ギド帝国のピラト総督専用のバトルスーツがこの「ザリグ」である。ディープレッドとシャインオレンジでマーキングされたボディは20mを超える。
ザリグのパイロットであるピラト総督は、全宇宙征服・・・・という野心のためなら手段を選ばない、という非情さを持っている。
チェーン・ショット、ビームバズーカなどで武装し、小惑星なら一瞬のうちに破壊するほどの恐るべきパワーを持っている。(BOXアート説明より)
「チッ!!なさけない奴らだ!どけ!俺が相手になってやる!!」
【制作を終えて】
初志貫徹で「ガチ」で作る事が出来ました。
インターネットの発達で、「ザ★アニメージ」で検索すると、ポツポツと取り上げているサイトも散見されますが、作例として紹介しているところはまだまだ少なく、気合の入った制作をしたモデラーもいないようです。
また、作例にしても、キットを素組みとするのではなく、今風のスタイルにディフォルメされてしまう方もいるようです。
肩をハの字型にいからせ、足もまたハの字型にし、小顔にするような。
要するに「カトキハジメ・コンプレックス」とでも言えましょうか。
私はそういったディフォルメは、ハッキリ言って類型的でツマラナイと思うし、往年のロボットプラモの「味」を殺さぬよう、キットのありのままを楽しもう、という感覚で作りました。
以前にも語りましたが、私は今の、リアリティの無いガンプラ塗装はどうしても馴染めません。
「戦場の匂い」「酷使される兵器」という視点が完全に欠落していると感じるからです。
想うに私らはスケール・モデルで育ちました。
しかし今は、驚く事に「ガンプラ」しか作った事のない層が、模型界のボリュームゾーンとなってしまっています。
それら「ガンプラ」には、スケール感を全く無視した「運河スジ彫り」、小奇麗なエアブラシ塗装が施され、「最初から色が付いた模型なのに、その上にまた同じ色のせてどうすんの?」という素朴な疑問と、「フィギアとどこが違うんだよ?感」が漂っています。
・・・・と、まぁ偉そうに書きましたが、要するに私はこの「ザリグ」というキットを使って「ガンプラ」、及び「それが作り出した文化のありよう」と、「ガンプラモデラー」に喧嘩を売り、バンダイのおもちゃキット信奉者の心に、さざ波を起こしたかったんですわな。
1/76シリーズの「ザ★アニメージ」を制作したのは今回が初めてでした。
こうして見てみると、部分的に「ガンダム」のエッセンスが散見出来るものの、全体として見た場合、中々オリジナリティのあるシルエットであると感じます。
カラーリングなどは、明らかに「シャア専用」のあの雰囲気をパクったものと思われますが、各カラーのバランスが取れており、アリイの制作サイドとしても、カラーリングに知恵をしぼった形跡がみられます。
「ザ・アニメージ」シリーズは、当時のガンプラを意識して造られた事は明らかですが、通の子供の間では実は、ある意味「裏ガンダム」として、隠れた人気があった事は否定出来ないでしょう。
ガンダムの新製品が出る間、これでも事足りる、という感覚ですね。
なにせその「モビルスーツ」っぽさ、駄菓子屋などに常に置いてある入手のし易さ、ロボットプラモデルで遊ぼうとする当時の子供たちには、入手困難なガンダムの代替品として、充分な、あるいは怪しげな魅力があったのです。
個人的に残念なのは、こういった、いわゆる類似品を楽しむ環境が、著作権の保護等により無くなってしまった事。
もはや子供が血眼になってプラモデルをつくる時代でもなくなりましたが・・・・・
そして、模型界におけるアリイ製作所の評価が低い事が、個人的には不満ですね・・・タミヤ、ハセガワ、フジミ、イマイ、アオシマ、そしてバンダイと、模型誌に出てくる作例はこんなのばっかでしょう?
アリイには隠れたファンがたくさん居ます。表面化しないだけです。
この、優れたロボットシリーズをもってガンプラに殴り込みをかけた有井製作所に、最大限の賛辞を送りたいと思います。