我が家のワゴンR FT-Sリミテッドは4輪駆動です。
わざわざ程度の良いゼストから四駆のワゴンRに乗り換えたのも二輪駆動より安全性が高いからで、丁度良いタイミングで程度の良い四駆のワゴンRが市場に出てきたためです。
四駆は車重が重くなる、駆動系のフリクションが大きくなる等のデメリットがありますが、その辺はターボエンジンのパワーでどうにかなります。
大事なのは燃費より安全性。
がしかし、最近になって四駆のキモであるセンターデフにトラブルが発生しました。
ビスカスカップリングからの異音です。
ハンドルをきって前進・後退を行うと発生する「ガガガガ」という異音。
実は、昔乗っていたMC21型のワゴンRでもこの現象は経験済みなのですが、その時は10万kmを超えてからだったと記憶しています。
今乗っているMH21型の走行距離は未だ5,7000km程度。
ガタが来るには早過ぎる、と思いましたが、実は同じ頃に生産されたスズキの4WD車に使われたビスカスカップリングは欠陥品だったようで、リコールの対象にもなっていた事が後から調べて分かりました。
このような告知文が出されている通り、メーカーの方でも保障対象としていた事が分かります。
しかし、ウチのワゴンRは生産から既に10年以上経過しており、保障の対象外となるため修理は自腹となります。
そこでビスカスカップリングの修理代を調査したところ、部品代が約50,000円、修理交換で約20,000円、合計で約70,000円もかかる(!)事が判明。
「ご冗談をw」
と思い、早速ヤフオクで中古のビスカスカップリングを物色。
すると、交換してから使用距離が約7000km程度という極上のカップリングを発見!
お値段は送料込で12,872円。しかも対策品。
他に入札していた人が何人か居ましたが、落札時間近くになっても追加入札が行われず、あっさりと落札。
ヒジョーにラッキーでした。
これが落札したビスカスカップリングです。勿論、MH21に対応するモノです。
この8か所の点付け溶接跡のあるものが対策品の証しだとか。
あとは実際に取り付けてみて異音が発生しなかったら成功です。
こういった中古品や社外パーツなどは、いわゆるスズキの正規ディーラーである「スズキアリーナ」等では対応してくれません。
責任が持てないんでしょうな。
しかし実は以前から目を付けていた、昔ながらのスズキのサブディーラーでは取り付けを行ってもらえるという事をその店とのメールのやり取りで確認していました。
交換の日取りを調整しようと店に電話をしたところ、「今日なら大丈夫ですよ」との事で、早速交換をしてきました。
交換が済んだビスカスカップリングです。
この他に特に必要な部品などは無く、約45分ほどで交換が終わりました。
今回は交換の話も、細かい打ち合わせも無い「直ぐやる課」で、店選びも成功だったようです。
掛かった費用ですが、
【ビスカスカップリング】 12,872円
【交換工賃】 9720円
合計:22,592円
安っ!
事前調査では、新品でスズキで交換すると約70,000円位の出費になるところでしたから、約47,000円の節約となりました。助かった~。
で、肝心な異音なんですが、中古とはいえ流石に7000kmしか使用されていないモノだけに異音はゼロ!
不快なあの「ガガガガ」は見事に解消されました!
何より修理代が安く済んだ事が嬉しかった(笑)
これでとりあえず一安心です。
軽の4輪駆動車にとってはビスカスカップリングは後輪にもトルクを配分し、タイトコーナーブレーキング現象を抑えるための安価で、しかも大事なパーツですので、不良品は勘弁してほしいですね。
要するに今まで使用していた不良品のビスカスカップリングは、本来の(普段の)締結力の倍くらい、トルクが配分されてたという事なんでしょう。
(私の記憶では、スタンバイ式といえどもビスカスを使うタイプは走行中も完全なFFになる事は無く、わずかに後輪にもトルクが配分されていたと思う)
だとすれば、MC21のそれが、100,000km以上になってから異音が出たのに対し、MH21のそれがその約半分の距離で異音が出た、という事に話の整合がつきます。
設計ミスなのかコストダウンのせいなのか分かりませんが。
最後に、ビスカスカップリングの構造と働きを解説して終わりといたします。
基本構造は、頑丈な円筒形のケースの中に無数のクラッチプレートを収め、それと一緒に高粘度のシリコンオイルが封入されている。ケースの軸方向から入力軸が挿入され、クラッチプレートと一つおきに結合されている。残りのプレートはケースと結合され、そのケースに出力軸が結合されている。構造が簡単でメンテナンスも不要のため、駆動軸のディファレンシャルギヤや4WDのセンターデフのLSDや、スタンバイ式4WDの駆動力伝達に、標準装備あるいはオプション設定された。
ビスカスカップリングやRBCは筐体内部に密閉されたシリコンオイルとフリクションプレート等のみで差動制限機構が成立する為、差動ギアや各種の差動制限装置のように必ずしもギアボックスに内蔵されてギアオイルで潤滑が行われる必要がなく、カップリングを単体でプロペラシャフトなどの中間に配置するだけでもセンターデフやLSDとして機能する事が出来る為、スタンバイ式4WDシステムをより簡易に構成する事が可能となる。
その一方で、ビスカスカップリングを初めとするカップリングは、原則として通常の走行状態では前後軸の回転差が発生しておらず、悪路・雪道・スタックなどに起因する駆動軸のスリップなどの緊急事態にのみ差動制限を発生させる事を前提としている為、何らかの理由により長時間差動制限が発生し続ける状況が継続すると、内部のシリコンオイルが高熱により急速に劣化・変質し、最終的には常時直結状態になるなどの状態の故障に至る。このような状態になると、カップリングからの異音の発生やタイトコーナーブレーキング現象の頻発などの深刻なドライバビリティ低下が発生する。こうした事態によりカップリング本体のリコールに発展した事例が日本車メーカーで散見された。
こうした事態を防ぐ為には、通常走行時には4WDの前後軸或いはLSDの左右のタイヤの回転差が極力発生しないように、タイヤサイズや空気圧の設定は純正指定を遵守する事が最善の策であり、空気圧変更やホイール交換を伴うインチアップを行う際には細心の注意が必要となる。特にビスカスカップリングを採用する4WDの前後軸に外径の異なるタイヤを履かせる事はビスカスカップリングの過熱から車両火災に直結する禁忌事項でもあり、厳に避けられるべき行為である。通常、ビスカスカップリングを採用する車種のタイヤは全ての車輪で同一のタイヤサイズが用いられる事が一般的であるが、稀な例として3代目日産・ラルゴのスタンバイ式4WD車のように、タイヤ外径は同一ながらも前後のホイールサイズが異なる構成を採る車種も存在する為、こうした車種のタイヤ交換の際には特に注意が必要である。
かつてJAFを初めとするロードサービスのレッカー車は片軸を吊り上げてけん引する形態を採っていた為、ビスカスカップリングを採用するスタンバイ式4WD車を牽引した場合、片軸のみが回転し続ける事によりビスカスカップリングの破損を招く事例が発生した。その為、今日のように全車輪の下に滑車を入れて牽引する方式が一般化するまでは、スタンバイ式4WD車の多くで特殊な操作により強制的に2WD状態とする機能が用意される場合があり、このような機能性を持たない車種においては片軸持ち上げでの牽引は禁忌事項であるとされた。車検を取得する際の陸運局のスピードメーター及びブレーキ機能のテスターにおいても、片軸のみを回転させる機材しか用意されていない場合には、同様の事例を招く場合があり、このような場合にも前述の強制2WD切り換えが使用された。現在ではほぼ全ての陸運局が全軸駆動型のテスターを導入した為、このような機能は余り見られないものになっているが、今日においてもユーザー車検などにおいてドライバー自らが検査ラインに入る必要がある時は、フルタイム4WD対応の検査ラインで有る事を十分に確認する必要がある。
wikiより転載