Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

音楽産業の行方 -iPodの次に来るもの-

2005-01-06 | Business
 全くお恥ずかしい話しだが,今週の週刊東洋経済(2005/1/8)の記事を読むまで,米国のタワーレコードが破綻していた(あとで調べたところ2004年2月の一年近く前のことであった)ことに気がつかなかった.ウォールマートとの安売り競争に負けたということらしい.日本のタワーレコードが2002年10月にMBOで独立していたことも気がつかなった.これは,この2-3年,日常生業以外の殆どの時間を研究と論文執筆にあてていたことの「副作用」かもしれないと思った.
 日本の音楽CDの売り上げは,1998年がピークで約6000億円,2003年はピーク時の2/3で約4000億円まで下がっていて,このまま,iPodなどのDMP(デジタル・ミュージック・プレーヤー)の普及やネットワークでの楽曲配信が進めば,更に下がってピーク時の半分程度までいく可能性があるらしい.私の印象では,日本の音楽産業の縮小の原因の第一は,DMPやネットワークではなく,大人の鑑賞に耐えないレベルのプロダクトが非常に多いことにあるように思われる.購買力のある大人の固定客をつかんでいるアーティストのCDはちゃんと売れているように見える.
 私自身は,オーディオマニアなので,20bitあるいは24bitでマスタリングされた16bitリニアなCDの音と圧縮や間引きをしてエンコーディングしているMP3やMDの音との音質の差がとても気になる.しかし,いままでカセットのウォークマンやラジカセの音を聞いてその音質が気にならないユーザ層からみると,iPodに代表されるDMPは,その利便性だけが大きくクローズアップされるのだと思う.確かにハードディスクに多くの楽曲を記録して持ち歩くのはとても便利だ.私のiBookでも,徹夜仕事や出張などのときのめに,CDからiTuneにとりこんだ楽曲データが1.8Gにもなっていることに驚かされる.
 こう考えてみると,そのうち,音質重視のエンコーディング・フォーマットも開発されて,マニアあるいはプロ向けには,24bitマスタリング・レベル音質の楽曲データストリームをネットからダウンロードして再生するようなハイエンド向けのデジタル・オーディオ・プレーヤが出てくる可能性もある.楽曲のパッケージメディアも,暗号キー付きのメモリチップのような形で生き残る可能性もありそうだ.
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