ハング パーラメント(宙づり議会)とは、議院内閣制をとる国において、議会の過半数をとる政党がない状態のことをいう。
ヨーロッパの国々ではあたり前の状況であり、日本も議会がまさに本来の「合議制」としての機能をとりもどすのではないか。
今回の衆議院選挙の結果、自公の過半数割れで、日本でも本格的にはじまったといえる。
これで国民の「民意」が反映しやすくなると思う(?)。
?は「野党与党」が多いからだ。
過去の「戦争法」「安保三文書」「マイナ保険証」など、国民の7~8割が反対する自民党の「重要法案」は通らなくなる。
いわゆる「自公の暴走」ができなくなる。
日本の民主主義にとって、大きな前進といえる。
しかし、自公にとっては「衝撃」だ。
ときに「不安定な政治」という表現を使う評論家がいる。これは一面的な見方であり、自公政権の立場の評論だ。
「安定政権」という言葉は、自公の立場からだ。
2007年の参院選で自民党が惨敗し、参院で少数派になったという状況とはわけが違う。
憲法上「衆院優位」という原則があるからだ。
少数「与党」になると、
内閣総理大臣は、野党がすべて結束すると自公でとれない(政権交代)。
予算も、重要法案も国会を通らなくなる。
財界にとって、またアメリカにとっても「衝撃」だ。
そのため水面下での「与党に近い」政党との折衝が行われている。
まず国民民主党に「政策的連合」がはじまっている。
アメリカも国民民主党との協議を行おうとしている。
これからは、政党の姿が国民のまえにはっきりと見えてくるのではないか。
誰が「自公政治の延命に手をかすのか」と・・・
日本共産党は「新しい政治プロセス」と位置付けている。
「大局的に見れば、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求する、新しい政治プロセスが始まったことを示すもの」
(10月28日 総選挙の結果について)
紆余曲折はあるが「国会が民意を反映する政治」に前進するであろうと思う。そのために日本共産党は奮闘する決意だ。
マイナ保険証の利用はいまだに数%である。あまりにも大きな問題、障害を抱えている。
「紙の保険証」の継続も含め、全面的な見直しができる国会になったと思うが・・・
時間はない。早急に。
追 記
釧路市長選が終わり、鶴間氏が当選した。
しかし、市議会の足場は極端に弱い。いわば「少数与党」だ。
地方政治は「二元代表制」をとっている。
市長と市議会はともに有権者から選ばれた者で構成する。
市長は予算と条例を議会に提案し、議会が採決しなければ何もできない。議会には予算権限はない。
議会の承認をもらわないかぎり、市長が好き勝手にできないという側面をもつ。
少数与党である鶴間新市長、多数派を構成する自民党のいうことを聞かなければ何もできなくなる。
国会と同じ状況だが、鶴間氏の政治姿勢は自民党型(維新型)なので、そう心配することはないのではと思う。
それよりも心配なのは新市長の「新自由主義」的な施策だ。
維新政治は、自民党以上に「民営化」を進めている。
公務労働のさらなる「非正規化」「低賃金化」が心配だ。
今の地方政治は「国いいなり」という状況である。
今までの市長のように「国が、国が・・・」ということだけはやめてほしい。
まあ「国の悪政の防波堤」を主張する日本共産党の議席があるかぎり、市民生活を悪化させるようなものには大きな抵抗となるであろう。