Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

我々は,いつまで石油に依存しつづけるのか?

2005-01-30 | Energy
 先週は,色々いそがしくしている間に体調を崩して書き込みが滞ってしまった.
  NHK は組織そのものがだめになってきていると各方面から言われているが,今夜のNHK特集「石油高騰」は色々と考えさせられる内容だった.
 この数年の原油価格の高騰の主な理由は,受給バランスの問題ではなく,株や不動産からひきあげられたヘッジ・ファンドからの巨額の投機マネーが,石油の先物に集まったためだという説明であった.さらに,ベネゼイラの政情不安,中東での戦争やゲリラ活動,メキシコ湾のハリケーンなどの不安要因が,それにを助長しているという.
 ロイヤル・ダッチ・シェルのような次世代エネルギー開発に大きな投資をしているように見える企業でも,この2年ほど原油先物価格の高騰を前提に,リスクの高い新しい大規模油田開発 "big cats"プロジェクト に膨大な投資を決断している.もちろん,環境問題には眼中にはなさそうだ.
 タンザニア政府は,国策として外国資本による海底油田の開発に大きく期待しているようだが,それによる環境負荷はどれほどのものになるだろうか?ナイジェリアではすでに開発がはじまっており,周辺の環境に悪影響がでているが,民衆の生活がよくなっている様子はない.貴重な原油はもっぱら輸出され,ガソリンはメジャーからの輸入にたよっている状態だ.
 中東のテロのスポンサーと目されていたリビアでは,経済制裁がとかれたとたんに,海外資本による新しい油田開発が活発化している.この油田開発の入札には,ヨーロッパ大手だけでなく,中国,ブラジル,さらには,つい少し前までは戦争状態だった米国の企業までが応札している.フランスからはシラク大統領自らが石油会社の幹部をつれて,ガダフィ大佐を訪問したそうだ.
 これまで,石油先物取引きで利益をあげていた,サンフランシスコのヘッジ・ファンドの会社までが,みずから,カナダの オイル・サンド(石油を大量に含んだ土壌) の開発に乗り出している.
 ある程度石油依存が続くことは現状の社会インフラの面からみても避けられないが,いずれは,化石燃料以外のものを主なエネルギー源とする必要があることははっきりしている.地下資源をほとんどもたない日本こそ,その先鞭をつけるべきだと考えるのは私だけだろうか?
コメント
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