私の親友が新型プリウスを買ったという。三菱党で、アンチトヨタ、アンチ現行車のこの男が何故にプリウスを・・・・
昔からワーキングプアで、燃料代をやたら気にする反面、デボネアだのディアマンテを乗っていやがった奴なんだが。
春に発注し、本当は先週に届くはずだったのだが、台風のせいで納車が一週間遅れ、昨日届いたの事。
前日夜勤で、寝たのがかなり遅かったのだが、この友人は朝に強く(笑)、今日は朝っぱらからドライブに誘われた次第。
さてプリウス。家に迎えに来るとのことで庭で待つ事数分、モーターの「ム~ン」というかすかな音とともに参上。
当然、聞きなれたレシプロエンジンの響きなど無く、一体どんな乗り心地かと興味も高鳴るというもの。
乗りこむと、我がレガシィとは明らかに違う光景が(笑)。
新車の独特の匂いの中、眼前に広がるのは、やけにノッペリとした大きな灰色のプラスチック塊であった。
ここからは、評判のクルマだと承知の上で毒を吐いてみようと思う。
色調は、一昔前のライトバンを想像させる、明るめのグレー。
何なのこの質感の低さ・・・・・この色調・・・・ぬくもりの無さ・・・・・
世間ではやたらと評判の良いトヨタのインテリア、世に言うほどクオリティが高くないとは思っていたが、どうして評価が高いのかイマイチ理解に苦しむ。
フランス車とドッコイドッコイなのではないか。
やはり200万程度の車の限界であろう、素材そのものは軽自動車のインパネでお馴染みの硬質樹脂。
一般的な軟質パッドではない。現行インプやレガシィのような大型一体成型のプラスチックだ。最近は分野を問わず、何かと言えばコストダウン、せめてこの辺はもう少し金を掛けてほしいところ。
硬質樹脂は紫外線による経年変化で変形もし易いのだ。
センターにまたがるコンソールは、そのデザインに意図的な新奇性を見てとれるものの、圧迫感が無きにしも非ず。
シフト下部に見えるのはドリンクホルダーの蓋であるが、このドリンクホルダー、どう見てもペットボトルプラスアルファの径があり、缶コーヒーなどはグラグラする事必定のシロモノである。
飲み物の径に合わせたガイド位欲しいところだ。
ちなみにこのページは「プリウス ロードノイズ」というキーワードで良くHITするページである。それに関して少し。
さて、この友人、クルマ好きである点は私と同じなのであるが、クルマに求める価値判断がかなり歪んでおり、車の本質である「走る・曲がる・止まる」には全く興味が無い。
とにかく「静かで、乗り心地の良い車」が最高のモノであり、それに次いで装備品の多さ(クルコンとか)等、クルマの性能とか安全性とは無関係のトコロを評価する、まぁ、要するに昔の「ダンナ車」っぽいクルマが好みなのである。
そんなモノが跳梁跋扈していたのは80年代いっぱいで、現在はクラウンのロイヤルなどにわずかに残り香がある程度で。
とにかく「静か」で、「乗り心地がフワフワ」、今、そんなクルマは無い。
例えば、私が「R34とかWRX欲しいなぁ」と言うと、「静かな車か?」と聞くような、ピント外れな事を言うのだ。
私はこいつによく「耳栓して走れ」などと言っていたのものだ。
この友人はとどのつまり、「モーターをメインに走るハイブリッド車=静かな車」と考えてしまったようである。(要するにクルマ音痴なんだが)
しかしながら・・・・・・
まぁ、機関系は確かに静かなんだろうが、遮音材をケチっているらしく、ロードノイズが盛大に「ゴー」と鳴り響き、「うるせぇクルマだな」というのが正直な感想。
乗り心地も硬め。
おそらくは軽量化(これが燃費に直結する)と、インサイト対策(低価格)のために、ロードノイズ対策は優先順位が下がったんだろう。
しっかりとした遮音材は、結構な重さがあるのだ。
この車について論評したサイトなどもあり、「静粛性が高い」「静か」とか書いてあるものがあるが、それは間違いである。
何をもって「静か」とするか判断材料は色々あるだろうが、私の感覚としては「カローラ・クラス」のそれという感じである(つまりクラス平均、値段相応ということ)
また、グレードによって遮音材の適用範囲に差があるらしい。
しかし、この友人が乗っているのはしっかり遮音材が奢られているいるグレードなので、上位グレードであってもこのクルマのロードノイズは大きいと断言できる。
おそらく、コンフォート系のタイヤに替えても静粛性はそうUPしないだろう。
「トヨタのクルマだから静かだろう」、そう期待していた友人もその点、アテが外れたようで、ビミョ~な表情を隠せない。
そもそもコイツの最大の敵はロードノイズ・エンジン透過音・風きり音などの騒音と、「硬い乗り味」だったはず。
信号待ちなどでのアイドリングが無音なだけに、やけにロードノイズが耳に付く。
それはこの車の本質である「低燃費」とは関係ないし、また、私見を言わせてもらえば、ロードノイズその他のNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)で人が死ぬことは無いし、車が発する自然な音のひとつでもある。
確かに燃料代は劇的に軽減されるし、大きさも程よいと思うが、トヨタ車の通例として、心に響くものが意識的に、と思えるほど、全く無い。
恐らく、他のトヨタ車と同様、意図的に「目立たない様」なデザインにしているのだ。
はっきりとした固まったイメージではなく、不特定多数の人がなんとなく頭に思い浮かべる様(ここ重要)な、薄ぼんやりとしたデザイン・・・それがトヨタデザインの真骨頂だ。
何故そんなものが売れるのか。買う側のイメージも薄ぼんやりしているからである。
なんというか・・・・まぁこれは「やけに燃費の良いカローラなんんだな、ウン。」と考えれば納得するようなクルマで、このシステムをこの低価格で提供出来るのはスゴイな、とは感じたが・・・・
巷間言われている程のクルマでもねぇな・・・・と思ったのも事実。
要するにこれは「家電」なんだ、と。
本質的に燃費重視の車である事は判ってるのだが、なんか改めて「あぁ、やっぱトヨタって80点主義なんだなぁ」と痛感した時間だった。
特に人間を刺激する点もなく、かといって決定的に悪いトコがあるわけじゃない。
そこを計算し、「ぼんやりイメージ」をカタチにし、自動車にして提供するトヨタ。
別に強烈に嫌いになる事もなく、惚れ込んでいくサムシングも無い。
そしてこれから、ウィッシュ、ノア/ボクシー、エスティマ、アルファードのように、こいつが街に溢れてくるのかと考えた時、一抹の薄気味悪さを感じる。
日本人特有の「疑問なし・コダワリなし・右ならえ」現象である。
まぁ、そう感じてしまうトコロが私が私であり続けるための、半官びいきの私の、ささやかな抵抗なのかもしれないが。
流行りものに飛びつく事に優越を感じる人、オープンセールやバーゲンがあると行かずにはいられない人、ガソリン代を払いたくない人が乗るような、クルマ好きが欲しいようなクルマではない。
私見では感覚的に安物。実際乗って、そう感じた。
減税でクルマを安く買おうとする心理は分かるけども、う~ん・・・・