遊心逍遙記その2

ブログ「遊心逍遙記」から心機一転して、「遊心逍遙記その2」を開設します。主に読後印象記をまとめていきます。

『Curious George Lost and Found』 Houghton Mifflin Company

2023-05-03 11:12:09 | 英語学習教材
 久しぶりに英語絵本電子版を読み、ナレーションを聴いた。冒頭の表紙の下辺には、”Curious about direction "と記されている。
 お猿のジョージ・シリーズ、今回はジョージと黄色帽子の友達が、週末に車で都会を離れて、彼らの田舎の家(country house) に出かけたときのハプニング話を扱っている。タイトル” Lost and Found” の通り、お猿のジョージは道に迷ってしまうが、帰るための方法を見つけ、無事に田舎の家に戻るというプロセスがストーリーになっている。なので、「方角についての好奇心(関心)」というテーマが下辺に付記されている。

 内表紙には、Adaptation by Erica Zappy
Based on TV series teleplay written by Joe Fallon と記されている。
 この絵本は、Joe Fallon の脚本によるテレビ番組として、お猿のジョージの話が作られて、それをもとに、Erica Zappy が絵本にしたものである。原作者から世代交代した次元で、人気シリーズとして定着しているということになる。
 よく読むと、この絵本自体の著作権は Universal Studios が2008年に取得している。
 Curious George とそのキャラクターについては、Houghton Mifflin Company が著作権を持っていて、その著作権下で Universal Studios が使用権を契約しているという関係にあるようだ。内表紙の裏面に権利関係が明示されている。いわば著作権が二重構造になっているのだろう。なるほどなぁ・・・というところ。

 さて、絵本の内容に入ろう。なぜ、お猿のジョージが道に迷うのか?
 それは、田舎の家に到着した時、挨拶を兼ねて近所のレンキン夫人が車で訪れてきたことから始まる。鶏の雛たち (chicks) が迷子になっているという。ジョージの友達の黄色帽子の男はひな探しを手伝うことになる。
 ジョージは田舎の家に来て、アヒルに餌やりをしたいと思っていた。「遠くへ行っちゃだめだよ」と黄色帽子の友達に声を掛けられたのに、ジョージがその注意を忘れてしまうというのが原因となる。
 この時の友達の注意が、" Don't wander far, George." ナルホド・・・。

 川に行ったジョージはそこで Squirrel (リス)の友達ジャンピー(Jumpy) とアヒルたちへの餌やりを楽しむ。アヒルの友達にもっと近づこうとして、見つけた raft を利用する。これがハプニングの始まり。
 raft を辞書で引くと「いかだ(筏)」の意味。辞書にはゴムボートの意味も載る。ああ、だから、ゴムボートでの川下りが rafting なのだと結びついてきた。

 筏に乗ったジョージはアヒルたちに餌をやりつつ、川を下って行くのを楽しんでしまうことに。ジャンピーは、ひなのように、自分たちも迷子にならないかと心配し始める。
 川下りの途中で、ジョージは crooked trees (ねじれ曲がった木々)やアヒルのような形の大きな岩を目にする。
 The big duck rock made the ducks quack. という文が出てくる。
 辞書を引くと、quack はガーガー鳴くという意味だった。大きなアヒル岩を目にして、アヒルたちが声を発した。擬声語と称される単語なのだろう。初めて知った単語。

 川の湾曲部(a bend in the river) にさしかかった時、ジョージは陸地の方にサイロを見つける。George spotted a silo. 見つけたに、spot という動詞が使われている。これが第一羲に載っていた。第二義が「斑点をつける。しみをつける。汚す」である。第二義を知っていたが第一羲は知らなかった。
 ジョージはそれをレンキンさんの農場のサイロと思った。陸地に上り近づいていくと、そのサイロは色も異なり別物だった。
 ジョージは迷ったことになる。太陽が沈み始めていた。さて、ジョージはどうするか。
 
 ジョージは、慌てずにめぼしい目印となるものと位置関係を思い出して略図を作る。ねじ曲がった木々、大きなアヒル岩、川の蛇行など。そして、レンキンさんの農場と太陽の沈む方向との関係を思い出す。太陽の位置と方角の関係を略図に加えて行く。
 このステップを踏むことで、ジョージは帰り道を見つけることができた。
 その帰り道で、ジャンピーがレンキン夫人の探しているひなたちを見つける。ジョージとジャンピーは雛たちと一緒に田舎の家に戻ることに・・・・。ハッピーエンド!!!
 Jumpy bumped into their friend who were lost ....the chicks.
久しぶりに、bump into という語句を目にした。辞書を引いて、意味を再確認。「<知っている人>と偶然出会う、・・・にばったりでくわす」の意。記憶は合っていた。
 その後のページに、こんな文が続く。
 At the farm, Mrs. Renkin and the man with the yellow hat were surprised when
George and Jumpy showed up with the chicks in tow.
 この文で、2つの語句を学ぶ。show up (現れる)、in tow (引き連れて、従えて)だ。 このお話の最後には、ひな鳴く様子の単語が出てくる。squawk である。こちらは、「キーキー鳴く。<ネズミが>チューチュー鳴く>」状態を表す単語。こういう擬声語は日常生活の中で自然に学ぶのだろうと思う。英語にはいくつくらいの擬声語があるのだろうか・・・・。
 こういう時、インターネットって便利! ちょと検索を試みた。
 ご関心があれば、補遺に上げたサイトにアクセスしてください。

 この絵本、付録として「道を見つけなさい」(Find your way) というページがある
「宝探しの地図作り」という手順説明が載っている。宝探しの遊びをするためのやり方を教えるページである。この絵本でジョージが略図を作るということを、次のステージの遊びにリンクさせていくところがおもしろい。略図に目印(landmarks)を入れることを説明している。そこに、a swing set という語句が記されている。
 何だろうと思って辞書を引くと「ぶらんこセット」という意味だった。
 そこで、「ぶらんこ」って、どこから来た言葉なのだろうと気になった。『日本語大辞典』(講談社)を引くと、単語を記して「ポルトガルからという」と説明が付く。『大辞林』(三省堂)も同様にポルトガルで語源の一説として説明が載っているだけだった。こんなこと考えずに、あたりまえのこととして使って来ていた。これが言葉の面白さの一つかもしれない。
 もう一つ、この絵本には、「いかだの作り方」のページも付録にある。ペニー硬貨を何枚載せたらいかだが沈むかという実験的な遊び用のいかだ作りの手順書なのだけれど。

 おもしろいと思ったのは、絵本の中で、道に迷わないための工夫をまず教えていること。そして、絵本でのお話に留まらないで、子供たちを次の活動にリンクさせていくというステップアップの形になっていることだ。絵本で想像という静態的な体験の楽しみから、実際に体を使う活動へと動態的な体験に転じさせる工夫を加えているところが興味深い。
 絵本から学べることがいろいろある。気楽な英語のリハビリ学習の一助になっておもしろい。

 ご一読ありがとうございます。

補遺
英語の擬音語や擬態語、オノマトペをまとめて紹介します!:「EECフォリラン!」
英語のオノマトペ(擬音語や擬態語)を覚えて表現の幅を広げよう! :「プリンス英米学院」
日本語のオノマトペを英語で表現すると?違いを解説 :「NativeCamp.blog」
擬声語     :ウィキペディア
日本語再発見(1)オノマトペの不思議な世界  :「nippon.com」
カテゴリー別  :「日本語を楽しもう」

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こちらもお読みいただけるとうれしいです。

『Curious George Builds a Home』 Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.E.REY'S Curious Grorge Feeds the Animals』
               Houghton Mifflin Harcourt
『HAPPY HALLOWEEN’ Curious George』
               HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT PUBLISHING COMPANY
『Curious You On your way!』 ILLUSTRATED BY H. A. REY 
               HOUGHTON MIFFLIN COMPANY
「遊心逍遙記」に掲載した英語絵本シリーズの読後印象記一覧 最終版
                     2022年12月現在 20冊
 

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