生きものたちが生きるための地球上の環境が傷め付けられています。私たち人間も地球上の生きもの。影響がないわけがありません。今の社会では持続困難といわれており、そのためにSDGs(持続可能は開発目標)ということがよく聞かれるようになりました。
ですが、これらの目標を掲げているだけで大丈夫とは私には考えられません。なぜなら持続可能な社会となるためには、自然環境との共存が不可欠だからです。里山環境とその環境での暮らしが、自然環境と共存した生活のしかたです。昔はそれが当たり前だったので、自然環境や生きものたちに対し、皆が一定レベルの理解と親しみを持っていました。
この横浜でも昭和末期までは、そのような環境が街にも残っていたのですが、令和となった今では風前の灯と言って良いほど、極端に少なくなってしまいました。それに伴い、人々の自然や生きものたちに対する意識も変わってしまい、昔は当たり前だったそれらへの理解や親しみも失ってしまったようです。具体的には「昆虫気持ち悪い」「雑草汚らしい」「木は葉が落ち、鳥がフンをする」といって、昆虫を殺したり除草したり、木々を切ってしまうようになってしまいました。
もちろん昔も草を刈ったり木を切ったり虫も殺したりしました。でも今のように二度と木や草が生えないようにしてしまったり、虫たちも今ほど嫌われたりしていませんでした。特に地面をなくしてしまうのは自然環境にとって致命的です。昔は自然の土や地面は大切にされていました。
自然観察は決して、自然が好きな人たちだけの楽しみといったものではありません。私たちが都市の便利な生活と引き換えに失ってしまった自然環境や生きものたちに対する理解や親しみを保ったり取り戻したりするための確かな手段であり、環境学習または自然環境体験学習とも言えるものです。
これらの理解や親しみなくして、自然環境と共存した持続可能な社会を目指すのは無理です。だから私は、自然観察会を行なうことはとても重要な活動だと考えて継続しています。そのために自然観察のできる環境を残しておいてもらう必要もあるため、その努力もしています。
侵略的外来種(生物)という言葉があります。外来種の中でも特に自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かす恐れのあるもののことを指します。けれども地球上の生命でありながら、地球上の自然環境、生きものたちの地球に対して、最も侵略的な振る舞いをしているのは人間ではないでしょうか。私たちはこのような振る舞いをやめていかなければならないと思います。