水琴窟に関連する事で思い出したが、音を増幅させることはアンプの機能であり、波長を大きくすることが出来る。イコライザーやフィルターは、音が持つ様々の周波数を操作し、人間にとって雑音として嫌われる音はカットする。良い音は増幅し、最適な音に加工できる。波長毎に操作することになる。残響(エコー)にも関係する。
波長が共鳴することはマイクロフォンをアンプやスピーカーなど近づけると、金属的な高音が発生する場合があり、ハウリングと呼んでいる。家屋の中にいて、上空をヘリコプターやジェット機が横切ると、爆音で、水屋の扉や、窓ガラスが共振する。気持ちがよいものではないが、音は空気の震動を引き起こし、波長となって伝播していることが判る。
祖父が職業軍人であり、祖父に教わり、幼少期から剣道を始めた。中学・高校と続けていて、途中で止めたが、今でも時々運動のためと思って、素振り用木刀を振ることがある。剣道場の床は板張りで、床下には甕が埋めてある。剣道は竹刀を振りかざし、相手の面を狙って打ち込むが、併せて足は床面に対し踏み込む。このときの音は、床下の甕に届き、反響するといわれている。
同様なことは能舞台でも使われている。能は幻想な雰囲気を醸し、舞と語りと謡曲が奏でる世界である。舞手の足裁きは独特で、足拍子を執る。このときの音は、本舞台下に埋めてある複数の大甕による音響効果を高める働きをするようである。また、本舞台だけでなく、舞手が出入りする本舞台までの橋掛かりにも設置されている。
良く写真撮影に行く神代植物園は名刹の深大寺と接していて、境内にある鐘楼は、火災によって消失し、今あるのは、明治期に再建されたものである。この鐘楼の基壇の上にはやはり、大甕が埋まっているとのことである。銅製の鐘はそれ自体が共鳴するように作られていて表面の凹凸模様が発生する音の周波数を広げる。鐘と同じ甕形が、地中にあり、共鳴の効果を作っていると思われる。
科学の実験で良く出てくるヘルムホルツの共鳴器があるが、空洞を持つ物が共鳴することは実験済みである。多くの楽器なども共鳴することや共振することによる音質の変化は名器という世界を産んできた。アンプがない時代、古代劇場では壁に壺を埋め込んだという。音の性質をどのようにして、誰が考えついたのか、古人に対し、想いを馳せるばかりでなく、音の世界は誠に奥が深い。
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