会社の部下に紹介された、
乃南アサさんの小説「水曜日の凱歌」を読んだ。
女性たちの目から見た戦争。
そして、終戦直後のそれぞれの人生物語。
もう何年も、食べるものと着るものと、
住むところの心配ばかりして暮らしてきた。
次から次へと家族を喪って、家もなくして、
泣いて、泣いて、逃げて、逃げて、
とにかく今日一日を生き延びることだけで
精一杯だった。馬鹿とか利口とか、
勉強が好きとか嫌いとか、
そんなことを言っている余裕など、
あろうはずもなかった。
大森第五小学校の田中先生(女性)の
「教育とは本来、ただ命令し、
叱り飛ばすだけのものではない。」という
毅然とした態度が清々しかった。
行く人は、止められない。
鈴子がどれだけ頼んでも、お祈りしても、
泣いて引き留めても。死に別れだろうが、
生き別れだろうが関係ない。目の前から
消えていく人は、死んでしまうのと同じことだ。
これからは、知恵を使わなきゃ。
知恵がないと、いいようにされるわ。
変わらなきゃ、
生きていかれやしないってことなの。
何かを信じたり、待ったりするのって、
思ってた以上に疲れるものなの。
それも「いつまで」なんて約束もなくね。
それでも嘘偽りなく、本当に生命をかけて、
信じて、待って、耐えて、
結局は報われなかったわ。
少し重たい話であったが、読んで良かった。
今日のおまけ。お口直しに。
可愛いたぁたんでした。
おしまい。