日本の賃金は隣国の韓国にも抜かれ、先進国でも有数の低賃金国となってしまった。そのうえ「格差と貧困」の異常なまでの拡大だ。
春闘を前に経団連は「経労委報告」を出している。
2023年春闘の財界側指針となる「経営労働政策特別委員会報告」である。
その分析を大木一訓日本福祉大学名誉教授が「粉飾された賃金抑制策」として、しんぶん赤旗に18日から5回にわたて掲載した。
世論におされて「賃上げ」を言わざるを得なくなっているが、それはあくまで「粉飾」であることを暴露している。
今回の「経労委報告」の特徴は、いたるところで「エンゲージメント」という言葉が出てくる。(21日付)
エンゲージリングは結婚指輪のこと。
engageは契約で拘束するという動詞、それに-mentがつくと名詞になる。
engagementのビジネス上の意味は「組織に対する愛着心や働きがい」とのこと。
なぜこんなことを言い出したかというと、米の調査会社が日本の社員の「仕事に対する満足度」が129カ国中128位という衝撃的な結果を受けてのことだった。
「報告」には日本の長時間低賃金、非正規労働を作り出したかの反省はない。当然、大企業の内部留保や株主への配当、経営者の報酬削減は視野に入っていない。
「エンゲージメント」というカタカナ語で煙に巻き、いかに労働者の精神を「忠実」「勤勉」「残業をいとわない」に囲い込むかにむかっていく。
資本にとって、賃上げしても総人件費を抑えることができればよいことだ。
「エンゲージメント」の行く先は、「裁量労働制や高度プロフェッショナル制度」など労働時間に制約されない財界の長年の野望にある。
やはり賃上げは、国民の運動や労働組合の強力な取り組みだ。
政治的には「最低賃金」を1500円に引き上げることではないか。
このことは自公政権にはできない。
アメリカのSFドラマのスタートレックに、艦を発進させる言葉に「エンゲージ」という場面がある。エンゲージには歯車をかみ合わせて動かすという意味があり、出発、発進という意味だ。
アメリカ・財界言いなりの自公政権、岸田首相を変えること。
そのための「エンゲージ」が始まっている。
とりわけ亡国の巨額な「軍事拡大」をやめさせるために。