無線脳の視点

無線関係のモノ・ヒトに毒された日常を地味に書いてみる。

「マイレピーターワッチ宣言(仮称)」の提案

2015年03月11日 | 無線系全般
1.「マイレピーターワッチ宣言」提案の背景
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、太平洋沿岸地域が広範囲にわたって被災し、平時のインフラである電源や通信手段が寸断された。本来ならば直ちに支援活動が出来る体制になっているはずの官公庁も大きく被災し、被災状況の把握や安否確認に支障を来した。この状況の中、アマチュア無線の資格を持ち、通信が出来る状況にあった被災地の一部の人たちは、所有するアマチュア無線機器を利用して非常通信を行い、被害の影響が少ない遠方へ被災状況を伝えるとともに救助の要請が出来たという事例があった。

大規模災害時は、通信インフラが輻輳し、携帯電話やインターネットなどが使えなくなる場合があり、さらに、停電などで機器そのものが使用できなくなる場合も考えられる。そこで、バッテリーなどの電源と最低限の設備さえ確保出来れば、平時のインフラに依存せずに通信が可能となるアマチュア無線の中継局(レピーター局)をよりどころとして、「ここの周波数を使えば、誰かが聴いていてくれて応答してくれる」や、「被害の少ない遠方のアマ無線仲間と通信が出来る」という通信伝達環境を日頃から整えておくことが肝要である。

2.日頃からレピーター局を利用する
レピーター局は、直接、当人同士が通信出来ないとき、レピーター局を介し、局と局の間を取り持って通信を中継するという用途に使われている。その際、出来るだけ広範囲で利用出来るようにするため、高台やビルの屋上など、電波が飛びやすいところに設置されている。
通信する端末も、自宅に設置した固定局だけでなく、車載型やハンディ型の無線機であっても、最低限、レピーター局まで電波が届けば、レピーター局の電波が届く範囲で通信が可能である。日頃から一般のアマチュア無線家がレピーター局を利用していれば、通信が可能なエリアは、ある程度把握しておくことができ、自分の居場所・運用地によって、条件の良いレピーター局を選択して運用することも可能である。

3.「いつもここを聴いているよ」を「宣言」する
例えば、内陸部に住むA局は、沿岸部に住むB局とはアンテナなどの条件を整えれば直接通信ができるが、レピーター局を利用すれば良好に通信が可能になり、市街地に住むC局は、ハンディ型の無線機しか無いが、レピーター局を利用するとA局ともB局とも良好に通信が可能だとする。こうした条件のときにお互いが通信をしようと思ったとき、同じレピーター局で待機していれば通信が実現するが、当然ながら、各人が、あらかじめ「いつも439.**MHzを聴いてるからね」と分かっていることが前提となる。

この、平時におけるレピーターの待機周波数の示し合わせを、「マイレピーターワッチ宣言」と称し、日頃はJARLの支部大会などで宣言者を募集、賛同者のコールサインと周波数リストを、支部ホームページ上や支部報などに公表しておき、「いざ!」というときだけでなく、普段の各局同士が連絡を取る手段、コミュニケーションツールの一つとして利活用することで、アマチュア無線局の運用を活性化するきっかけにしたいと考える。

-----

上記のような提案を2年ほど前に作成し、JARL登録クラブ代表者会議などで配布したことがあった。
「停電しても使えるようなレピーターでないと連絡取れないじゃん」とか「メインチャンネルの存在はどうなの?」という意見もあるだろうが、主な趣旨は、「手軽な設備で他局と連絡が取れる可能性が高く、通信手段としてサービスエリアが広いレピーターを有効活用しよう」という部分であって、各自が手軽に連絡が取れるのであれば、短波帯だろうがV・UHF帯のシンプレックス通信だって構わないのだ。
もちろん、「常にレピーターを聴いていろや」というワケでは無く、「震度○以上あったらとりあえずスイッチを入れるね…」という形でも、事前にお互いが申し合わせをしておけば何ら問題は無い。

震災から今日で4年が経ち、東日本大震災被災地の一つの宮城県で第3回国連防災世界会議も行われるということもあって、あらためて、アマチュア無線仲間同士の横のつながりというか、連絡体制のようなものの構築に取り組んでみるのもどうかな?と思い、当ブログに転載してみたのでした。

「私は、仙台市在住です。大規模災害の発生時は主に 439.72MHz または 439.62MHz のレピーターを聴取します」

ま、こんな↑具合で自己主張。
仙台市青葉区台原に設置してある439.62MHzレピーターは、停電時でも自家発電経由で電源が供給される系統に接続されているそうです。(設置場所が病院ですし)


キーワード: 非常通信 震災 大規模災害 通信手段 アマチュア無線 レピーター 中継局 ワッチ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 351MHz帯デジタル簡易無線(... | トップ | サルフェーションだとかデサ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

無線系全般」カテゴリの最新記事