<福島民報あぶくま抄より>
沖縄県や鹿児島県奄美地方は梅雨入りした。県内の梅雨入りは平年、6月12日ごろだ。梅雨入りを「栗花落[ついり]」という。しとしとと雨が降る中、クリの花が咲き散る姿に由来する。
原発事故の汚染水対策の一つ「地下水バイパス」の海洋放出は、梅雨入り前の21日にも始まる。経済産業省資源エネルギー庁は地下水の放射性物質濃度が排出基準を下回ったとした。最初は、約560トンを約2時間で放出する。原発敷地内の舗装と合わせ、1日に400トン発生している汚染水を3年半後に半減できると試算する。
地下に氷の壁を作る「凍土遮水壁」に、待ったの声が掛かる。原子力規制委員会や米国の専門家は効果を疑問視する。計画を進めたい東電と経産省は説明が足りない。汚染水問題解決の切り札のはずだ。巨額の国費を使って準備してきた。なぜ今ごろ、是非の議論が始まるのか。遅過ぎる。県民の心の中に、疑問と不安の雨が降り続く。
58年前のきょう科学技術庁が誕生した。同じ年、原子力委員会もできた。原子力行政は、あと2年で還暦となる。事故収束や原発再稼働、廃棄物など課題は山積みだ。どんよりした梅雨空のように、先は見えない。
( 2014/05/19 08:14カテゴリー:あぶくま抄 )
*沖縄などは既に梅雨入りしています。梅雨入りした地域に避難されている方の体調はいかがですか?。今日の福島市は晴れ、最高気温26度で過ごしやすい一日でした。
ところで、東電は15日、3号機の格納容器の損傷を遠隔操作のカメラを使って調べていたところ、格納容器から汚染水が外側に漏れている場所を見つけたとの報道がありました。汚染水の応急対策ではなく、一日も早い根本的対策をとってもらいたいものです。