北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

屏山書院 その4

2015-05-14 17:09:04 | 日記
観光客の人達が大勢、建物にあがっていて、スケールのわかりやすい写真がありました。







たぶん実際に、この建物を見たら、そんなには大きくなくて、かわいらしい建物だと想像

します、、、。





普段は上がれないようです。(日本語で「板の間へは上がらないで下さい。」と書いて

あります。この日は特別拝観か何かの日かな?それにしても、この木の階段、なんだか

登呂遺跡か吉野ヶ里遺跡みたい、、、。)


棟木を受ける束は、どうなっているのかな?と思ったら








「蟇又(かえるまた)」のような大きな板で受けていました。(瓦屋根の荷重が相当でしょ

うから「ガッシリ」したものです、、、。)垂木も曲がっていて、間隔も無理に揃えたり

してません。梁には不思議な「受け」?がついていて(木材が乾燥して「すいて」来た時

の、何かの対策になっているのかな?)、桁は二段になっていて「合成梁」のような効果が

ありそうです、、、。(当時の大工さんにして、凄い知恵、、、。)


プロポーションが美しい、、、。




建物の両端の部分です、、、。




床下と




手摺りと軒先まわりです、、、。



梁の鼻先にも、何か工夫がされているようです、、、。(梁の下の材が、先ほどの内側の

「受け」のような材と繋がっていて、梁間方向の柱と梁を一体化して強度上の補強になっ

ているのかも知れません、、、。)手摺りは最初から、わずかに外側に傾けてあったので

しょうか?


とにかく無駄な材料が、どこにもなさそうな建築です、、、。必要にして十分、構造その

ものが美しい、「稀な建築」と思います、、、。



追記  調べましたら、創建の時の建物は、わずか20年後の壬辰倭乱(日本で言う「文

    禄の役」)で、秀吉によって壊されてしまったようです。今の建物は、それから

    15年して建て直されたようで、日本人として、韓国・朝鮮の方々には大変申し

    訳ありませんでした。






 
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屏山書院 その3 

2015-05-14 11:05:52 | 日記
「晩對樓」の床下です。





ここを潜っていくのですが、自然木の柱はかなり曲がっていますが、そのまま使っていま

す。床下の高さも、ちょうど良いです。


その上です。



梁は日本の民家で言うところの松の「牛梁」?でしょうか、、、? 韓国・朝鮮の大工さん

の技術も素晴らしいです、、、。 床板の張り方は、例の朝鮮式?



向かいの山が「屏山」





日本では、福島県喜多方市の郊外に、熊野神社「長床(ながとこ)」と呼ばれている、神社

の拝殿があります。









銀杏の綺麗な季節に見たことはありませんが、お隣の国同士でずいぶん違います、、、。



「屏山書院」には、以前は関釜フェリーに乗って、見に行きたいと思っていましたが、、

、、。

(日本と韓国の間は、短期間なら、パスポートが要るのやら、要らないのやら、、、?)




 以下、屏山書院 その4 につづきます。








追記  すいません、『向かいの山が「屏山」』ではなくて、背中に背負っている山が

    「屏山」と思います。安東の街の西で川が大きく蛇行していて、三方を川で囲

    まれた割と独立した山があって、それが「屏山」と思います。





追記の追記


    この地図のような絵で

    


    右上の赤丸の中に「安東」とあって、その左下、画面やや中央寄りに川が蛇行し

    ていて、『回河』の旧字のような書き込みの上に『山屏』とありますから、こ

    の山が『屏山』で、たぶん間違いないと思います。川の名前は『花川』。





    


    
    2kmくらい西に、『伝統的建築群保存地区』みたいな『回河(「回」の左に

   「さんずい」)』と言う村があります。



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屏山書院 その2

2015-05-14 10:08:42 | 日記
その、「晩對樓」です。







これは、素晴らしい建築です、、、。


まず、スケールの小さいところが良い。 「スケール」は、この場合、建物の大きい、

小さいではなく、建物の床の高さの絶対寸法や、各部の寸法の比例関係と考えて下さい。

桁の高さも、軒先の低さもちょうど良いですし、屋根の棟の「反り」も美しい、、、。

柱や梁は自然木をそのまま利用していますし、地形の高低差を無理に平らにしたりせず、

そのまま生かしているのも、非常に理に適っていると思います、、、。




配置図と敷地の断面を並べてみます。(配置図は90℃回転させてあります。)







                          ・





「晩對楼」の床の高さは、上の敷地から階段で5段くらい高いだけです、、、。



韓国・朝鮮の遺構として残っている民家にも、敷地に高低差があっても、その高低差を

そのまま上手に生かした民家が幾つもあります。


(ここ最近までの日本では、特に新たに造成された分譲地などで、「商品としての土地」

に無理にでもしたいのか、「盛り土」までして、見た目は平らな土地にしてしまっている

例が多いようです、、、。もとの地山は斜めのままです、、。例外は、関西の「目神山」

くらいでしょうか、、、。)




                     以下、屏山書院 その3 につづきます。





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屏山書院 その1

2015-05-14 07:10:48 | 日記
『文根英(ムン・グニョン)さん』の記事の中で、『文根英さんは「風の絵師」などの時代

劇にも出演しています。』と書きましたが、その時の文根英さんです。



女の子なのに男の子の絵師のふりをする、シン・ユンボク(申潤福)と言う役です。






左は絵の師匠キム・ホンド(金弘道)役のパク・シニャン(朴新陽)さんです。








「風の絵師」はテレビの連続ドラマなのですが、同じストーリーで「美人図」と言う映画

も作られています。(見ていないけど、映画の方はかなりエッチらしい、、、。)


その映画の方の場面




これが、どうやら韓国の安東と言う町の「屏山書院」と言う建物がロケ地としてつかわれ

ているらしいのです。(文根英さんの「風の絵師」は別の「書院」のようです。)





この写真の向うに見えているのが、「晩對樓」という建物で、映画の夜のシーンは、そこ

で撮影されているようです、、、。


韓国・朝鮮で「書院」と呼ばれているのは、李氏朝鮮時代などの「学校」のようです。




                    以下、屏山書院 その2 につづきます。


















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