貴乃花の言葉によれば、引退に至った理由は次のようなものでした。
既存組織である有力一門に属さななければ、その親方を処分すると、理事会で一方的に決めて、
貴乃花に、告発状は事実無根だったという踏み絵を踏ませようとしたので受け入れられなかった。
相撲協会は、策略でうまく貴乃花を詰んだと、自画自賛していたことでしょう。
しかし、悲しいかな、仕掛けた理事長は横綱であっても、マスコミに大きな影響を与える大横綱ではありませんでした。
貴乃花が、記者会見を開けば、大々的に報道されるということまで、頭が回らなかったようです。
窮鼠、猫を咬む。
貴乃花をネズミ扱いするのは失礼ですが、平の親方になってしまった彼を、理事長はじめとする幹部が追い詰めたのです。
追い詰められた彼がとった手が、引退と記者会見でした。
これは、完全にパワハラに当てはまる事例です。
しかも、反省し、業務に専念し、弟子を育てていたのに、引退に追い込んだ。
協会や理事長のイメージは、相当悪くなりました。
内部告発者ですので、たいていの場合、組織から追放されるのが末路です。
しかし、正義の告発者は守るべきだというのが、法律的な考え方です。
貴乃花を追いこんだ理事会の決定が妥当なものかは、今後問われてくるでしょう。
協会寄りの意見も多いので、政府が動くかわかりませんが、今回の引退劇では、相撲協会が公益法人としてふさわしいかは、議論されるでしょう。
弟子のために身を引いた形になった貴乃花に、判官びいきの同情が集まりそうです。
どこまで先を読んでいるかはわかりませんが、貴乃花の記者会見は、
究極の「技」と言えるでしょう。
協会幹部については、「策士、策に溺れる」とか、
「勇み足」とかという言葉が、頭に浮かびます。
理事長の記者会見を迫られることになるでしょうね。