<福島民報あぶくま抄より>
「いちえふ」。東京電力福島第一原発を題材にした漫画が、話題になっている。作者自らが体験した原発作業の日常を描く。先月末、講談社が単行本を発売した。
漫画雑誌の新人賞で大賞を獲得した作品と、受賞後に不定期連載された6話などを1冊にまとめている。「ご安全に!」と題した話から始まる。作業に出る際、お互いに掛け合う言葉だ。「ご苦労さま」でも「頑張って」でもない現場特有の言い回しを作者は気に入っている。目で見てきた福島の現実を漫画で記録した。初版は新人としては異例の15万部が発行された。
先月末、別の漫画雑誌に掲載された「美味(おい)しんぼ」に批判が相次いでいる。主人公が福島第一原発を訪れた後、原因不明の鼻血を流す場面があった。「風評被害を増長するのでは」との声が上がる。双葉町は7日、出版社に抗議文を送った。出版社は今後、批判に対する特集を組む方針だという。
漫画は誰でも気軽に読める。原発事故の風化が懸念される中、幅広い層に関心を持ってもらう有効な手段に違いない。ただ、影響力が大きいだけに、表現に細かく神経を使うべきだ。福島の「今」が正しく描かれることを願う。
( 2014/05/09 08:46カテゴリー:あぶくま抄 )
*自ら「いちえふ」で働いた体験を描いた漫画家の竜田一人さん。
いちえふ ~福島第一原子力発電所労働記~ / 竜田一人 - モーニング ...
福島へ取材に行って鼻血が止まらなくなったなどとインタビューで話したと一部で報じられ、また、この体験からだろうか「美味しんぼ」では主人公が鼻血を流す場面を描いた原作者雁屋哲さん。
今日のあぶくま抄の結び「漫画は誰でも気軽に読める。原発事故の風化が懸念される中、幅広い層に関心を持ってもらう有効な手段に違いない。ただ、影響力が大きいだけに、表現に細かく神経を使うべきだ。福島の「今」が正しく描かれることを願う。」は、私たち県民の思いを的確に捉えて書いてくれたと思います。