goo何気無い日々が心地よい安寧

何気無い日々が続く様に。生きていく事の大変さがカナン。ある種空気の様な存在になりたいもの。

🚶…仏徳山…朝日山…興聖寺…太閤堤跡…> 🚙⇆丹波橋 240726

2024-07-26 23:15:00 | 🚶 歩く
🚶…右岸堤防道…朝霧通…さわらびの道…仏徳山遊歩道↗︎同:展望台👀↗︎同:山頂↘︎仏徳山:朝日山渓谷…朝日山参道↗︎同:観音堂🙏…同:展望所👀↗︎同:山頂↘︎同:裏山道…仏徳山山道↘︎興聖寺前…琴坂…右岸路…観流橋…朝霧通…通圓🍦…太閤堤跡公園:茶づな…右岸河川敷道…>
🚶10679歩23F

☀️:風強く心地よく陽射しに拮抗で◎
 猛暑日:仏徳山展望台36℃


夜)🚙妻⇆京阪丹波橋駅北口




仏徳山展望台より

朝日山:観音堂

同:展望所







太閤堤跡公園

同:茶づなにて









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多くの日本人が気付いていない…世界的トップシェア企業「信越化学」が貫く「日本型経営」8つの「本質」 202407

2024-07-26 11:09:00 | なるほど  ふぅ〜ん

多くの日本人が気付いていない…世界的トップシェア企業「信越化学」が貫く「日本型経営」8つの「本質」
 現代ビジネス より 240726 大原 浩(国際投資アナリスト.人間経済科学研究所•執行パートナー)


⚫︎消費者になじみが薄いが世界的大企業
 トヨタ自動車の製品を「見たことが無い」読者はまずいないであろう。自分自身でトヨタ車を運転していなくても、「街中にあふれている」ことは言うまでもない。

 実は、信越化学工業の製品も「街中にあふれている」のだ。信越化学HP「~きっと、どこかで、出会っています。~」を見れば、一目瞭然だ。自動車、カーナビ、エアコン、スマホ、携帯、パソコン、壁紙、タイヤ、電線、錠剤などほとんどありとあらゆる分野に「信越化学工業の製品」が存在する。

 ただし、それらの製品にはトヨタ製の自動車のようなロゴや社名が入っているわけではない。多くの場合、他メーカーの完成品の一部としてひっそりと隠れているから気付かれないのである。

 しかし、その目立たない信越化学工業が、時価総額では世界の化学工業メーカーの中で第4位(11兆9769億円、2023年12月末)である。
 また、日本経済新聞 7月17日「時価総額上位」によれば、日本企業の時価総額において、第15位の東京海上、第14位の伊藤忠商事を上回る第13位(13兆4253億円)だ。
 同1位のトヨタ自動車(51兆6388億円)との差はかなりあるが、信越化学工業が、日本を代表する世界的大企業であることは間違いが無い。

 同社のHP「沿革と歴史」に詳しいが、1926年に創業。「『信濃の水』と『越後の石灰石』の 出会い」に起源がある。
 そして、現在同社の代表的製品と言えるのが、ディールラボ 3月7日「シリコンウエハ業界の世界市場シェアの分析」【シリコンウエハの世界市場シェア】において、堂々の1位(34.61%)を獲得しているシリコンウエハである。ちなみに2位のSUMCO(27.81%)も日本企業であり、両社だけで世界市場の過半を占めている。

 自動車が現代生活に不可欠であるのと同じように、今や半導体は(鉄に代わって)「産業のコメ」とさえ称される存在だ。その半導体製造の「基礎の中の基礎の材料」であるシリコンウエハ市場での独占的地位を信越化学が築いていることに注目すべきだ。

⚫︎「日本型経営」の雄
 それだけではない。「信越化学グループの事業」によれば、塩化ビニル樹脂世界シェアも1位である。

 このように、同社が1926年の創業以来、おおよそ100年にわたって発展してきた理由は、トヨタ自動車同様「日本型経営」をベースにしてきたことにあると思う。
 トヨタ自動車は「TPS」=「トヨタ生産方式」が有名だが、その基本は4月10日公開「トヨタ生産システムの根源『なぜなぜ分析』はバフェット流にも通じる『外野の意見に耳を傾けるな!』という鉄則」の「なぜなぜ分析」にある。

 そして、その「なぜなぜ分析」を生み出したのは、「目先の小さな利益ではなく、長期的に大きな利益を大事にする『日本型経営』」なのである。

 例えば、TPS(トヨタ生産方式)を始めとする具体的施策を、信越化学工業が(そのまま)取り入れているということではない。しかし、「日本型経営の『根幹』」は、両社に共通していると考える。

⚫︎社長の器・小田切氏
 現在のシリコンウエハと塩ビを中心軸にした優良企業に育ったのは、「信越化学工業 中興の祖 小田切新太郎 社長の器」の小田切新太郎氏の貢献が大きいであろう。
 同氏は、6月15日公開「なぜ日本企業から『大物経営者』が出なくなったのか…この国をダメにした『4つの原因』」で述べた「小物経営者」とは対極に位置する「大物経営者」であるといえる。

 分かりやすく言えば、トップダウンで現場のことまであれこれ細かく口を出すのに結局結果の責任をとらない、欧米型の「プレイングマネージャー」とは真逆であるということだ。

 2021年8月17日公開「『何もしない上司』が実は優秀だった…?ドラッカーが説くマネジメントの『鉄則』」、2019年10月20日公開「『責任を取る』こそがドラッカーが指摘する現代組織のリーダーの要件」で述べたように、「現場の自主性を最大限に尊重する」=「部下に任せる」が、最後の責任をとる=「社長の器」ということである。

 それでは、このような「社長の器」を備えた「大物社長」を生み出す「日本型経営の本質」とはどのようなものであるのだろうか?

⚫︎日本型経営の「社長の器」8原則
 前記「信越化学工業 中興の祖 小田切新太郎 社長の器」の事例も含めて、「日本型経営の本質」は概ね次の8原則にまとめられると考える。

1. 会社の資産としての人材を大事にする

2. 目先の利益にこだわらず長期的利益を求める

3. 会社の利益と個人の利益が一致するよう努力する

4. 企業を働く人間にとって快適な場所にする

5. 空論より現場を大事にする

6. 公平性を重視する

7. 長期的な人間関係の熟成

8. 人間が「多機能」(細分化していないから、リストラをしなくても配置転換で対応できる。また、顧客にとっても便利)である

 1の「会社の資産としての人材を大事にする」は、いま最もないがしろにされている日本型経営の原則の一つだと感じる。
 かつて「リストラ」を行う事は「経営者の恥」だとされた。安定した雇用を維持し、社員が「仕事以外のこと」=「次の職探しなど」に煩わされることなく、自らの本来行うべき職務に専念できるようにすることが、経営者の責務=「社長の器」である。

 そもそも、リストラをしなければならないほど経営が悪化する責任は、明らかに社長を含む経営陣にある。その「最大の責任者」が、従業員の生活を犠牲にしているにもかかわらず、責任をとらずに居座っているのが、欧米化された多くの日本企業だ。

 しかも、「リストラによって利益を得た」として多額のボーナスまでもらう。現在は、国際指名手配犯である、2020年1月12日「『経営者として三流、犯罪者なら一流』のゴーンは日本に何を残したか」、同7月20日公開「『プロ経営者』たちが、日本企業を次々に破壊しているというヤバい現実」で述べたカルロス・ゴーンが典型だ。
 彼は短期的利益を生む「首切り屋」としては一流であったかもしれないが、長期的展望を見据えて、企業の将来を見据える力は持っていなかったと言える。

⚫︎目先ではなく将来を見る
 2の「目先の利益にこだわらず長期的利益を求める」は、8原則のベースでもある。
2021年6月7日公開「さらば『デフレ経済』…これから『伸びる日本企業』『消える日本企業』を全公開!」で述べた,過去のデフレ経済の下では,日ごとに価格が下がるという「資本主義の歴史の中では異常事態」によって「目先を追いかける」こともある程度要求された。
 しかし、資本主義の歴史で常態であるインフレ経済においては、「将来の価格上昇」を見据えて「長期ビジョン」によって行動する企業が勝者になる。
 優秀な人材に、充分な時間と費用をかけて教育し「人材の価値を高める」ことも日本型経営の特徴である。ジョブ型(日雇い型)雇用は、市場にいる人材を拾い集めてくるだけで、(企業として)「人材の価値を高める」ことに貢献しない。

 3の「会社の利益と個人の利益が一致するよう努力する」は、「性善説」が前提だ。例えば、日本以外の国々の多くでは、「職能(職業)別組合」が一般的であり、労働者と企業の経営陣が鋭角に対立する(相手を信じない)性悪説の組織である。
 だが、日本でも戦後は労働争議が頻発したが、長年にわたる相互の信頼構築の努力により、企業別組合が一般的だ。対立する部分が無いわけではないが、自社の発展が双方の利益になるという点では歩み寄れる。
 労使が激しく対立している企業と、「自社を発展させる」という点において強調することができる企業のどちらが、ビジネスにおける競争力を持つのかは言うまでもない。

⚫︎「現場力」がカギ
 4の「企業を働く人間にとって快適な場所にする」において、日本企業は手厚い福利厚生を始め「ぬるま湯」ともいえる環境を構築した。従業員がそれに甘えて堕落してしまう恐れはある。
 だが、社内で「実力主義」による競争の結果による「足の引っ張り合い」が頻繁に行われ、隣の人間がいつライバル会社に転職するかもわからない環境で働くよりも、精神衛生上好ましいのは明らかだ。

 5の「空論より現場を大事にする」については、6月15日公開「『根回し』の何が悪いのか…現場を知らないMBAホルダーがもたらす『悲惨な結果』と、日本型経営の『最大の長所』」、2022年5月17日公開「頭でっかちのエリートが会社を滅ぼす…日本企業をダメにする欧米流経営の大問題」などで述べた通りだ。
 これはとくに製造業における日本企業の長所である。

⚫︎「公平性」を維持する
 6の「公平性を重視する」については、現在の米国企業が反面教師だ。日本経済新聞 6月18日「米CEO報酬、従業員の200倍に 格差は『騒乱警戒』水準」などにおいて、イーロン・マスク氏への560億ドル(約8.8兆円)の巨額報酬が株主総会で承認されたことが伝えられた。
 建前は「実力主義」、「成果主義」であろうが、それは詭弁にしか過ぎない。「実力」や「成果」を客観的かつ正確に計測するのはほぼ不可能だからだ。マスク氏の約8.8兆円の報酬の根拠も不明である。
 どのような企業でも、現場を含む多くの社員の努力によって企業業績が維持されている。特定の人間だけに巨額の報酬を支払うことは極めて「不公平」である。

 7の「長期的な人間関係の熟成」においても、「公平な報酬」は大事である。経営幹部だけが巨額の報酬を手に入れ、一般従業員が安月給でこき使われていれば、社内における「長期的な人間関係の熟成」など到底できない。
 また、企業経営において、報酬ばかりに着目していると「金で動く人間」しか集まってこない。「金銭的利益を越えた人間としてのつながりを持たない」組織は極めて脆いのだ。

 8の「人間が『多機能』である」ことも、日本型経営の特徴だ。配置転換によってリストラを避けることができる。また、人間の能力を「狭い専門分野」に閉じ込める事が無いから、社員の潜在能力を発掘しやすい。
 加えて、総合商社や総合リースを始めとする日本のお家芸の「総合化」も、人材が「多機能」だからこそ上手く機能する。人材が専門分野に特化してタコつぼ化している欧米企業で、真似しようとしても、同じ企業内での「有機的結合」が難しいのだ。
 その点において、「米国的ではない米国企業」である、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、7月13日公開「五大商社『株式まとめ買い』のバフェットがいよいよ伊藤忠と協業開始…その対象となった、意外すぎる『衰退産業』」のように、総合商社の「シナジー」を学ぶ姿勢を見せたことは注目に値する。

⚫︎「日本型経営」がこれからの日本を牽引
 これまで述べてきた、トヨタ自動車や信越化学工業だけではない。総合商社、総合リースを始めとする「日本型経営」の先進企業が、これからの日本経済を牽引していくであろう。
 これからは、「大原浩の逆説チャンネル<第1回・特別版>大乱の八つのテーマと対処法」で述べた、「大乱」がますます激化するであろうが、そのような波乱の時代にこそ、「人間同士の信頼関係」をベースにした「日本型経営」が実力を発揮するのである。
 なお、実際の投資に当たっては、「大原浩の逆説チャンネル<第15回>バフェット流の真髄は『安く買って高く売る』これがわから無い人がほとんどだ。(バフェット流の真髄その1)」などを参照の上、自己責任で行っていただきたい。

・・・・・

【さらに詳しく】『「根回し」の何が悪いのか…現場を知らないMBAホルダーがもたらす「悲惨な結果」と、日本型経営の「最大の長所」』
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日本人祖先の「3系統説」、従来の定説に修正迫る ゲノム解析で進化人類学は「人類、日本人の本質」を探究 202407

2024-07-26 10:46:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

日本人祖先の「3系統説」、従来の定説に修正迫る ゲノム解析で進化人類学は「人類、日本人の本質」を探究
  Lab BRAINS  より 240726


 「日本人の祖先はどこからやってきたのか」。このロマンに満ちた問いに対しては、祖先は縄文人と大陸から渡来した弥生人が混血したとする「二重構造モデル」が長くほぼ定説となっていた。そこに日本人のゲノム(全遺伝情報)を解析する技術を駆使した研究が盛んになり、最近の、また近年の研究がその説を修正しつつある。

 日本人3000人以上のゲノムを解析した結果、日本人の祖先は3つの系統に分けられる可能性が高いことが分かったと理化学研究所(理研)などの研究グループが4月に発表した。
 この研究とは別に金沢大学などの研究グループは遺跡から出土した人骨のゲノム解析から「現代日本人は大陸から渡ってきた3つの集団を祖先に持つ」と発表し、「三重構造モデル」を提唱している。

 理研グループの「3つの祖先系統」説は「三重構造モデル」と見方が重なり、従来の「二重構造モデル」の修正を迫るものだ。

 日本人の祖先を探究する進化人類学はDNA解析、ゲノム解析の技術という有力手段を手にして、大陸からさまざまな人々が渡来して現代の日本人につながった複雑な過程が見えてきた。今後さらに詳しい私たちのルーツが明らかになっていくだろう。
 それは「私たちの本質は何か」という壮大な探究テーマの回答を知ることにつながる。


大規模な日本人のゲノム解析により日本人集団の遺伝的構造を明らかにする研究の概念図(理研などの研究グループ提供)

⚫︎祖先は「縄文系」「関西系」「東北系」の3つに
 母から子へ受け継がれるミトコンドリアにはわずかながらDNAが含まれ(ミトコンドリアDNA)、これを解析することにより、母系の血縁の有無が分かって遺伝的なルーツを調べることができる。細胞核に存在する核DNAは両親から半分ずつ子に伝えられる。このため、その配列や突然変異の規模などを解析することで人類の混血、交流や移動を調べることができる。

 「3つの祖先系統」説を発表したのは、理研生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チームの寺尾知可史チームリーダー、劉暁渓上級研究員や東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターの松田浩一特任教授ら。寺尾氏は静岡県立総合病院の免疫研究部長や静岡県立大学薬学部特任教授を兼任し、同総合病院や同大学も研究に参画した。

 寺尾氏らの研究グループは、多くの人の血液や遺伝情報を集めて保存している組織「バイオバンク・ジャパン」を活用。北海道、東北、関東、中部、関西、九州、沖縄の7地域の医療機関に登録された日本人3256人分のDNAの全配列を詳細に分析してゲノムの特徴を明らかにする膨大な作業を続けた。

 その結果、日本人の祖先は主に、沖縄県に多い「縄文系」、関西に多い「関西系」、そして東北に多い「東北系」の3つに分けられることが分かった。さらに調べると縄文系の遺伝情報の割合(祖先比率)は沖縄県が一番高く28.5%、次いで東北で18.9%、関西では最も低く13.4%だった。

⚫︎「二重構造モデル」に疑問提示
 この祖先比率は縄文人と沖縄の人々の間に高い遺伝的親和性があるとの以前の研究とも一致し、関西地方は漢民族と遺伝的親和性が高いことが明らかになった。また、東北系も縄文人との遺伝的親和性が高く、沖縄県・宮古島の古代日本人や韓国三国時代(4~5世紀)ごろの古代韓国人に近かったという。

 こうした研究成果は、縄文時代の狩猟採集民族である縄文人と弥生時代に大陸の北東アジアから渡来した稲作移民の弥生人の混血により現代の日本人が形成されたとする「二重構造モデル」に疑問を投げかける内容という。

 現代人の祖先はネアンデルタール人やデニソワ人と交雑したとされている。一連のゲノム解析では、現代の日本人にネアンデルタール人やデニソワ人から受け継いだとみられるDNA配列も見つかっている。

 デニソワ人から受け継いだ配列には興味深いことに2型糖尿病に関連するものも含まれていたという。DNAの解析は「病気感受性」をも明らかにして個別化医療に道を開くと期待されている。さらに詳しい分析が待たれる。研究論文は4月17日付の米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載された。

ゲノム解析による7地域の日本人集団は3つの集団に分けることを示す図。日本人の祖先が沖縄系(K1)、東北系(K2)、関西系(K3)の「3つの祖先系統」に分かれることを示す。(地域ごとの縄文系の祖先比率を示すグラフではない)(理研などの研究グループ提供)
  寺尾知可史氏と劉暁渓氏(理研などの研究グループ提供)

⚫︎人骨のゲノム解析から「三重構造モデル」提唱
 理研などの研究グループの発表に先立つ2021年9月。金沢大学などの共同研究グループは、縄文、弥生、古墳時代の遺跡から出土した人骨のゲノム解析した結果、現代の日本人は大陸から渡ってきた3つの集団を祖先に持つことが分かったと、同じくサイエンス・アドバンシズに発表している。

 この共同研究グループには当時の金沢大学人間社会研究域附属古代文明・文化資源学研究センターの覚張隆史助教や中込滋樹客員研究員のほか、アイルランドのダブリン大学のダニエル・ブラッドレイ教授や鳥取大学の岡崎健治助教、岡山理科大学の富岡直人教授、富山県埋蔵文化財センターの河西健二所長ら多くの研究者が参加した。

 覚張氏らは、縄文時代早期の上黒岩岩陰遺跡(愛媛県久万高原町)、縄文時代前期の小竹貝塚(富山市)、船倉貝塚(岡山県倉敷市)、縄文時代後期の古作貝塚(千葉県船橋市)、平城貝塚(愛媛県愛南町)、古墳時代終末期の岩出横穴墓(金沢市)の 6 遺跡で出土した人骨から計12人分のゲノムを取得し解析した。そして既に報告されている国内の他の遺跡や大陸の遺跡の人骨ゲノムと比較した。

 その結果、縄文人の祖先集団は、2万~1万5000年前に大陸の集団(基層集団)から分かれて渡来して1000人ほどの小集団を形成していたことが分かった。そして弥生時代には北東アジアに起源をもつ集団が、また古墳時代には東アジアの集団がそれぞれ渡来してその度に混血があったと推定できたという。

 この研究成果は、大陸の集団から分かれた縄文人が暮らしている日本に古墳時代までに2段階にわたって大陸から遺伝的に異なる集団が流入したことを示唆しているという。そして研究グループは、従来の「二重構造モデル」に対して、新たに「三重構造モデル」を提唱した。

 ゲノム解析に使われた試料の人骨が出土した遺跡の場所。○は新たな人骨ゲノムデータが得られた遺跡(金沢大学などの研究グループ提供)

 縄文時代から現代に至るまでの日本人ゲノムの変遷を示すグラフ。本州での現代日本人集団は古墳時代に形成された3つの祖先から成る三重構造を維持している(金沢大学などの研究グループ提供)

⚫︎ゲノム解析と進化人類学の融合の賜物
 金沢大学などの研究グループによる研究は、日本人の祖先を巡る見方に科学的根拠をもって新たな説を提示する画期的な成果だった。
 ただ、古人骨のゲノムのサンプル数は制限されており、より多くの解析が必要と考えられていた。理研などの研究は大規模な現代日本人ゲノム情報に基づいてこの三重構造モデルを裏付けた形だ。

 これらの研究のほか、東京大学大学院理学系研究科の大橋順教授と渡部裕介特任助教らの研究グループは現代日本人のゲノムの中から縄文人に由来する遺伝的変異を検出する独自の手法を開発。
 都府県別にどの程度縄文人を受け継いでいるかという「縄文人度合」を推定し、その研究成果を2023年2月に発表している。

 その度合には地域差があり、東北の青森、秋田、岩手、宮城、福島の各県や関東の茨城、群馬の両県、鹿児島県や島根県などは度合いが高く、近畿や四国の各県では低かった。「度合い地図」では縄文人度合いが飛び抜けて高いことが確実に予想された沖縄県と分析に重要なアイヌ人のデータが得られなかった北海道は除かれている。

 また、縄文人は渡来人と比べて遺伝的に身長が低いことや血糖値が高くなりやすく中性脂肪が増えやすい傾向も分かったという。縄文人は農耕を営んでいた渡来人より炭水化物への依存度が低く、血糖値などを高く維持することで狩猟生活に適応していた可能性があるという。興味深い見方だ。

 現代日本人のベースになっているのは弥生時代以降の渡来人であることは分かっていたが、東アジアの中で日本人を特徴付けるのは縄文人から受け継いだ遺伝的要素で、東京大学のこの研究は現代人の成り立ちは地域によってかなり異なることを示している。

都府県別「縄文人度合」。色が濃いほど度合いが高いことを示す(東京大学の研究グループ提供)

⚫︎祖先集団の移動や複雑な混血の実相明らかに
 今春発表された理研の研究成果も、それに先立つ金沢大学や東京大学の研究成果も、DNA、ゲノム解析の技術が進化人類学と融合した賜物(たまもの)と言える。
 日本人のルーツだけでなく、人類のさまざまな集団が持つ遺伝的変異の系統が明らかになって人類がどのように世界中に広まっていったかが分かってきた。

 人類進化の研究に新たな視点を提供したデニソワ人の名を命名したのは、2022年のノーベル生理学・医学賞を受賞したドイツ・マックスプランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ教授だ。
 教授は約4万年前に絶滅したネアンデルタール人の骨片のゲノム解析を行ってゲノム配列を2010年に発表。欧州やアジアに住む現代人のゲノムの1~4%がネアンデルタール人に由来し、ネアンデルタール人が現生人類と交雑していた証拠を示した。

 ペーボ教授はまた、2008年にロシア・シベリアのデニソワ洞窟から出土した骨片の核DNAの全配列を決定してデニソワ人と命名。世界各地の現生人類の核DNA配列と比較して東南アジアの集団では全DNAの4~6%がデニソワ人から受け継いでいることも突き止めている。進化人類学を大きく前進させた業績がノーベル賞受賞につながった。

 日本の進化人類学や分子人類学研究の第一人者である国立科学博物館館長の篠田謙一さんによると、1981年に人間のミトコンドリアDNAの全配列が解読された。
 その後DNAを増幅する技術「PCR法」ができるなどして20年が経過し、2001年に人間一人分の核DNAの全塩基配列が明らかになった。
 「次世代シーケンサー」と呼ばれる装置の登場で核DNAの解析を短時間で大量にできるようになり、2010年以降、進化人類学は新しい段階に入ったという。

[現生人類のホモ・サピエンスがネアンデルタール人やデニソワ人と交雑してそれぞれの遺伝子の一部を引き継いでいることを示すイメージ図(ノーベル財団提供)]
  ペーボ氏(沖縄科学技術大学院大学提供)

⚫︎時空を超えて人類、日本人の本質に迫る
 篠田さんは日本人の成り立ちを探るために2018~22年に実施された「ヤポネシアゲノムプロジェクト」に主要メンバーとして参画し、日本人成立のシナリオを明らかにする数多くの研究成果を残している。ヤポネシアとはラテン語を組み合わせた造語で日本列島を表す。

 今年1月に開かれた日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)主催の講演会(月例会)で篠原さんは「このプロジェクトで現代日本人につながるプロセスは弥生時代で止まっておらず古墳時代まで延びることが分かった」「縄文人のゲノムは全て読めているが本州の日本人では(平均)10%が縄文人の遺伝子で90%は弥生時代以降入ってきた遺伝子だ」などと説明した。

 さらに「弥生時代にはたくさんの遺伝的変異を持った人たちがこの日本列島で暮らしていた。弥生人と言うが誰か1人をもって弥生人の代表とは言えない」と指摘。
「日本人はどこから来たのかとよく言う。私も『我々はどこから来たのか』と自分の本のタイトルに書いたが、アフリカから来たことは分かっているので『日本人の成り立ち』と考える方がいい」と述べた。

 さまざまな年代や地域で得られた試料のDNAを比較することが可能になり、出土された骨の形状の違いだけでは判別できなかった私たちの祖先の集団の移動や複雑な混血の経緯が分かってきた。日本人の成り立ちが、そして日本人のルーツは多様であることがはっきりしてきた。

 「古代の人々のゲノムを調べることで当時の社会を知ることができるようになった。このことがこの10年のゲノム研究の進歩だ。こうした科学の進歩により社会とか人間とかを深く知ることができる」。篠田さんはこう強調している。

 DNA解析、ゲノム解析は明らかに考古学や人類学を大きく変えた。約31億塩基対の「遺伝情報文字」が詰め込まれている細胞核のゲノム。それを読み解く現代の技術は時空を超えて人類や日本人の本質に迫っている。
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