考える英語 (英作で英会話上達!)

身の回りの事から、社会情勢まで、幅広い事柄を、自分の知っている簡単な英語で表現していきます。英会話教室をやっております。

本物の学習法を求めて

2015-03-03 18:47:21 | 英語学習
先の英作問題で、『砂漠の緑化』について考察した。『緑化』という一言を言う為に、『多言を費やす』必要性について述べた。今回はそれに関してもう少し触れたい。

緑化という一言を英語で言えない場合、それを言う為に、あらゆる言葉を尽くして表現に努める。日本の英語教育においては、単語集で英単語を丸暗記することが、いまだ主流だが、上記のような発想は、全く欠落している。単語集で覚えた語学は、その単語を忘れたか、知らない場合、全く対応できない。この従来の英語教育において全く意識されていない方法に、英会話上達の秘訣が隠されている。

『善』や『美』という言葉の意味を求めて、あらゆる言葉を以ってして定義に努め、問答を行った、古代ギリシャの哲人ソクラテス。それらの言葉の意味を求めることにその生涯を費やした。我々は、安易に言葉の意味を知りたがり過ぎる。もっと昔の賢者の態度に見習うべきかもしれない。安易に言葉の訳語を知ろうとするが故に、我々現代に生きる英語学習者は、言葉の表現力、説明する力を失っているということに気付くべきである。


その一言が言えない。だからこそ、人は、あらゆる手段で伝えようとする。

夏目漱石は、英語の I love you. を日本語では、そう言わないからといって
『月が綺麗ですね』と翻訳したという。

なんとも上品で奥床しい訳であろう。このみずみずしく、豊穣な日本語の感性を、英語学習においても発揮できないだろうか。

『緑化』を言えない。言えないからこそ、頭脳は急激に考え始める。一体それは何か。どういう事なのか。何をもって緑化なのか。具体的にはどういう事なのか。なぜ緑化が必要なのか。だれが得するのか。どういう結果となるのか。緑化を知らないが故に、緑化を多角的に分析することができる。言えないということは、素晴らしい。わからない、ということは、素晴らしい。言えないからこそ、全身全霊でそのことを表現しようとする。そこに、その人らしさが表れる。その人なりの、表現が生まれる。そのことが上手く言えないから、工夫が生まれ、ドラマが生まれる。


この苦労、このプロセスこそ、英語表現力向上の秘訣である。海外留学経験者の流暢さの秘密もここにある。言えない苦しみを経て、頭脳が言えないなりに、自分の言葉で何とか表現する術を学んでいき、上達する。海外留学経験者の苦労を、日本においても擬似的にでも体験しない限り、いくら語彙を増やしたところで、英会話力は向上しない。従来の効果に乏しい英語学習からそろそろ脱却する時である。

我々英語学習者は、安易に楽な方法を求めすぎてはいないだろうか。聞き流すだけなどの今流行りの学習法では、なんら頭を使っていないといっても過言ではない。日頃の学習で酷使していない頭脳は、本番において、働くわけがない。英語は暗記ではない。いや、暗記の部分も無論多い。大事なのは、暗記だけでは、英語の熟達など程遠いということである。ラクで上達しないメソッドではなく、頭脳(思索力等)を酷使して、苦労するが、本当に上達するやり方をこそ模索する時期に来ているのではないだろうか。
コメント (1)
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