アメリカのUniversity of North Texas Health Science CenterのJohn C. Licciardone氏らは、
患者評価による医師の共感度が高いほど12ヵ月にわたる患者の痛み、機能、健康関連QOL(HRQOL)が良好であることを明らかにしました。
対象者は、2016年4月1日~2023年7月25日にThe Pain Registry for Epidemiological, Clinical, and Interventional Studies and Innovation(PRECISION)
に登録された21~79歳の慢性腰痛患者(3ヵ月以上継続したもの)を12ヵ月間追跡したものです。
医師の共感度は、CARE Measure(患者の視点で医師の共感度を評価するツール)を用いて評価され、
10項目を1(poor)~5(excellent)点で評価し、合計スコアが30点以上の場合に「非常に共感的」、
29点以下の場合に「わずかに共感的」な医師と分類されました。
主なアウトカムは、患者報告による痛み、機能、HRQOLが検討され、登録時および3ヵ月ごとの診察の際にデータが収集され、
そのデータは時間的傾向を測定し、ベースラインおよび長期的な共変量を調整するために、
多変量モデルを含む一般化推定方程式を用いて解析されました。
解析には、1,470例が組み込まれ、平均年齢は53.1(SD 13.2)歳。女性が1,093例(74.4%)。
医師を「非常に共感的」と評価した患者群と「わずかに共感的」と評価した患者群のベースライン特性はおおむね同等でした。
その結果、医師の共感度が高いほど、患者の12ヵ月後のアウトカムが良好であることが判明しました。
・痛みの強さ β=-0.014、95%信頼区間[CI]:-0.022~-0.006、p<0.001
・腰痛関連障害 β=-0.062、95%CI:-0.085~-0.040、p<0.001
・HRQOL障害(例:痛みによる生活障害) β=-0.080、95%CI:-0.111~-0.049、p<0.001)
また、「わずかに共感的」と評価した群と比較して、「非常に共感的」と評価した群の患者では、
痛みの強さや腰痛関連障害、HRQOL障害の平均スコアが有意に低く出ました。
そして、医師の共感は、非薬物療法やオピオイド療法、腰椎手術よりも良好な結果と関連することが明らかになりました。
<文 献>
Licciardone, J. C., Tran, Y., Ngo, K., Toledo, D., Peddireddy, N. & Aryal, S., 2024 Physician Empathy and Chronic Pain Outcomes, in JAMA network open, vol.7, no.4. e246026. pii: e246026.
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