エドガー・スノー『極東戦線』(筑摩書房、1987)を読んでいる。これは再版版で、初版は1973年であるが、内容は1931年から34年にかけての満州国の成立に関わる現地報告である。著者のエドガー・スノー氏は優秀のジャーナリストと思われる。ただ、読み過ごすのにはもったいなすぎるので、重要な部分を書き取ることにした。アメリカ人ジャーナリストから見た日中関係、満州問題が見事に抉り出されている。
まず、「満州というとこと」についての歴史的考察から、本書11頁から15頁まで . . . 本文を読む
日本以外の国も、すベて国民国家はその原点において何かを否認していると思うんです。すベての国は国の正統性について何らかの作話をしている。そこで国の成り立ちについての正統性の物語にうまくなじまない「不都合な現実」は否認される。(内田) . . . 本文を読む
コイノーニア、コイノーネン、コイノーノス(バークレー『新約聖書ギリシャ語精解』)
「交わり」という基木的な概念と関係を有する一群の語が新約聖書に見出される。その一つがコイノーニアである。古典ギリシア語においてコイノーニアは、団体、共同、提携を意味し、プラトンは共学のための男女のコイノーニアという句を用いている。人間のコイノーニアはギリシャ語で人間社会のことである。この語はまた共通性、類似性の意味 . . . 本文を読む
座談会『世界史的立場と日本』 メモ3
高坂正顕、西谷啓治、高山岩男、鈴木成高による座談会の記録『世界史的立場と日本』(中央公論社)
第3回座談会 「総力戦の哲学」 昭和17年11月24日 . . . 本文を読む
三位一体主日というのは英国教会で始まったとされています。古い祈祷書ではこの日以後の降臨節までの主日を「三位一体後~主日」という言い方をしておりましたが、「三位一体」ということよりも「聖霊降臨」ということの方を重視する伝統を回復して、新しい祈祷書では「聖霊降臨後~主日」という言い方をするようになりました。それはそれで重要なことだと思いますが、そのことによって「三位一体」という教理によって強調しようとした信仰的な内容は大切にしなければならないと思います。 . . . 本文を読む
大沢在昌著『海と月の迷路』(毎日新聞社)久しぶりに本格的な推理小説を読み、久しぶりに興奮を覚えた。私自身が2~3年前に軍艦島に上陸し、島内を歩いた経験もあり、この作品に興味をいだいたのであったが、この島の様子を克明に描きつつ、密集した人口密度の高い人間関係の中で、いわば「部外者?」である派出所の若いお巡りさんの悪戦苦闘が興味深い。 . . . 本文を読む