世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

絵本・天使ホミエルの話・2

2015-07-21 04:41:39 | 夢幻詩語

とたんに、雲の原の上に、ひょこりと白い百合の花が顔を出しました。ホミエルはそれを確かめると、いそいで百合のそばから飛びのきました。白い百合は一息の風に揺れると、どんどん丈を伸ばし、枝別れして、その枝はどんどん太く長くなり、二本が綱のように抱き合い互いに巻きつきながら、空に向かって太く大きく伸びてゆきました。やがてそこに、大きな白い百合のつるでできた、塔のように高い緑の木が現れました。天高く伸びた百合のつる木には、所々に伸びた薄緑色の枝に白い百合の花が咲き乱れ、その香りが辺りの空気を涼しく清めて、つややかな緑の葉はうれしそうに風にゆれて喜びをまきました。百合は何かの予感を感じて、きれいな銀の露をひとつほとりとホミエルの額に落としました。

ホミエルは百合のつるの大木を見あげて、満足の微笑みをすると、今度は歌の魔法をしました。澄んだ美しい声で一節の歌を歌うと、百合のつるにはいつかしら、糸のように細い銀の針金をレースのように編んでできた、銀の細い螺旋階段が巻きついていたのです。螺旋階段の欄干には、星や月や花の模様が、銀の針金でそれは細やかに美しく編みあげてありました。
ホミエルはうれしそうに笑うと、螺旋階段の前に立ち、神に丁寧にお辞儀をしてから、その螺旋階段を上ってゆきました。



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絵本・天使ホミエルの話・1

2015-07-20 04:58:00 | 夢幻詩語

白い綿をどこまでも果てもなく敷き詰めたような雲の原には、ところどころ星を隠しているかのように、かすかに光っているところがありました。清らかに澄んだ白い雲はほんの少し青みを帯びていて、時々、その奥からパシャリ、という不思議な水の音が、聞こえるときがあります。それは、雲の原の少し下にある透きとおったカンラン石の水の層の中で、小さな星を宿した透明な岩魚が跳ねる音だそうです。

天使ホミエルは、雲の原の上に立ち、空を見あげながら、時を待っていました。空には双子のような金色の銀河が二つ、並んで浮かんでいました。ホミエルは星の位置を目で確かめながら、風が刻むかすかな時の音に耳をすまし、空にある星の一つが、突然、きん、と鳴る音を捕まえました。それと同時に、ホミエルは手に持っていた小さな銀の種を、雲の原に落としました。




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絵本・天使ホミエルの話・美しい友のために

2015-07-19 04:21:34 | 夢幻詩語

絵本には、こういうページもありますね。おかあさんのためにとか、特別な友達のためにとか。有名なのは、星の王子さまの、「レオン・ウェルトに」ですね。彼の名前を知らない人はあまりいないのではないかな。愛のこもった美しい本をおくられた人。きっと幸せだったでしょう。

筆記体の英語で気取って書いてありますが、わからない人はいないでしょう。でも一応書いておきます。上は「天使ホミエルの話」という意味で、下は「わたしの美しい友のために」という意味です。

で、その「わたし」とはだれか、とは尋ねないでください。わからなくてもいいことですから。

明日からいよいよお話が始まります。




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絵本・天使ホミエルの話・中扉

2015-07-18 04:23:23 | 夢幻詩語

本をめくると、必ずあるこの中扉というページ、無駄なような気がしますが、あると、とても偉い本だという感じがしますね。かのじょが昔受けた、絵本の読み聞かせ講習会では、こういうページもしっかり子供たちに見せなければならないと教えられました。

お話はまだ始まりません。今日はじっくりと絵を見てお楽しみください。





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絵本・天使ホミエルの話・はじめに

2015-07-17 04:28:28 | 夢幻詩語

このお話は、かのじょが書いた小さな童話のひとつです。きれいなことばで書かれたこの小さなお話を、絵本にしてみたいと思い、何枚かの絵を描いてみました。

どんなお話かは、みなさんは大方読んで知っていると思いますが、主人公ホミエルを、かのじょにしたかったので、絵本のほうでは翼の色などの細かい設定を少し変えています。絵本なので、こどもたちにも読めるように、難しい言葉を簡単な言葉に変えようと考えたのですが、それはできませんでした。かのじょのことばがとても美しかったからです。

ですから、読んでくれる子供たちは、わからない言葉があったら、辞書で調べたり、大人の人に聞いてみたりしてください。そういうことも、勉強の一つです。勉強をするのは楽しいですよ。

なお、作・青城澄、絵・詩島瑠璃とあるのは、特に重要な意味はありません。単なるおふざけの一つとお考えください。どちらもかのじょとわたしたちの名前です。美しい名前なので、両方とも使ってみたかったのです。

まどろっこしいかもしれませんが、いっぺんには発表せず、この絵本は一日に一ページずつめくって紹介します。焦らずにゆっくりとお楽しみください。




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2015-07-16 04:24:37 | 言霊ノート

鏡は自分のうちに女王を映してすこぶる得意であったが、女王が立ち去ると鏡は……になってしまった。

(レオナルド・ダ・ヴィンチ)


   *

自分が自分でなかったことに、気づけた経験がなくては、今の自分はいないのです。

(鈴木一朗)


  *

あなたは あなた

あかちゃんだった あなたは
からだと こころを ふくらませ
ちいさな いちにんまえに なりました

そして さらに
あらゆることを あじわって
おおきな おとこのひとや おんなのひとに
なるのでしょう

でも あなたに とって
たいせつなのは

あなたが
あなたで
あること

(マーガレット・ワイズ・ブラウン「たいせつなこと」)






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てふてふの

2015-07-15 04:15:21 | 歌集・こてふらん

奥山にこがねのごとき花ありて夢見る星の名残かと見ゆ



あした咲きゆふべには散るその花の明日夢見るねがほかなしき



去りゆきて胸に焼きつく面影は鉛の玉かしろかねの月



夢の戸をしづかにひらきてふてふの筆でえがかむ細き小川を





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知者は仁を利す

2015-07-14 04:29:58 | 言霊ノート

 人間よ、おまえには自分の種属がどう見えるのだろうか? 一体おまえはひとりで自惚れているほど賢いものなのか?

(レオナルド・ダ・ヴィンチ)


   *

不仁者はもって久しく約におるべからず。もって長く楽におるべからず。仁者は仁に安らぎ、知者は仁を利す。

(論語・里仁)

愚かな人は、逆風にはすぐに折れ、順風には調子に乗ってすぐつまずく。愛する人は愛すればこそその中に安定し、そういう愛の真実を知っている人は、愛のために尽くす。




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レイジー・デイズ

2015-07-13 04:35:16 | 色鉛筆の天使
レイジー・デイズ




from Enya




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アジサイ

2015-07-12 04:54:46 | 森の声・花の歌

これは、通院している精神科の病院の玄関前に咲いていたアジサイです。アジサイには珍しく、何となく強いものを感じます。それはなぜかというと、この花が、その病院がどんなことをしているかを、知っているからです。

あまり詳しくは言えませんが、人の暗い心が集まる場所には、ほんとうに酷い現実があるのです。かのじょも一時期そこに入院したことがあるので、ある程度のことは知っているのですが、かのじょが知っている以上のことを、わたしたちは知っています。

アジサイはそのことを悲しんでいる。そして、どうにかしたいと、活動をしているのです。植物たちはこのように、自分たちの力で、その場所を美しくしたいと、がんばってくれるものなのです。

現実は悲観的に見えますが、今は、必ずしもそうとはいえません。なぜなら絶対的な悪の権威が全て愚か者の道化芝居に落ちて消えてしまったからです。ですから、悪がこの世に降りしきる雨のように落ちて来ていた、過去の時代とは違うことが始まっているのです。

あなたがたはまだ気づきませんが、新しい時代の扉はもう開いているのです。

それに呼応して、たくさんの植物たちが新しい行動を起こし始めている。今までならできないことができるようになったからです。花軍ということばは、そういう真実からでてきた言葉なのです。




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