最近あまり映画(のDVDやビデオ)を見ないのですが、レンタル店で安く借りられる日に、クリント・イーストウッドの「ペイルライダー」を借りました。
え~、これは西部劇なんですが、実は過去に5~6回見ているのです。
それ以前の前提として、私はC・イーストウッドのファンなのです。彼の代表作はなんといっても「ダーティハリー」シリーズでしょう。これは過去に何度も「日曜洋画劇場」などでTV放映されており、それを父などと一緒に見て育った私は、いつのまにか彼のファンになっていた・・・というわけなんですな。
イーストウッドの出世作はイタリアの映画会社で作られた、いわゆる「マカロニ・ウエスタン」でしょう。(マカロニ=イタリア~で作られたアメリカ西部劇)
ダーティハリーも、都会を舞台にしたガンマンの話みたいなもんなのですが、そのルーツはこのマカロニウエスタンにあるわけなんです。
で、説明が色々あるんですが置いといて、、、(笑)私は「ヒーロー至上主義者」なんです(笑)。
ヒーローの条件はいくつかありまして、いくつか挙げますと、
①男前である(当たり前ですが)
②無口である(セリフが少ない=無駄口を言わない)
③腕っ節が強い(サバイバビリティ能力が高い)
④身元が判然としない(謎の人物である)
⑤どこからか現れ、また去っていく(その後が不明)
⑥女が放っておかない(モテる)
などがあります。他の具体例としては、「マッドマックス」、「ランボー」、「特命係長」、チャック・ノリスやブルース・リーの演じたヒーローなどでしょうか。
上に挙げた例って、古いタイプの男なら、誰でも憧れたものなんじゃないですか?結局それは「自分には無いもの~なりたくてもなれないもの」のメタファーなのだと思います。
で、私は未だにそういうヒーローへの憧れを持っている(笑)。子供ですね。
・・・・で、その借りてきた「ペイルライダー」に登場する、イーストウッド扮するところの謎の牧師(プリーチャー)、これがまた・・・・かっこいいんですわ!
使い古された言葉ですが、イーストウッド、シブいです。
この牧師はあてのない旅をしておりまして、ド田舎のとある金鉱町にたどりつくわけです。ここら一帯はヤクザもんみたいな連中が牛耳っているところで、カタギの人は金を掘りながら小さくなって細々と暮らしてるわけです。そこでヤクザにフルボッコにされていた冴えないオッサンを助け、逆にヤクザをボコボコにしてしまうんですな。強いんですよ、牧師なのに(笑)。
それでそのオッサンは恩返しで自分の家に招くのですが、そこには同居している子連れ女(オバサンと娘)がいます。
この娘は、ヤクザの襲撃で愛犬を殺され、心底落胆し、助けてほしいと神に祈ってたところなんですわな。そこに男前の牧師が現れたんですから、ドキドキしちゃうわけですよ(笑)。
もう、目つきがちがうもん(笑)。
しかもこの娘、「あたしもう、15になったから、あなたと結婚出来るでしょう?」と牧師さんに告白までするんだな・・・・しかし牧師は「私とは釣り合わない、君にはもっとふさわしい人が現れるよ」と言って取り合わないわけです。相手を傷つけずにフるというのは男のたしなみ・・・なんですが、この娘こともあろうに「お母さんが好きなんでしょ!」と言って逆ギレ状態(笑)。早い話、世の中ナメてんですわ(笑)。
まあ、そんなこんなするうちにヤクザの立ち退き要求がエスカレートしてきて、町を出ようとする人が出てくるのですが、牧師さんが町の住人を集めて「巨悪に勝つには団結が必要だ」という、シンプルにしてツボを得たアドバイスをするのですが、このヤクザもん、住民のよりどころとなっている牧師さんを懐柔しようとしますが断られます。そして「牧師が相手ではやりにくい」とかなんとか言って、たちの悪い保安官とその助手連中に、牧師さんの暗殺を依頼します。これがまた・・・悪いツラぶらさげてんだわ。
真ん中の野郎が保安官、両脇は手下です。こいつら手始めに町の住人をついに殺してしまう。きな臭い状況を察知した牧師さんは、銀行の金庫に預けてある自分の拳銃とガンベルトを取り出します。
実はこの牧師さん、実はガンマン(英語だとガンファイター)なのだ!
そんな中、あの逆ギレ娘がヤクザにレイプされそうになり、あ~、うわ~、(笑)とかいう大ピンチの時に銃声とともにガンマン姿のあの牧師さんが颯爽と登場!!ヤクザの手のひらをブチぬいて、娘を救出します。
・・・・・かっこよすぎです。
牧師さんは例の保安官を知っていて、どうも昔その保安官に撃たれて死にかけた、という因縁があるらしいんですな。保安官も「もしやあいつでは・・・」と思いつつ、「でも死んだはずだ」とか言ってるんですね。
そして対決の前の晩、今度は母親に告白される(笑)。「あなたはまた、どこかへ言ってしまうのね・・・」とかなんとか。
で、翌朝牧師さんにとっては因縁の対決が始まりました。手下を単品で片付けながら、保安官との一騎打ちになります。
保安官へと歩き出した牧師さんは、拳銃のシリンダーの交換を行います。保安官の前で立ち止まった牧師さんは、ゆっくりと顔を上げ、二人の眼が合います。保安官は驚愕した表情で、「貴様・・・!」。
・・・・・無言です。「ひさしぶりだな」とか、「この野郎」とか、「よう、ニート」など、無駄口をたたきません。
保安官が銃を抜こうとした次の瞬間、牧師さんの銃弾が保安官をハチノスにし、駄目押しで眉間にもう一発ブチ込みます。
対決が終わると、牧師さんは何も言わずに(これ重要)いずこかへと去って行ってしまいます。
そこに娘が遅れて到着。追おうとするが止められ、牧師さんが去って行ったであろう山岳へ向け「いつまでも愛してるわ」と叫びます。
と、まぁ、こんな映画です(笑)。昔はあまり感じなかったのですが、今見ると結構、ベタな展開で、こちらが顔を赤らめてしまうような稚拙な演出もあるのですが、映画全体を覆う寒々しい雰囲気、最後には悪を倒し去っていくという、構成としては割と古典的で奇をてらったところの無い、なにか懐かしい映画でした。
この「ペイルライダー」は、流行りの作品しか見ない一般層にとっては割とマニアックな部類の映画ですが、隠れた名作ですよ!
(1985年 アメリカ作品)