伝承という切り口で、学校制度を見てきたが、人材育成という意味では、伝承する中身は何も過去のことばかりではなく、将来に向けての可能性も習得できる強みがあるが、実際の就職先とのレベルや実態から遊離しやすい面があるのは否めない。その補完的な不足をどのように行うかは、インターンシップや、デュアル訓練が有効に思える。しかしながら、後継者不足に陥った企業や業種の再生には自ずと限界がある。雇用の待遇面での格差は、大企業、中小企業、零細企業では歴然としており、例え一時的に雇用条件を緩和したとしても後継者不足に陥った企業の評判の回復には時間がかかり、組織的、恣意的な宣伝も効果的な人材補充にはつながらないことが多い。中小・零細企業への就職希望者が少ないし、労働条件が大企業に比べ悪いからである。
労働条件の改善は、喫緊の課題であるとともに、職場という概念も変化してきており、情報機器や端末通信機能を利用した在宅勤務などの工夫も必要であろう。労働の形態が徐々に変わってきており、従来の3K職種や残業時間が多い企業は、後継者が希望しないことも明らかなことである。就職希望者が来ない企業は職場環境や労働条件を見直すことが必要であり、職務内容の見直し、組織の再編、専門性の特化、新たな事業展開等外部チェック機関を入れた将来プラン等も情報公開する必要があり、開かれた企業とする努力を惜しんではならない。
我が国の傾向は、学卒採用が時期的にも集中していて、中途採用の機会は多いとはいいがたい。また、転職もマッチングが難しく、資格制度についても内容によるし、横断的な職種転換も簡単ではない。
最近の傾向として、派遣労働、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働、いわゆる非正規雇用が3割を超えているし、正規雇用の門戸が狭くなっている。この傾向はさらに続くことが予想されている。非正規雇用は社内研修などの人材育成の機会がほとんどないため、また低賃金化しているため、子育て、住宅の購入など将来設計ができない等の問題も多い。この傾向が続くと少子化に拍車がかかり、年金等の原資不足、地方自治体の税収減など波及的に新たな問題につながっていく。
後継者育成問題は機会の不足、人材の量と質の減少がどのような結果をもたらすのか、団塊の世代の退職が契機となり、将来の姿への道程ははっきりしないが、現在よりさらに深刻な問題となることが予想される。
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