深刻化する“友達のいないおじさん”問題。なぜ中高年男性は遊びに誘えないのか――2022年トップ10
日刊SPA! より 221227
2022年、日刊SPA!で反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。
今年、色々な分野で話題になった人物に注目。特定の個人ではないものの「話題の人」部門に選ばれた第4位は、こちら!(集計期間は2022年1月~11月まで。初公開日2022年8月12日 記事は取材時の状況)
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◆なぜ友達のいない中高年男性は遊びに誘えないのか
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◆なぜ友達のいない中高年男性は遊びに誘えないのか
友達が少ない・いない中高年男性が問題視されている。孤独の健康リスクは飲酒や喫煙を凌ぐとも言われており、早急に対応しなければいけない。
中高年男性に友達がいない理由として様々な要因が想定されるが、そもそも“人を誘えないこと”にあるのではないか。誘える中高年男性を増加すれば孤独化することはなく、健康を害す心配もない。とは言え、自発的に誘える中高年男性はそうそういない。
そこで中高年男性が人を誘えない理由、どうすれば誘えるようになるのかなど、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者・岡本純子氏に話を聞いた。
◆誘ったら負け
そもそも、友達が少ない・いない中高年男性は世界的な問題らしい。その理由として岡本氏は「“男らしさ”に支配されがちだから」と解説する。
「男性は年を重ねるごとに『一人で強く生きるべきだ』といった“男らしさ”に支配されて他者との交流に抵抗感を覚える、という研究結果は世界的に見られています。加えて、今の中高年世代の中では、男性同士が仲良くすることが『ホモセクシュアル的だ』ととらえられてきたことも大きいです」
次に誘えないことの影響について、「もちろん、女性でも誘えない人は多いため中高年男性に限った話ではありません」としつつも、「やはり自発的に行動しなければ関係性は生まれないため、誘えないことは中高年男性の孤独化に関係しているでしょう」と話す。そして、人を誘えない中高年男性の特徴を説明した。
「迷惑やプライド、恥といった意識が人を誘うことのハードルになっています。まず、『仕事で疲れているかもしれないから』『休日は子供と過ごすだろうから』など、その人を気遣って誘いたいけど誘えない、という心理は結構あります。とはいえ、他者に配慮したものばかりではありません。
そもそも「忙しい」「めんどくさい」ので、自分から誘うことに抵抗を覚える人もいます。
◆断られることを怖がる
『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者・岡本純子氏
続けて、「これは日本人に顕著ですが、誘うこと自体に恥ずかしさを覚えてしまい、誰も誘えないこともあります」という。
「本来は幼少期からトライ&エラーを繰り返して、恥に対する耐性を育むのですが、『失敗してもいいから挑戦しよう』という空気があまり日本にはありません。何をするにも羞恥心が生じてしまい、誘いたいけど誘えない、という心理が働いてしまいます。
また、恥と通じている部分もありますが、『断られたらどうしよう』『友達として認識されているのかな……』といった恐怖心から人を誘えない人も少なくないです。これも恥と同様、人とコミュニケーションをする機会が多ければ、そうした恐怖も感じなくなるわけですが、そういった経験が乏しいためにどうしても受動的になってしまい、どんどん孤独になってしまうケースもあります」
◆口実づくりが重要
恥やプライドなどと折り合いをつけても、いざ誘うとなるとやはり抵抗感が生まれる。中高年男性はどのように誘えば良いのだろうか。
「まずは“口実づくり”が大切です。女性は話すことを目的にして集まることが多いため、口実を用意する必要はありません。しかし、『話したいから誘う』ということは男性では稀です。お酒もなく、『今度会って話そうよ』という誘いには戸惑う人もいるかもしれません。
口実づくりの重要性を示し、岡本氏は「そこでイギリスの“男の小屋(メンズ・ジェッド)”という取り組みが参考になります」と提案する。
「この取り組みは、“男性は面と向かって話すのではなく、肩を並べて、スポーツや仕事のような共通の目的に向かって作業をするほうがコミュニケーションが円滑に行く”という前提のもと、国内のいたるところにDIYができる場所を設ける、というもの。
中高年男性に友達がいない理由として様々な要因が想定されるが、そもそも“人を誘えないこと”にあるのではないか。誘える中高年男性を増加すれば孤独化することはなく、健康を害す心配もない。とは言え、自発的に誘える中高年男性はそうそういない。
そこで中高年男性が人を誘えない理由、どうすれば誘えるようになるのかなど、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者・岡本純子氏に話を聞いた。
◆誘ったら負け
そもそも、友達が少ない・いない中高年男性は世界的な問題らしい。その理由として岡本氏は「“男らしさ”に支配されがちだから」と解説する。
「男性は年を重ねるごとに『一人で強く生きるべきだ』といった“男らしさ”に支配されて他者との交流に抵抗感を覚える、という研究結果は世界的に見られています。加えて、今の中高年世代の中では、男性同士が仲良くすることが『ホモセクシュアル的だ』ととらえられてきたことも大きいです」
次に誘えないことの影響について、「もちろん、女性でも誘えない人は多いため中高年男性に限った話ではありません」としつつも、「やはり自発的に行動しなければ関係性は生まれないため、誘えないことは中高年男性の孤独化に関係しているでしょう」と話す。そして、人を誘えない中高年男性の特徴を説明した。
「迷惑やプライド、恥といった意識が人を誘うことのハードルになっています。まず、『仕事で疲れているかもしれないから』『休日は子供と過ごすだろうから』など、その人を気遣って誘いたいけど誘えない、という心理は結構あります。とはいえ、他者に配慮したものばかりではありません。
そもそも「忙しい」「めんどくさい」ので、自分から誘うことに抵抗を覚える人もいます。
◆断られることを怖がる
『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者・岡本純子氏
続けて、「これは日本人に顕著ですが、誘うこと自体に恥ずかしさを覚えてしまい、誰も誘えないこともあります」という。
「本来は幼少期からトライ&エラーを繰り返して、恥に対する耐性を育むのですが、『失敗してもいいから挑戦しよう』という空気があまり日本にはありません。何をするにも羞恥心が生じてしまい、誘いたいけど誘えない、という心理が働いてしまいます。
また、恥と通じている部分もありますが、『断られたらどうしよう』『友達として認識されているのかな……』といった恐怖心から人を誘えない人も少なくないです。これも恥と同様、人とコミュニケーションをする機会が多ければ、そうした恐怖も感じなくなるわけですが、そういった経験が乏しいためにどうしても受動的になってしまい、どんどん孤独になってしまうケースもあります」
◆口実づくりが重要
恥やプライドなどと折り合いをつけても、いざ誘うとなるとやはり抵抗感が生まれる。中高年男性はどのように誘えば良いのだろうか。
「まずは“口実づくり”が大切です。女性は話すことを目的にして集まることが多いため、口実を用意する必要はありません。しかし、『話したいから誘う』ということは男性では稀です。お酒もなく、『今度会って話そうよ』という誘いには戸惑う人もいるかもしれません。
口実づくりの重要性を示し、岡本氏は「そこでイギリスの“男の小屋(メンズ・ジェッド)”という取り組みが参考になります」と提案する。
「この取り組みは、“男性は面と向かって話すのではなく、肩を並べて、スポーツや仕事のような共通の目的に向かって作業をするほうがコミュニケーションが円滑に行く”という前提のもと、国内のいたるところにDIYができる場所を設ける、というもの。
会話をせずとも一緒に作業することで、仲間意識が芽生え、“誰かの役に立っている”という充実感を覚えます。ですので、コミュニケーションの目的を作るのが得策。テニスでもゴルフでもスポーツ観戦でも、何か口実があれば、誘いやすくなります」
◆副業という選択肢
ただ、岡本氏は無理に誰かを誘う必要はないと口にする。
「他人にも趣味にも興味関心を持てない人もいます。なにより、中高年男性は対等な関係を築くことが難しく、どうしても肩書きや年齢に囚われてお互いマウントしてしまいがちな人も少なくありません。
そこで、副業のように仕事を新たに始めるのもの手です。『退職後はボランティア活動といった活動を積極的にやったけど、どれも性に合わずに結局は仕事に戻ってきた』という男性もいます。先述した通り、“仕事”という共通の目的があれば、コミュニケーションのハードルが一気に下がるのでオススメです」
◆「孤独=悪」ではない
これまで友達の誘い方、居場所の見つけ方に関する提案を聞いたが、岡本氏は「別にムリをして友達を作る必要はありません」と「孤独=悪」ではないと語る。
「これからはおひとりさまの時代を迎えるため、別に友達がいなくても生きやすい時代になります。そもそも、万が一病気になった時、友達が面倒を見てくれるわけではありません。
仮に病気になった時は看護師さんやケースワーカーさんなど、いろいろな方が力を貸してくれるはずです。また、日常生活を送る上でも、スーパーの店員さんや飲食店の料理人さんなど、いろいろな人に支えられながら私達は生活しています。そういう人達に対して礼節を持って接し、社会とのつながりを維持していくことが、大切なのではないでしょうか」
“友達のいない中高年男性”と聞くとネガティブなイメージが根強いが、「独りのほうが気楽」という人も一定数いる。「誘いたいけど誘えない」と悩む必要はなく、自分が心地いいと思う人間関係を作る方法を自分なりに探し出してみるといいのではないだろうか。
取材・文/望月悠木
【望月悠木】 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。
◆副業という選択肢
ただ、岡本氏は無理に誰かを誘う必要はないと口にする。
「他人にも趣味にも興味関心を持てない人もいます。なにより、中高年男性は対等な関係を築くことが難しく、どうしても肩書きや年齢に囚われてお互いマウントしてしまいがちな人も少なくありません。
そこで、副業のように仕事を新たに始めるのもの手です。『退職後はボランティア活動といった活動を積極的にやったけど、どれも性に合わずに結局は仕事に戻ってきた』という男性もいます。先述した通り、“仕事”という共通の目的があれば、コミュニケーションのハードルが一気に下がるのでオススメです」
◆「孤独=悪」ではない
これまで友達の誘い方、居場所の見つけ方に関する提案を聞いたが、岡本氏は「別にムリをして友達を作る必要はありません」と「孤独=悪」ではないと語る。
「これからはおひとりさまの時代を迎えるため、別に友達がいなくても生きやすい時代になります。そもそも、万が一病気になった時、友達が面倒を見てくれるわけではありません。
仮に病気になった時は看護師さんやケースワーカーさんなど、いろいろな方が力を貸してくれるはずです。また、日常生活を送る上でも、スーパーの店員さんや飲食店の料理人さんなど、いろいろな人に支えられながら私達は生活しています。そういう人達に対して礼節を持って接し、社会とのつながりを維持していくことが、大切なのではないでしょうか」
“友達のいない中高年男性”と聞くとネガティブなイメージが根強いが、「独りのほうが気楽」という人も一定数いる。「誘いたいけど誘えない」と悩む必要はなく、自分が心地いいと思う人間関係を作る方法を自分なりに探し出してみるといいのではないだろうか。
取材・文/望月悠木
【望月悠木】 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。
今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。
Twitter:@mochizukiyuuki
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