奈良市埋蔵文化財調査センター所長から頂いた、高田十郎「奈良百題」から引用を交え長々と書いた。ここには25円と云う話は出てこなかった。しかし発端が25円の五重塔だったから、改めて司馬遼太郎著「街道をゆく・近江散歩/奈良散歩」を読み返してみた。奈良散歩の「五重塔」に2度にわたって「25円」が書かれている。また司馬遼太郎はこの塔に対して「この塔は遠望すれば奈良風景に欠かせぬアクセントになっているが、造形的には、奈良に残る様々な古塔にくらべて、優美の点でやや欠ける…」しかし最後にこうも言っている「…私はこの塔の重すぎる感じも捨てがたいと思っている。猿沢池を隔て、水を近景として、向こうの大地を見たとき、ずっしりとまわりをおさえこんでいるのはこの塔である。…この塔で良いんだ。私は塔の精霊のために、ふりかえってそういった」とある。この塔を残してくれた先人たちに「有難う」。(完)