タイトルの「赫夜」には「かぐよ」というルビが振られている。
赤を二つ並べたこの最初の漢字は、辞典を引くと「火がまっかにかがやく意を表す。①あかい。(ア)まっか。火のあかいさま。②さかん(盛)。勢いのさかんなさま。③かがやく。ひかる(光)」(『角川新字源』)と説明されている(説明一部省略)。
延暦13年(794)の平安京遷都から6年後、富士ノ御山が山焼けする。富士山の噴火が20年ぶりに勃発したのだ。赫夜は噴火した富士山の夜の情景を表象している。
富士山の噴火とその脅威がもたらす自然環境の激変、その富士山の東側から南東側の地域を活圏とする人々は噴火の結果、生活と心情を翻弄されていく。
本書は、富士山の噴火活動の描写と様々な人々が翻弄される姿と彼らの思い、政治を執行する人々の関わり方-官の自己中心性-を描写することをテーマにとりあげた作品だと思う。
本書は、「小説宝石」(2021年6月号~2023年1・2月合併号)に連載されたのち、加筆修正され、2024年7月に単行本が刊行された。
本作が描く地域は駿河国の東部。富士ノ御山そもものと、富士山の南に位置する愛鷹(アシタカ)山の東側にある岡野牧(官馬を飼育する駿河国牧)、その南東に位置する長倉駅、長倉から北に向かう街道沿いに設けられた横走(ヨコバシリ)駅、国境を越えた先・甲斐国の水市(ミズイチ)駅。この三駅の周辺の人々の生活圏が舞台となる。
主な登場人物を簡略に紹介しておこう。
鷹取 :大中臣家の家人(賎民)。大中臣伯麻呂が駿河国司として赴任する際に従属。
主の黒馬が逃げた責めを負い岡野牧に出向く羽目に。岡野牧での生活を開始
宿奈麻呂:以前の駿河国司の従僕だが反抗し白丁に格下げとなり、駿河国庁に留まる。
馬に無知な鷹取に同行する事を志願。富士山の火山活動を記録する執念を抱く
富士山の活動情報に詳しい。合理的思考と文筆力に秀でている。
志太朝臣綱虫:駿河国の大掾の地位にあり、私腹を肥やし自己本位主義の地方役人。
五百枝 :岡野牧の牧帳。父の継足を補佐する官牧のナンバー2。
安久利(アグリ):岡野牧の牧子。馬の子と称され、周囲の人々に経緯を抱かれ、馬を熟知
捨て子で、馬たちがその命を守ったという。継足に育てられ、岡野牧で生育
駒人(コマンド) :岡野牧の牧子。青年一歩手前、未だ少年。安久利を尊敬し、つき従う。
鷹取に牧での生活の手ほどきをする。一方、助け助けられる関係となる。
小黒(オグロ) :元大中臣家の家人。鷹取より年下。多治比浜成に仕えることになり、放
賎されて多治比家の従僕になる。大中臣諸魚から放賎の口約束を得ていた鷹
取はそれが実行されなかったことで、友の小黒の言動に心穏やかになれない
心理を抱く。小黒には旅をしたい願望がある。
その他に登場する人々は、岡野牧、長倉・横走・水市の人々が加わる。さらに、足柄山を拠点とする遊女たちと山賊の頭・夏樫など。
鷹取は大中臣伯麻呂の家人となったが故に、駿河国に随行する羽目になる。国衙で伯麻呂の乗馬を逃してしまい、伯麻呂の従僕たちから鷹取の失態と決めつけられる。大掾綱虫の助言を受け、新たな馬を入手するために、岡野牧に宿奈麻呂とともに赴く。馬を得るための代償としてしばらく官牧で手助けの労務をする立場になる。岡野牧での生活に少し慣れてきた頃、ちょっとした鬱憤晴らしの息抜きに横走に出かけていく。その折に、富士山の噴火に遭遇する。ここで、足柄山を拠点とする賎機と名乗る遊女の長と足柄山の山賊と自称する夏樫と出会い助けられて、縁ができる。だが、その後人助けの心を起こしたことで、逆に己が再び危地に陥るが、今度は安久利と駒人に助けられて、岡野牧に帰還できる。
この後、富士山の火山活動が進展する。岡野牧の人々は、馬を生かし、己たちが生き残るための対策を立て、一方近隣の人々を援助する活動を始めていく。
「富士ノ御山の山焼け」と表現される火山活動の活発化に伴い、様々な自然現象が発生していく経過が克明に描写されていく。その描写を通して読者は徐々に噴火活動の状況が脳裏にイメージとして形成されるととともに、ストーリーの新tンに惹きつけられていく。
一方、頭上に降り注いでくる焼けた石や砂により、人々は騒然となり逃げまどう。焼け灰が大地に積もりはじめ、火災も発生し始める。その災禍に右往左往する人々の行動が活写されていく。地表一面に堆積した石や灰が地上の景観を一転させてしまう。己のよりどころである故郷の景観と生活の拠点を喪失した人々の生きざまが始まっていく。人々はどう対応していくのか。 もちろんここには、一旦小康状態になった後に発生する二次災害が描きこまれていく。小康状態が続いた後、噴火が再発することに・・・・。
9世紀初頭の富士山の火山活動と災禍の事象を描き出すその経緯は、まさに現代社会で発生している火山の噴火、大震災や河川の大氾濫に遭遇した罹災者と共通する。状況が重なって見えてくる。私は著者の筆力に引き込まれていった。
宿奈麻呂は言う。「大げさではない。何かを見ること、知ること。それは万金に値するのだ」(p111)と。それを記録に残し伝えることの重要性を彼は語る。なぜなら、伝えらえなかったものは、無かったこととして扱われ、消されていくと彼は言う。
このことをなるほどと思う。記録に残されないことは、風化して消え去る。記録があっても、アクセスできなければ、無いに等しい。
鷹取の思いに共感するところが生まれてくる。ここはと思う箇所を抽出・引用しご紹介する。
*兄弟同然に過ごしてきた小黒と自分が良戸と家人に分かれたように、どれだけ親しくとも人同士は結局、赤の他人である。お互いを完全に理解することは、決してできない。 p271
*鷹取は所詮、余所者だ。この地に生まれ育ち、父祖代々の生活をあの山焼けによって奪われた者の苦しみを、完全には理解できない。
だが一方で、生まれながらに諦念を強いられてきた鷹取には、これだけは分かる。血を吐くほどに何かを希おうとも、どうしたって叶わぬものは叶わない。生きることはつまり、そういうことなのだ。
失われた平穏な暮らしを、猪列が嘆くのは理解できる。だがそれでもなお、日々は続く。人はどんな目に遭おうとも、ただ生き続けるしかない。 p239
*都においても、地震や疫病がいつかの地を襲い、誰がその犠牲になるかは誰も分かりはしない。そう気づいた瞬間、鷹取はつくづく、自らがいかにちっぽけな存在であるかを考えぅにはいられなかった。 p334
*人の世は哀れなほど脆く、儚い。だがそれでも一旦この世に生まれた以上、人はただその脆い世で足掻き続けるしかない。そして少なくとも突如、平穏な暮らしが破られるやもしれぬという苦しみが、貴賤を問わず、あまねく人々の上に降りかかるものであると知れば、生きる苦難はほんの少しだけ軽くなるのではあるまいか。 p335
*人知を超えたこの世の理から計れば、自分は誰に諂う必要もない。人はどんな時も、ただその人でしかあり得ぬのだから。 p336
*人の生とは、考えもつかぬことばかり繰り返される。しかしだからこそ人は懸命に生きようと足掻き、幾度となく訪れる夜を切り開いていくのではあるまいか。 p416
さらに、次の思いに凝縮していく局面があることに鷹取の思いを介して気づく。
*何があろうとも日は昇り、新たなる朝はすべての者の前に等しく訪れる。ならば命ある者は、どれほど無力であろうともーーーいや、無力であればこそなお、ただ前に進み続けるしかない。 p391
*どれほど赫奕(カクヤク)たる夜も、いずれは必ず明ける。そう、世の中には変わらぬものは何一つないのだから。 p415
*国も、住まう者も異なる。しかもそれぞれの地を大切に思う一点において、人の心は変わらぬのだ。 p447
この最後に引用だけは、少し異質な側面を含んでいる。それはなぜか。
このストーリーには、蝦夷征討に向かう征夷大将軍坂上田村麻呂の軍隊のサブ・ストーリーが織り込まれていく。旅に出たい望みの小黒が自ら志願してこの征討軍の兵士に志願する。そして、偶然にもその旅程の途中で、行軍を見物する鷹取と再会する。
この蝦夷征討軍のストーリーが、この富士山噴火のおどろおどろしい経過の最終ステージで、このメイン・ストーリーに織り込まれていく。ストーリー中の様々な要素と因果関係を持つようになる。実に巧みなエンディングといえる。
だが、この関りかたの部分は、史実を踏まえているのだろうと思う。が、それを確認できる資料は手許にない。あくまで個人的な想像である。
これ以上は、本書を読まれる妨げになるだろうから、触れない。
ご一読ありがとうございます。
補遺
富士山の噴火史について :「富士市」
富士山 有史以降の火山活動 :「気象庁」
富士山の活動状況 :「気象庁」
富士山が噴火したらどうなる :「NHK」
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日本の古代道路 :ウィキペディア
東海道について :「東海道への誘い」(横浜国道事務所)
坂上田村麻呂 :ウィキペディア
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『月ぞ流るる』 文藝春秋
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『漆花ひとつ』 講談社
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2022年12月現在 22冊
赤を二つ並べたこの最初の漢字は、辞典を引くと「火がまっかにかがやく意を表す。①あかい。(ア)まっか。火のあかいさま。②さかん(盛)。勢いのさかんなさま。③かがやく。ひかる(光)」(『角川新字源』)と説明されている(説明一部省略)。
延暦13年(794)の平安京遷都から6年後、富士ノ御山が山焼けする。富士山の噴火が20年ぶりに勃発したのだ。赫夜は噴火した富士山の夜の情景を表象している。
富士山の噴火とその脅威がもたらす自然環境の激変、その富士山の東側から南東側の地域を活圏とする人々は噴火の結果、生活と心情を翻弄されていく。
本書は、富士山の噴火活動の描写と様々な人々が翻弄される姿と彼らの思い、政治を執行する人々の関わり方-官の自己中心性-を描写することをテーマにとりあげた作品だと思う。
本書は、「小説宝石」(2021年6月号~2023年1・2月合併号)に連載されたのち、加筆修正され、2024年7月に単行本が刊行された。
本作が描く地域は駿河国の東部。富士ノ御山そもものと、富士山の南に位置する愛鷹(アシタカ)山の東側にある岡野牧(官馬を飼育する駿河国牧)、その南東に位置する長倉駅、長倉から北に向かう街道沿いに設けられた横走(ヨコバシリ)駅、国境を越えた先・甲斐国の水市(ミズイチ)駅。この三駅の周辺の人々の生活圏が舞台となる。
主な登場人物を簡略に紹介しておこう。
鷹取 :大中臣家の家人(賎民)。大中臣伯麻呂が駿河国司として赴任する際に従属。
主の黒馬が逃げた責めを負い岡野牧に出向く羽目に。岡野牧での生活を開始
宿奈麻呂:以前の駿河国司の従僕だが反抗し白丁に格下げとなり、駿河国庁に留まる。
馬に無知な鷹取に同行する事を志願。富士山の火山活動を記録する執念を抱く
富士山の活動情報に詳しい。合理的思考と文筆力に秀でている。
志太朝臣綱虫:駿河国の大掾の地位にあり、私腹を肥やし自己本位主義の地方役人。
五百枝 :岡野牧の牧帳。父の継足を補佐する官牧のナンバー2。
安久利(アグリ):岡野牧の牧子。馬の子と称され、周囲の人々に経緯を抱かれ、馬を熟知
捨て子で、馬たちがその命を守ったという。継足に育てられ、岡野牧で生育
駒人(コマンド) :岡野牧の牧子。青年一歩手前、未だ少年。安久利を尊敬し、つき従う。
鷹取に牧での生活の手ほどきをする。一方、助け助けられる関係となる。
小黒(オグロ) :元大中臣家の家人。鷹取より年下。多治比浜成に仕えることになり、放
賎されて多治比家の従僕になる。大中臣諸魚から放賎の口約束を得ていた鷹
取はそれが実行されなかったことで、友の小黒の言動に心穏やかになれない
心理を抱く。小黒には旅をしたい願望がある。
その他に登場する人々は、岡野牧、長倉・横走・水市の人々が加わる。さらに、足柄山を拠点とする遊女たちと山賊の頭・夏樫など。
鷹取は大中臣伯麻呂の家人となったが故に、駿河国に随行する羽目になる。国衙で伯麻呂の乗馬を逃してしまい、伯麻呂の従僕たちから鷹取の失態と決めつけられる。大掾綱虫の助言を受け、新たな馬を入手するために、岡野牧に宿奈麻呂とともに赴く。馬を得るための代償としてしばらく官牧で手助けの労務をする立場になる。岡野牧での生活に少し慣れてきた頃、ちょっとした鬱憤晴らしの息抜きに横走に出かけていく。その折に、富士山の噴火に遭遇する。ここで、足柄山を拠点とする賎機と名乗る遊女の長と足柄山の山賊と自称する夏樫と出会い助けられて、縁ができる。だが、その後人助けの心を起こしたことで、逆に己が再び危地に陥るが、今度は安久利と駒人に助けられて、岡野牧に帰還できる。
この後、富士山の火山活動が進展する。岡野牧の人々は、馬を生かし、己たちが生き残るための対策を立て、一方近隣の人々を援助する活動を始めていく。
「富士ノ御山の山焼け」と表現される火山活動の活発化に伴い、様々な自然現象が発生していく経過が克明に描写されていく。その描写を通して読者は徐々に噴火活動の状況が脳裏にイメージとして形成されるととともに、ストーリーの新tンに惹きつけられていく。
一方、頭上に降り注いでくる焼けた石や砂により、人々は騒然となり逃げまどう。焼け灰が大地に積もりはじめ、火災も発生し始める。その災禍に右往左往する人々の行動が活写されていく。地表一面に堆積した石や灰が地上の景観を一転させてしまう。己のよりどころである故郷の景観と生活の拠点を喪失した人々の生きざまが始まっていく。人々はどう対応していくのか。 もちろんここには、一旦小康状態になった後に発生する二次災害が描きこまれていく。小康状態が続いた後、噴火が再発することに・・・・。
9世紀初頭の富士山の火山活動と災禍の事象を描き出すその経緯は、まさに現代社会で発生している火山の噴火、大震災や河川の大氾濫に遭遇した罹災者と共通する。状況が重なって見えてくる。私は著者の筆力に引き込まれていった。
宿奈麻呂は言う。「大げさではない。何かを見ること、知ること。それは万金に値するのだ」(p111)と。それを記録に残し伝えることの重要性を彼は語る。なぜなら、伝えらえなかったものは、無かったこととして扱われ、消されていくと彼は言う。
このことをなるほどと思う。記録に残されないことは、風化して消え去る。記録があっても、アクセスできなければ、無いに等しい。
鷹取の思いに共感するところが生まれてくる。ここはと思う箇所を抽出・引用しご紹介する。
*兄弟同然に過ごしてきた小黒と自分が良戸と家人に分かれたように、どれだけ親しくとも人同士は結局、赤の他人である。お互いを完全に理解することは、決してできない。 p271
*鷹取は所詮、余所者だ。この地に生まれ育ち、父祖代々の生活をあの山焼けによって奪われた者の苦しみを、完全には理解できない。
だが一方で、生まれながらに諦念を強いられてきた鷹取には、これだけは分かる。血を吐くほどに何かを希おうとも、どうしたって叶わぬものは叶わない。生きることはつまり、そういうことなのだ。
失われた平穏な暮らしを、猪列が嘆くのは理解できる。だがそれでもなお、日々は続く。人はどんな目に遭おうとも、ただ生き続けるしかない。 p239
*都においても、地震や疫病がいつかの地を襲い、誰がその犠牲になるかは誰も分かりはしない。そう気づいた瞬間、鷹取はつくづく、自らがいかにちっぽけな存在であるかを考えぅにはいられなかった。 p334
*人の世は哀れなほど脆く、儚い。だがそれでも一旦この世に生まれた以上、人はただその脆い世で足掻き続けるしかない。そして少なくとも突如、平穏な暮らしが破られるやもしれぬという苦しみが、貴賤を問わず、あまねく人々の上に降りかかるものであると知れば、生きる苦難はほんの少しだけ軽くなるのではあるまいか。 p335
*人知を超えたこの世の理から計れば、自分は誰に諂う必要もない。人はどんな時も、ただその人でしかあり得ぬのだから。 p336
*人の生とは、考えもつかぬことばかり繰り返される。しかしだからこそ人は懸命に生きようと足掻き、幾度となく訪れる夜を切り開いていくのではあるまいか。 p416
さらに、次の思いに凝縮していく局面があることに鷹取の思いを介して気づく。
*何があろうとも日は昇り、新たなる朝はすべての者の前に等しく訪れる。ならば命ある者は、どれほど無力であろうともーーーいや、無力であればこそなお、ただ前に進み続けるしかない。 p391
*どれほど赫奕(カクヤク)たる夜も、いずれは必ず明ける。そう、世の中には変わらぬものは何一つないのだから。 p415
*国も、住まう者も異なる。しかもそれぞれの地を大切に思う一点において、人の心は変わらぬのだ。 p447
この最後に引用だけは、少し異質な側面を含んでいる。それはなぜか。
このストーリーには、蝦夷征討に向かう征夷大将軍坂上田村麻呂の軍隊のサブ・ストーリーが織り込まれていく。旅に出たい望みの小黒が自ら志願してこの征討軍の兵士に志願する。そして、偶然にもその旅程の途中で、行軍を見物する鷹取と再会する。
この蝦夷征討軍のストーリーが、この富士山噴火のおどろおどろしい経過の最終ステージで、このメイン・ストーリーに織り込まれていく。ストーリー中の様々な要素と因果関係を持つようになる。実に巧みなエンディングといえる。
だが、この関りかたの部分は、史実を踏まえているのだろうと思う。が、それを確認できる資料は手許にない。あくまで個人的な想像である。
これ以上は、本書を読まれる妨げになるだろうから、触れない。
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補遺
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富士山 有史以降の火山活動 :「気象庁」
富士山の活動状況 :「気象庁」
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2022年12月現在 22冊