チハルだより

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ベスト・コンディションで書くために

2008-10-10 | エッセイ
 

 小学生のころから、肩こりに悩みっぱなしの私です。でも父は、とぼけた顔で言うのです。
「俺ァ、肩がないから、肩こり知らん」
 小柄で肩幅が狭いのは、私も同じなのですが。思うに父は、肩がこっていても、自覚しない人なのです。と同様に、私は「スランプ」を自覚できない人間です。
 まだ字を習わない、幼い頃から、頭のなかで、でたらめなお話をつくるのがすきでした。そして人に聞かせ、喜んでいたのです。その遊びを仕事にしてしまった私です。「お話づくり、だーいすき!」という感覚が、いまも、しぼんでいくことはありません。仕事は、楽しいことばかりではないけれど、すきなんだからしょうがない、そんな気持ちでいるのです。きっと私は死ぬまでに、書きたいことを全部書ききることはできないな、とも思うから、スランプを感じるいとまが、ないのかも……。
 そのような人間に、「スランプ脱出法」は書けないけれど、かわりに〈ベスト・コンディションで書くために〉私がふだんしていることを、いくつか、ご紹介したいと思います。

一、 お日様のもとで書く(夜は気分が暗くなっちゃうので書かない)
一、 「なんとかなる」と、ときどき、おまじないみたいに唱えてみる
一、 思いつくまま、へんてこな脱力系ダンスを踊る(恥ずかしいから、人前ではしないけど……)
一、 おへそに手を当ててみる(自分を見失いそうなとき、おへそはちゃんとここにある、と思うと安心します)
一、 とにかく、眠る

 こうしてみると私って、ちゃらんぽらんな人間ね、って、あらためて思います。「スランプ」というのはもしかして、志の高い方のもとにのみ、訪れるものなのかもしれません……。

■第24期 実作通信ニュース№3 2008/10 「私のスランプ脱出法」 発行:(社)日本児童文学者協会 事業部


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