声援と資金援助と武器供与だけで、旗は巻いたままではダブル・スタンダードと言えよう。阿漕な話である。ショー・ザ・フラッグと関ヶ原の戦いで豊臣恩顧の大名に与力するよう恫喝した徳川家康のような武勇はどこに消えたのか。そんなチェンバレン外交ではウクライナ制圧後には、大ロシア主義のプーチンは、安く譲渡したアラスカの返還を求めて東部軍を進駐させるのではないか。ミッドウエー海戦のタイミングは迫っている。

 


原発攻撃

2022-03-04 13:30:26 | 日記

 何年も前から日本政府に警告していた原子力発電所へのミサイル攻撃の可能性が、第1候補でなく次点であったユーラシアの西で起きた。核ミサイル開発を営々と進め、測距発射実験を繰り返している北朝鮮にとっては、これで躊躇なく必要な時に、日本海側に展開する日本の原発施設を狙う、精神的障壁が取り払われた。とりわけ稼働中の原発は攻撃効果が大きく、優先目標となるであろう。ロシアのプーチン大統領を上回って行動原理が予測し難い金正恩北朝鮮最高指導者に対して、原発施設自体が軍事的に人質を提供しているようなものなのに、その上稼働を継続するなどは、防衛上の脆弱性を最大限に高める行為で、国民の多大な犠牲を顧みない愚国策としか言いようがない。兵器廠も弾薬庫も不要で、補給と輸送コストに、維持管理費用も相手持ちなので、敵にとってこれほど効率が良く、破壊力に優れた武器は探しても他に見付からない。国民の多くは政府の方針に従順で、原発再稼働に反対する意思表明はしていないから文句はないであろうが、原発襲撃の可能性を数年来繰り返し警告している私には、原発が炎上した際に「想定外の事態」との弁明は通用しないことを明記しておきたい。これだけ警告しておいても、仮定の話に答えなくてもよいけれど、実際に爆破炎上した場合に岸田文雄首相は、憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」を持ち出して、全然問題が無かったと言い逃れしそうである。しかし、その時点ではもう誰も追及したり、抵抗する戦意を失っているであろう。
 欧米の政府、企業は日本より返り血が多いと推測されるにもかかわらず、ロシアとのエネルギーを始めとした事業からの撤退を進めている。ロシアと協調し、共同事業を継続することはウクライナ侵攻を是認したことになることを警戒するためである。翻って日本はどうか。ロシア現地で作業管理が困難となった企業は操業停止或いは撤退を始めているが、エネルギー事業については国策の御旗のために未だに態度を鮮明にしていない。愚かである。本物の血を流している友好国ウクライナ支援のため、エネルギー供給網の少しばかりの破断は当然の覚悟である。小利に拘り大義を見失う事は、国家百年の計に照らして蔑まされる国賊行為であろう。英国のBPやシェルの最高経営責任者の果断な判断に引き換え、大商社を始めとした日本の最高経営責任者の思考停止ぶりはどうしたことであろう。明治の政商以来、護送船団経営に閉じ籠り、お上の指導なしには経営判断をしてこなかった通弊が、こうした重大局面に顔を出してしまう。已んぬる哉。
 こんな時にどさくさ紛れに、ガソリン高騰対策として石油元売りへの補助金を5円から25円に引き上げることを決めてしまった。生活困窮対策なら国民に直接援助するのが正常な政策であろう。自動車等保有者に対し、1台に付き1カ月100リットル分の代金の1割程度を直接現金給付すれば政策効果が確実である。石油元売りなどは原油市況高騰により従来の在庫評価が急上昇し、会計上の棚ぼた儲けが既に発生している。バレル40-50ドルで仕入れたものが、90-100ドルで売れるような計算である。そこに補助金を与えようというのは「泥棒に追い銭」に異ならない。
 ロシア・エネルギー事業から、国際危機下の原発推進、ガソリン補助のいずれもが経産省・エネルギー庁が絡んでおり、既得権益によって国を歪める元とならないよう注意を怠ってはならない。